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トヨタのモノ作りは、今でも強いのか。

6月にトヨタが行った次世代技術発表会以降、部品メーカーや材料を提供する鉄鋼メーカー、アルミメーカーも含めて大きな騒ぎになっています。下の写真は、自動車の後輪周辺の構造部品です。左は現在のトヨタの製法で、86の部品を33工程で組み上げています。一方、右側はテスラが採用しているギガキャスト方式で、アルミの鋳物の一体成型(1つの部品)です。左は鉄製ですが、右はアルミとなるため価格は上がりますが、工数が減少する分で相殺されます。テスラは、モデル3以降、リアとフロントでこの方法を採用しています。トヨタは、2026年発売のEVモデルから、ギガキャストを採用すると発表し、サプライチェーン全体に大騒ぎとなっています。

TOYOTA Technical Workshop資料より

従来の考え方では、左の方が多くの部品に分けているため異なる車種で部品を共有でき、修理も簡単というメリットがありました。しかし、テスラのように少ない車種を大量生産する場合、一体成型の方が数量効果を出しやすいと想像します。ただ、このサイズの鋳物となると、型の製造をどうするか、高額なプレス機を部品メーカーが購入するのが難しいがトヨタが保有してくれるのか、溶接回数は全体でどの程度削減されるのか、ギガキャストと同時にトヨタは販売車種を削減するのかなど、関連企業の経営方針を大きく左右する問題が多く、サプライチェーン全体が大騒ぎとなっています。

そもそも、テスラのカリフォルニア工場は、トヨタとGMのJVの生産工場で、GMが手を引いたスペースで、2010年当時トヨタがテスラに製造工程を指導するような立場でEVの共同生産を行っていました。しかし、現在ではテスラの工法をトヨタが真似する時代です。ギガキャストに限らず、テスラが業界に旋風を巻き起こしているのが、オクトバルブと呼ばれる冷却システムです。従来の自動車がエンジンやECUなど周辺機器の冷却に別々のシステムを搭載していたのに対し、オクトバルブは8つの流路で電池やモーターなどの冷却を集中管理します。これを巻き返す商品を、日系各社が研究中ですが、デンソーへのヒアリングによると、主要部分をテスラの特許が抑えていて、対抗策が見つかっていない模様です。

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