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理念と売上を直結させると現場は疲弊していく ~私がCriacaoから学んだ事~


こんにちは、Criacao(クリアソン)の中村です。
本日は理念経営について自分なりの考えをブログにまとめてみました。


私は19歳の頃に「ビジョナリーカンパニー」という本と出会いました。

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会社の存在意義・社会的責任について考えさせられる内容だった。これを読んでからは宗教のように「理念(思い)が大事だ」と発信し続けた。理念を追求した先に「たくさんの幸せ」があると信じていたからだ。


理念経営に憧れ、絶対正義だと信じたが現実は厳しかった。
理念を追求するほど、経営課題が鬼のように生まれてきたからだ。

●もっと明確なビジョンにするべきだ
●社会の変化にあわせて理念を変えるべきだ
●社員に理念が浸透していない事が課題だ
●ビジョン・ミッション・バリューが明確じゃない事が課題だ
●上と下の思いに誤差がある
●もっと社員の売上意識を高める必要がある


そして色々な対策をしてみるわけだ。

➡社長がMTG前に理念について熱く語ったり
➡コーチングをしてみたり
➡全員でビジョンについて考える時間をつくったり
➡それっぽい研修をいれてみたり
➡1on1ミーティングをしてみたり

まあ、だいたいどれも長続きはしない(苦笑)



そして問題が解決しない状態が続くと、会社はこんな結論をだす。

「理念は売上があってこそ、実現できるんだ。だからこそ理念を大事にして売上を追求することが正義だ」


これは正論っぽく聞こえる。
私もこの正論っぽいフレーズに逃げていた時期があった。経営陣にとって都合のいい言葉だ。このフレーズを使う時の思考回路は、だいたいこんな感じなんです。


理念


経営が上手くいかないのは、「メンバーの意識の問題だ」という結論。
そしてこういう状態で経営陣が多発するフレーズがある。

「他責ではなく、自責で考えろ」

会社の上層部が何度もこのフレーズを発信する。そして中間層も真似をして同じような事を言い始める。地獄のはじまりである。



この言葉を何度も浴びさせられたメンバーの中で、優秀な子達からこんな風に考えるようになる。
「いやいや、まずはお前たち(経営陣)が自責で考えろよ」

こういった人たちは経営陣から、「あいつが組織に悪影響を与えている」とターゲットにされてしまう。そして居場所を失い退職となる。会社は貴重な人材を失う。


素直な子たちはこんな風に考える。
「そうだよな。自責で考えなきゃ。本当に今の私って駄目だな、、、」
(そしてどんどん活力を失っていくか、考える事・疑問をもつことを辞めて行動にコミットメントするだけのソルジャーになっていく)

ソルジャーはいつかマネージャーになる。
そして彼らは、「マネジメントが一方的で部下の信頼を失うか」「マーケット(市場)を理解しないで、目の前の業務に対してひたすらKPIを追究するだけの短絡的思考なので、部長職としては物足りないと判断される」

会社は部長職を中途採用しようと考えるようになる。
(こういった問題をつくったのは自分たちであるにも関わらず、自社の責任からは目を背けるのだ)



翌年から新卒・中途の採用要件が変わる。

「ストレスに強い子」
「粘り強い子」
「理不尽耐性がある子」
「とにかく何も考えないで行動できる子」
「結果主義の子」

会社に対して疑問をもつことなく、結果にコミットメントできる人材の事を「優秀」として定義するようになるのだ。会社の進化は止まり、衰退へと近づいていく。




私はこういった会社を批判したいわけじゃない。
こういった会社の多くは、「善」からスタートしていることをよく知っているからだ。いつの間にか「善」よりも「欲」が大きくなってしまい、色んな事がおかしくなってしまっただけ。


私は「欲」が悪いと思った事は1度もない。
欲は成功するほど大きくなっていく。

大事なのは「善」を「欲」以上に成長させていく事だと思っている。



また理念経営の会社が「売上」を追究することに対する抵抗感もない。

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「価値創造の基本原則は、資本コストを上回る資産収益率で成長する企業が価値を創造する、という極めてシンプルなものだ」(企業価値評価より)

上記の定義に対しても納得しているからだ。





何が理念経営を邪魔しているのか?

