コスパで考える学歴攻略法(新潮新書)読んでみた
結論。中学受験に入る前に一回読んでみるのといいかもです。何なら、小学校を選ぶ時に、私立受験がない地域を選ぶ可能性も考えたら、小学校に入る前に読むべきかもしれません。
同書は、小学4~6年で塾に通い私立の中高一貫校に行くのはコスパが良いのか、中高公立から難関大学へ進学する場合や、海外へ留学するケース、大学で医学部へ行くケースなどを比較しています。全般に、海外と比べ、日本の教育について安価で品質が高いことをポジティブに捉えています。また、安価な割には大企業への就職が約束され、緩い競争の中で一定の収入が約束されるため、コスパが高いとしています。いくつか面白いポイントは以下です。
東大合格者(2021年度)の半数は、開成193人、筑波大駒場97人、灘92人など名門36校出身者。
その名門校に入るため塾に通っても、開成に合格するのはSAPIXの上位約5%。
名門塾に小学4-6年で払う300万円は、学習環境、質を考慮すると安い(親が競争環境を用意することは不可能)。
最難関中高一貫校の卒業生であっても、下位10~20%は深海魚と呼ばれ、MARCHにも到達しない。
私立の中高一貫に通うと塾を含め1000万円程度かかるが、偏差値の上乗せ幅は3ポイント程度。ただ、偏差値3違うとMARCHが上智になったり、阪大が京大になる(分析データに難あり)。
著者自身も日本の大学で実績を作り、海外で給料をもらいながらPhDを取得しており、これがコスパ最高だと。
投資と回収だけを考えるなら、医学部一択。
著者は英語教育の重要性を説いていますが、小さい頃から海外のボーディングスクールへ入れるのは高すぎるとしています(納得)。また、高校を卒業してそのまま米国の大学へ行くのも、私立だと年間800~1500万円かかることを考えるとコスパは悪いとしています。ただ、実際には、私の娘は米国の大学に通っていますが、奨学金をもらっているため授業料と寮費で年間350-400万円ほどです(円安で支出が増えました。汗)。日本で子供を一人暮らしで私立大学に通わせると、仕送り180万円(=15万円×12か月)と授業料120万円程度(理系なら180万円前後)で年間300万円程度はかかりますので、個人的には米国大学はお得感があると考えています。
どういう教育環境を与えるのが良いかは、父母でも意見が分かれるところですし、正解はありませんが、人生設計上、投資とリターンの関係が子供にも家計にも影響を及ぼすだけに重大です。
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