見出し画像

ココイチ

この前お世話になっているバンドの先輩方に付き添い、一緒にpv撮影等、貴重な経験させていただきました。
道中、やれ高校の強豪野球部のチームスローガンが「軌道破壊」だっただの、飼っているワンちゃんとウサギが共存しているだのと、好きあればたわいもない話を車内で繰り広げながら撮影場所にむかっていた。

そんな中、昼ごはんにと向かったカレー屋さん。マクドに向かう予定だったはずがなぜカレー屋なのかというと、先輩が最近カレーにハマってるらしい。二郎系かお酒のイメージしかなかった先輩がだ。
「もうラーメンも酒もええから、カレー屋巡りを趣味にしたい」
と言う先輩の意向に、タイ料理などの変わり種の食事に近頃ハマっている自分も、カレー屋巡りもええなと思い、賛同した。

店内はおしゃれな隠れ古民家風で若い夫婦が切り盛りしている。
メニューには数種のスパイスカレーとクラフトコーラが載っていた。
僕はコーラが飲みたいとちょうど思っていたので、その内の1つを注文。
飲んでから気づいたのですが、僕の苦手なシナモンの味がしました。
そのことを「期間限定の金柑味クラフトコーラ」を
頼んだ、期間限定に弱い先輩に告げると、快く交換してくれた。
感謝しつつ飲んだそれもまだマシやったけれど、それもほのかにシナモンの味がした。

カレーを待つ間、赤ちゃんが僕たちの目の前でキャッキャッしていて、エプロン姿のおばあさんに抱っこされていた。どうやら店主の子供を夫婦どちらか一方のお母さんが、仕事の合間にあやしているらしい。
みんなで赤坊とにらめっこしながら、「かわいい~」とか言って、癒される。そんな平和な時間が続いた。

そうこうしている内にカレーがやっときた。
スパイスが効いたスープカレーが美味い。美味いけどこれまた辛い。辛すぎる。
「自分末っ子なんで、痛みに弱いんすよね、、」
と情けないことを言いながら、汗だくになって食べた。
他の先輩はラッシーを飲んでいた。僕はそれを横目にカレーを食べた。

そしてなんとか食べ切った。正直辛すぎて途中で美味しいのか痛いのか分からなくなっていた。
その後お会計に行く。
厨房から若いhip hop系の店主が現れて声をかけてくる。
「お兄さんたち、どっからきたの?」
僕達は皆別の県から来ていたのでそれぞれ答える。
店主も様々な場所から集まった僕達に興味を持ってくれたのか、色々と世間話をした。
そしてお会計を済ませる。それまでの「ええカレー屋さんやなぁ」と思っていた空気が一気に変わったのがこの後だ。

会計後、美味しかったですと言い残し帰ろうとする。するとそのヒップホップ系の店主が店の宣伝にとSNSのQRコードが書いた名刺を渡してきた。
ここまでは良かった。
問題はその後。
その店はどうやら今、とあるプロジェクトの為に「クラウドファンディング」をしているらしく、僕達に良かったらと軽く勧めてきた。
愛想笑いをしながら僕達は店内を後にした。

その後、それまで機嫌が良かった先輩が言う。
「個人経営の飲食店の店主って何でみんなあんな風貌なん?!」
どうやら過去にクラファンで苦い経験をしたらしい。

かく言う自分もクラファンという言葉自体には少し抵抗がある。
理由は特にない。
ただ不倫をセカパと言い換えるのと同じ類のものを勝手に感じているから。

それまでの僕達のカレー屋に対する純粋な気持ちが、クラファンというパワーワードのおかげで一気に崩れて行く。

店主があんなに世間話をふっかけてきたのも、金柑をメニューに入れたのも、クラファンまでの伏線やったんか?とか、
子供を店内であやすのは、客を油断させるためやったんか?
などと、アホアホ探偵がすぎる推理を車内で繰り広げる。

挙げ句の果てに、食事中あんなに美味しい美味しいと頬張っていたスパイスカレーのことも、
「オシャレ系の店のスパイスカレーってなんかイマイチなんよな」と言う始末。
こうやって人の記憶って改竄されていくのか。

そして話題はココイチに。
「CoCo壱のカレーって、家庭で作られるカレーの味に寄せてるらしいで。けど家庭のカレーを超えることは絶対にできひんから、その手前くらいの味を再現してるねんで」
と、嘘かホンマかわからんうんちくを物知りな先輩が垂れ流しつつ、CoCo壱の何カレーが好きか話し合う。

話の末、結局家で作るカレーが一番美味い。
もっと突き詰めると使うカレーの元。バーモンドカレーが一番ちゃう?と結論が出た。
そこは家庭のカレーで止めとけよ、、
その後お腹を空かせながら家に帰るとオカンがカレーを作ってくれていた。
こんな奇跡ある?
僕はその日の出来事を思い出しつつ、ニヤニヤしながらカレーを食べた。

最近あった面白い話。
たまにこうして書いていこう。

やっぱ家のカレーが一番やで


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?