色んな要素はあると思うが、私は驚くほどシンプルな結論に辿り着いた。


それは、
「理念と売上を直結させてしまう問題」である。



売上が上がらないのは、
●理念が明確じゃないからだ
●理念が浸透していないからだ
●理念を語れる人がいないからだ


こんなことを考えている経営者の方がいれば、是非考えを改めてほしい。その先に未来はないからだ。


重要なのは理念を体現するための「技術」であり「サービス」だ。技術・サービスへの信頼こそが「理念に共感した人間を動かすためのガソリン」なのである。


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断言しよう。
技術・サービスに対して投資を成功させる事は、

強制力のあるマネージャーを高い年収で採用するよりも、
他責ではなく自責で考えろと毎日発言するよりも、
社長が毎日ビジョンを語るよりも、

「理念に共感した人材を動かす」ということを。




Criacaoの事業から私が学んだ事

理屈だけではわかりにくいと思うので、今回はCriacaoのキャリア事業部の事例をもとに理論の説明をさせてほしい。

私自身は2019年1月にCriacaoに入社したが、レベルの高いメンバーが驚くほど高いモチベーションで仕事をしている姿を目のあたりにして驚いたのを今でも覚えている。



Criacaoのキャリア事業について
Criacaoでは企業と学生の間に「人材エージェント(新卒紹介サービス)」として介在し、マッチングビジネスを展開している。

人材紹介サービスの「方法論」に対して競合他社と大きな差はないが、私が驚いたのは「技術意識」だ。


自分も10年ぐらい人材会社にいるが、どの会社も「承諾率を上げるための技術」「押し込むための技術・知識」「競合他社を使わせない技術」など自社のためになる(売上に繋がる)技術は高いのだが、クライアントが本当に必要としている技術はないものだ。(悲しいけどこれが現実である)



Criacaoには「KPI(行動管理)」という概念がない。
将来的には取り入れていく事はあるだろうが、CriacaoにとってKPIよりも顧客に対する価値創造が経営の最優先となっている。


だからこそ「KPIを高めるための技術」ではなく「本質的な問題解決に対して技術」を追求していく事が求められる。下記の図のような形で、介在価値をどのようにだすべきかを考えさせられる。

ORIGIN第3回スライド


Criacaoキャリア事業部は、どのように介在して価値を出すべきか?についての技術が圧倒的に優れている。


例えば自己分析ひとつとっても、下記のように分解して価値提供している。
(Criacaoの独自技術なので、簡単な概要だけ共有させてください)

○ 自己分析がなぜ必要なのか?
○ 自己分析は何からスタートするべきか?
○ CANNOT を CANにする上で人間が必ずぶつかる2つの問い
○ 2つの問いに対して、過去を掘り下げる
○ 2つの問いに対して、今思えばどうあるべきかを考える
○ 志望動機を「志望」と「動機」に分解する
○ 「志望」を「社会理解」と「原体験」に分解する
○ ホワイトボードを使って、X軸とY軸に分けて掘り下げて一枚絵の中で情報が整理されている状態を生み出して「気づき」のレベルを高める。
○ WILLをどのように発見するべきかについて
○ WILLは理想主義と現実主義でどのように変わるのか
○ 原体験を行動パターンとインパクトから言語化していく


技術論は毎年進化しており、
入社1年目に求められる水準、
入社2年目に求められる水準、
入社3年目に求められる水準、

というラインがはっきりと決まっている。
入社年次に応じて技術テストもあり、技術レベルが見合わない場合は水準を満たすまで上司がマンツーマンで指導していく形となっている。



本質的な価値から逆算して技術を学ぶからこそ、社員が「もっと技術を試したい」「もっと覚えたい」「もっと技術を使って人に関わりたい」と自然に思えるようになってくる。

KPIで行動管理したり、行動喚起する必要がないのだ。
※どちらかといえば、全員がいろんなことに関心をもって行動しすぎるので、ここに集中しようと行動を集約させるためのマネジメントは必要になってくるが(笑)



理念経営で最も大切なことは、理念にふさわしい技術・サービスを育てていく事だと私はCriacaoに入社してから確信している。

当たり前の事だが、社員は良いサービス・技術を世の中に広げたいのだ。
理念に共感する社員なら尚更である。


完ぺきな商品でないと営業できない人間じゃ価値がないという意見も正しいとは思う。だけど「サービス・技術の向上」を追求しない理由にはならない。時代に応じて良い商品の定義だって変わってくるのだから、サービスが毎年・毎日のように成長し進化している組織こそが、理念経営を実現できると私は確信している。


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