見出し画像

一定の部署だけ離職率が高い原因

ある決まった部署だけ離職率が高いくてという相談を良く受けます。経営者や部門長は口を揃えて「特にマネジメントに問題があるように見えない」と言います。なぜでしょうか・・・


まず、複数の側面から見てみましょう。
①給与や勤務条件
②マネジメント
③仕事内容における環境や人間関係

その他にも考えられることはありますが、まず3つくらいに要因を絞ります。

①給与や勤務条件
ここは会社として簡単に変えられるところではないですし、ただ今回は会社全体ではなく、一定の部署だけですから給与自体が大きな原因とは考えづらいです。

②マネジメント
マネージャーのマネジメント能力の問題ならマネージャーの指導や育成が必要ですが、マネジメント能力は経営者の方が判断しやすいところでもあるので、必要であれば指導・育成するでよいと思います。

給与面やマネジメント能力はわりと見えやすい課題ですので、比較的に課題に向けてアクションしやすい項目だと思います。

③仕事内容における環境や人間関係
特にマネージャーの人格や素養にも問題がなく、なぜ一定の部署だけ退職者が多いのかが関係するのはここかと思っています。

*日本経済新聞より一部抜粋
<米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達した。>

だそうです。日本がなかなか活気がでないのもわかります。

ライスワーク / ライクワーク / ライフワーク

「レンガ職人の話し」が有名ですね。
職人A → 仕事だからレンガを積んでるだけ
職人B → 金を稼ぐためにレンガを積んでいるだけ
職人C → 美しい大聖堂つくり人々を救うためにレンガを積んでいる

職人Aと職人Bはライスワークです。楽しさ、充実感、スキルアップなどで仕事をしているわけではなく、生活をするためだけに働くというわけです。

職人Cはどうでしょう。
相手のために何かをしようという状態のことをいうライフワークとして働いています。使命感や責任感をもって活動・仕事をし、他人のために働くことも苦とは思いません。ライフワークは、相手や周りにエネルギーを与えることで、自分の成功を目指したり、自分が成功するために他人にも成功してもらいたいと考えます。

ただ、一気にここまで到達するのも難しいので、せめて自分の好きなことや、やりたいことを仕事にするライクワークを目指してもらうのもよいのかもしれません。ライクワークになると、主体性やクリエイティブな発想も多く出ます。なりたい目標や夢に向かっている感覚を持つようになってもらえます。

やりがいを見つけられずに退職する理由

具体的な話しに戻します。
営業会社でも製造会社でも花形部門・支援部門・縁の下の力持ち部門などあります。やはり自分のしている仕事が会社の業績や目に見える形でわかる花形部門はやりがいや充実感・満足感につながりやすいです。
しかし支援部門や縁の下の力持ち部門は、花形の部門の支援や、周囲にもわからりづらいところでその業務を支えたりしていて、なかなか自分の仕事の成果や価値観がみえづらいです。例えば検査・検品チームなど、全神経を集中させ体力や気力をすり減らしている大変な仕事なのに周囲からは「厳しすぎる」とか言われたり、満足感を味わえるものではないことが多いです。

このようなことが、一定の部署だけモチベーションが上がらなかったり、初めはやる気に満ちていてもライスワークになって仕事にやりがいを見つけられなくなります。(ジョブローテーションの実施も考えられますが、会社の規模や業種によっては難しい場合もあるので、ここでは割愛します。)

とはいえ、それも会社の仕事であり、決められ仕事だから遂行しないといけません!と言うだけではこのような特定の部署だけ退職者が増えます。そこで経営者やマネージャーの出番です。

経営者や役員からは、
一つ一つの部門・部署の意義や役割をしっかり全員に理解してもらうこと。花形の部署は支援部門や縁の下の力持ち部門があって成り立っていることや、支援部門や縁の下の力持ち部門があるから良いものをお客様に届けられるなどを今一度理解する場をもうけると、従業員は自分のやっていることに自信がもててきます。会社に自分の仕事や存在が認められると頑張れます。こういう些細なことで、部署間の摩擦が解消することは多々あります。もちろんその後に交流を設けたりすると更に効果的です。

マネージャーからは
例えばですが、出荷前の検査・検品の役割を果たすことが、お客様にこの商品を喜んでいただけるのだと。だからお客様に満足してもらうために、しっかり検査した商品を届け、お客様が喜ぶことを想像しながら頑張ろうと。人間には誰しも「承認欲求」があります。おべんちゃらで褒めることではなく、本人が頑張ったことはしっかり認めてあげることがやりがいにつながります。

「心理的報酬」の重要さ

③の仕事内容における環境や人間関係とは、ここに通じるものだと思います。マネージャーが、その仕事のやりがいやお客様の喜びを想像させることが重要です。意義を見つけてやる気をだしてもらう、これを「心理的報酬」と言います。心理的報酬はお客様の笑顔や周囲の感謝の声などが代表されます。

大学の寄付金を集めるための電話をかけている部署の事例
毎日電話で関係者に大学の寄付金のお願いをしています。メンバーは断られるたびにモチベーションが下がり、声にも自信がなくなってきます。
そこでマネージャーは
寄付金によって建てられた図書館や設備について学生の声を直接メンバーに届けました。

「この図書館最高です!」「新しく増設した研究資材嬉しいです、これからもっと勉強します!」など。

お分かりかと思いますが、それ以降電話荷電数が2.4倍、寄付金が4倍になったそうです。まさに「心理的報酬」です。この心理的報酬がやりがいにつながります。

あと有名な話しでは

嫌々電球を磨くだけの社員に言った松下幸之助さんの魔法の言葉。「ええ仕事しとるな~。あんたは電球を みがいているんやないで。子供たちの夢をみがいてるんや。あんたがみがいている電球で子供たちが絵本を読めて幸せになる。子供たちの笑い声が聞こえてこんか?」もありますね。ここまでくると承認欲求を満たす以上の魔法の言葉になりますが・・・

営業戦略や評価制度も大事でが、すぐにアクションに起こせなかったり準備が必要です。「承認欲求」を満たしてあげれば、自分の存在価値に自信が生まれ頑張ろうと思えます。そしてお客様の笑顔を想像させる「心理的報酬」はすぐにできるものです。まずはここからが従業員をやる気にさせるスタートではないでしょうか。

概要

お気軽にご意見・感想をお聞かせください。
V&F国際人事株式会社 概要 


この記事が参加している募集

退職エントリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?