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aikoの詩

ここ最近、自分の聴く音楽が昔から全くアップデートされていないということに、少し悩んでいました。

年末の歌番組を見ていた時。

友人「yoasobiええわぁ〜 お前どう思う?」

自「申し訳ないけれど、俺は良さがあんまりわからんかな。最近のドラムレス、ボカロチックな風潮はあんまり受け入れられへんなぁ。やっぱり10feetとかアジカン、あの時代が至高やわ」

友「お前老害まっしぐらやんww 世間がいいと思ってるものはちゃんと受け入れて認めていけよww」

友人が言い放ったことに妙にハッとさせられた。
俺って老害、、?
老害は流石に言い過ぎかもしれないけど、若返りが行われていないという点では確かにそうかも。

思えば昔から時代遅れなことばかりしていた。

世間がONE OK ROCKやカナブーンを推している中、僕はエルレ信者だった。

マイヘア、ひげだん、キングヌーと、時代の波がゆらゆらと押し寄せる。少し歩み寄っては結局モンパチに戻っていた。

ブラジルにいた時ですら、流行りのラップやクラブミュージックを聴くことはなかったし、取り入れようとすらしなかった。

部内・外の先輩・後輩が最先端の音楽を披露しようものなら、心の中でバカにしていた。こいつらとは話せんわと。
というよりかは認めたくなかったのかも。
途中から密かに気づいていた。そんな今時の音楽は正直めちゃくちゃクールでかっこいい。それまでの泥臭いロック、エモいなんて安い言葉を嘲笑うかのように洗礼されてる。スマートだ。
秘密裏でそっちの領域に行こうと練習したこともあったが、電子音をMIXさせ、耳にはヘッドホンをつけてクリックを聴き流す作業に、自分の技術が全くついていかない。
僕みたいに勢いで誤魔化すタイプの下手くそは、簡単に化けの皮が剥がされる。
クリエイティブで理論的で無駄がない。
もう本当に隙がなさすぎるよ、今の音楽は。
明らかに自分に向いてない。

社会人になってからは音楽をちゃんと聴くということもずいぶんと減った。コロナも相まってライブにも一切足を運ばなくなった。空気悪いし、密集するし。
“ちゃんと“ 聴いてなかっただけで、惰性では聴いていた。ずっと好きだったアーティストの曲を何度もリピート。しかし以前より刺さらなくなった。何というかもうその人達は自分の中で殿堂入りした気分で、スーパーや飲食店でたまに流れるのを聴くくらいがちょうどいい。

流行りにはやっぱりついていけないわ、かと言って今まで聴いてた音楽はもうアオすぎる。
そもそもそんなに音楽自体が好きじゃなかったのかも。
聴かなくても十分生きていけるし。

調子が良い時はそれでも良いかもしれない。ただ少し弱った時とかにいつも寄り添ってくれたのはなんやかんやで音楽だ。
友人に言われたことも思い出し、心機一転今までダウンロードしたアーティストを全消去。
いつかの調子の悪い日に備え、また新たな自分を発掘するために、あまり通ってこなかったアーティストの曲を新旧問わずひたすらストックしては、車や電車の中で聴きながす。
「令和次世代アーティスト」なんてプレイリストも食わず嫌いせずに聴いた。どの曲も確かにかっこいいし上手い。けれど長続きしない。Vaundyの話が少しできるようになったくらい。
別にオタクになりたいわけじゃない。一人だけでいいから、しばらく夢中になれるアーティストに出会いたい。

こんなしょうもないことで悶々としていたら事件が起きる。
ある重大なイベントで使用するために、なんとCDを用意しないといけないことになった。どうやらサブスクで流すのはダメみたい。

CD。正式名称はコンパクトディスク(Compact Disc)らしい。20数年生きてきて初めて知った。
正直戸惑った。今時CDを求められるイベントに遭遇するなんて思ってもみなかったから。そんな絶滅危惧種のモノ、いつかの大掃除の日に全部ブックオフで売り捌いたよ。
そもそも聴く媒体すらほとんどない。
まあごちゃごちゃ考えててもしかたないので、とりあえずどのアーティストのCDにするか話す。みんな知ってるしaikoにしよか。と速攻で話がまとまる。

aiko。ドライブ中に誰かが流す率ナンバー1の歌手。知らんけど。
結構女性シンガーは通ってきたつもりだったけど、そういやaikoはちゃんと聴いたことはなかった。
たくさん曲が入っているということでベストアルバムにしようとなり、Amazonでポチ。
先ほど申し上げた通り、CDを流す媒体が家にはないため、買ったアルバムと全く同じやつをサブスクで流す。
ほー、結構ええやん。
歌も勿論、バックミュージシャンも相当技量があって、メロディーがスッと入ってくる。
そしてパカッと中を開けると歌詞が書いてある冊子(あれ正式名称なんていうんかな)があった。

懐っっ!

そういやCD買ったら、聴きながらパラパラページめくってたわ。
曲の歌詞に興味をなくしたのはいつからやろ。気づいたら意識することもめっきり減った。
巷では「aikoの歌詞は呪い」とまで言われているらしいし、せっかくだから見ながら聴こう。

「振り返ったら後悔が、巻き付いてきそうだから、もう見ない」

へー。「巻き付いてくる」っていう表現するんや。おもしろ

最近文字に起こすという趣味を始めたせいか、以前は素通りしていたことに対していちいち感動するようになった。
こんな感じで他の曲も色々意識して聴いた。年々失っていくと思ってた感受性も、要はアンテナを張ることを忘れていただけなんやな。
特段共感する、っていう訳ではなかったけれど、aikoの歌詞はいろんな人の繊細な気持ちに寄り添ってて、それでいて哀愁も漂わせている。
久々に胸がギュッと掴まれた。

CDというモノの価値。
それで聴くこと自体は正直サブスクと変わんないかな。
けれど今は疎遠になった友人と一緒に聴いて熱く語り合ったり、昔好きだった人と話すきっかけをつくるためだけに貸し借りしたり、はたまた名前も忘れた無名のバンドから購入して刺激を貰ったり。
そんな今じゃどうでもいいような瞬間を、
ふと思い出させてくれては、また記憶の奥底に沈んでいく。
昔で言う手紙みたいなものなのかも。何かが宿るような。

サブスクは確かに便利で知らない世界をいとも簡単に知ることができる。
そんな当たり前にすっかり慣れていたけれど、やっぱり少しチープというのか、それで得る部分は多いかもしれないけれど失う部分もある。
デジタル的に生きるか、アナログ的に生きるか。中間くらいがちょうどええんやろうけど、難しいね。上手いこと付き合って生きていきたい。

趣向のアップデートを試みた結果、行きついた先がCDでしかも今頃aiko

この前先輩の前で「TWICEのモモ可愛いすね!」と言おうとしたところ、その前に「TWICE」を「トワイス」と発音してしまい、
「お前じじいかww トゥワイスやろwww」
とご指摘を受けてしまった。
僕は、
「トワイライトサーガもトワイ言いますよね?!」と、意味不明な反論を残して会話が終了した。本当はモモの話がしたかっただけやのに、、

あー、もう無理かもしれない。俗世を捨てて東出みたいに山暮らしでもしようかな。やめとこか(ファンの方すみません)

今度CDコンポでも買おう。そしていつか本棚に囲まれた部屋でも作って、何にも予定ない日は音楽でも聴きながらコーヒー飲んで本を読もうと今決めた。勝手にして。

何がともあれ、当初の目的である好きなアーティストが出来てよかった。
しばらく聴き続けよう。久しぶりにライブにも行きたいな

aiko ええ歌手や

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