見出し画像

裁断部にCADの導入を断られた話

まずこの話は縫製に関わる方だけでなく、

人間関係に悩む方、初めて上司になる人、マネジメントに悩んでいる人たちにも読んでほしい。

必ずしも該当するとは限らないけど人は心で動いているから、

その心に寄り添いたいな。ってお話。


CADを導入しよう!ということになった


弊社は縫製工場だから常に「機械化するか人の手で行くか」はつきまとう、

その中でも裁断は縫製の最初の段階で、裁断が止まると縫製はできるわけなく、

どれだけ月商1000万だ!って目指しても切れないものは縫えない、

少しずつ成長する弊社にももちろんその課題がやってきた、

弊社では積極的にご家庭の事情を抱えた人たちを採用している。

母子家庭、旦那さんを扶養してる、旦那さんが重度のご病気、お母さんの介護などだ、

例外なく弊社の裁断部のスタッフ2名は共にお母さんの介護をしている。


そのため急遽出勤ができなかったり、早く帰らないといけないこともある。

そのため裁断をいかに効率化するかはカギである。


弊社の裁断士はとても好評で、パターンに少しでもおかしいことがあればすぐに直接メーカーに問い合わせて「この部分を修正してカットしてもいいですか?」と問い合わせる。その問い合わせの頻度の高さも好評で、

おかげで裁断してしまったがためのミスはかなり少ない。


そこで経営陣は

「CADの導入をして弊社の職人とかけ合わせるとさらに素晴らしい裁断部になる」

と考えたわけだ。

試しにCADを取り扱うメーカーに出向いてデモンストレーションをしたところ驚くほどに効率が上がることがわかった。

そして意気揚々と会社に戻って裁断部に伝えた

「CADはすごいです!今やっている業務をかなり効率かできるし、人の手を入れるとさらに素晴らしい結果が期待できる!すぐに導入しよう」


その日は裁断部も興味を持ってくれてカタログを見たり、色々と考えてくれた。



数日後



弊社のNo.2から僕に報告があった

「裁断部がCADの導入を見送りたいと言ってる」


おいおい、

ちょっと待ってくれよ、

どう言うことだ、


話を聞くと

「CADにはできないこともあるしそんなコストを入れてやるべきことか?」

と言うのである。

繰り返しになるが弊社では現在お客様の数も増えて、

生産数はうなぎのぼりだ、裁断した数=売り上げと言っても過言では無い。

そんな状況で「CADは嫌だ」と言うのか、

考えられない。

ハハァン、

ナルホド、


わかったぞ、

急にCADが入ってくると使い方がわからなくて怖いんだな、

いや、

もしくはCADに自分の仕事を取られたりするのが怖いんだな


わかるぞ。

人は昨日と同じことがやりたいんだ、急に環境が変わることを極端に怖がる。

つまりそう言うことだな。


僕は決めつけた。


裁断部はただただ変化が嫌なだけだ。


そして裁断部に話に行った。

「大丈夫、CADは怖く無いし使い方も指導する、もっと効率が上がるし効率が上がればお給料にも反映できる」


僕なりに、言葉を選んで、

丁寧に、

話した。


「嫌です」


それが裁断部の答えだった。


僕は少し腹が立った、

言っても僕はこの会社の社長であるし、僕の独断で導入することもできるのだ、

効率を上げないといけないし、

むしろ売り上げの足を引っ張っているのは裁断部では無いか?

裁断さえうまく回ればと思い裁断部に提案しているのだ。



そこで経営陣で集まり話をした。

「どう思う?」


そしたらある人がこう言ったんだ

「裁断部ってめちゃくちゃ頑張ってますよ」

ん?

「裁断のチーフは毎日誰よりも早くきて、夜遅くまで裁断してる、土日も出てきて介護しながら、ダブルワークもしながら裁断してる」


だけど結果が伴って無いのだ、

ただがむしゃらに手を動かしても効率が悪いまま手を動かしても、

意味がないのだ、僕は頑張りを評価していないのではなく、

もっと効率のいい頑張り方をしよう!そう言ってるだけなのだ。。。



と言いかけて気づいた。




弊社の裁断部は独立した部屋にあり、

他の部署と違い孤独である。


他の部署では手が足りなくなるとすぐにわかるので

「手伝おうか?」と言う言葉が飛び交い、裁断は少し専門的な部分であるから、なかなか「手伝おうか?」が言えてなかった。

そんな部屋に朝から晩まで、土日も出てきて裁断して、

努力して、努力して、

自分の中に溜めている感情を出すこともなく、

ただ切って、切って、


寂しく、

孤独だったのだ。


そのことに気づき僕は胸がいっぱいになった。


頑張り方は手段だ、

でもその手段を選ぶその人の「感情」に寄り添えていたか、


感情に甘えてサボる、

不平不満を言うこともできたはずだ、

でも介護、ダブルワークをこなしながら空いた時間で精一杯切ってきたのだ、


間に合わないと泣きそうになりながら、

隣の部屋では「手伝おうか?」が飛び交っている。

そんな中耐えて、耐えて切ってきたのだ。


僕は CADの導入でそれを救えると思っていた、

だけどそれは「手段」を解決するためで、

「感情」を救おうとしていなかったのだ。


すぐに翌日の朝礼(うちは45分くらいやる)で話をした。


「裁断部について話があります、CADは導入します。

しかしその前に裁断部は僕たちの大切なチームです、だから裁断部が困ったり、止まったりしそうな時は早く「手伝って」と言ってください、そして手伝って欲しいと言われたら何が何でもチームで手伝いましょう。

僕もやる、みんなやろう。裁断部だけじゃない、みんなチームだ、だから全員で服を作ろう、みんなで切ろう、みんなで出荷しよう。

寂しくさせて苦しくさせてごめんなさい。

僕たちみんなで日本の縫製業を次世代に繋ごう」



そんな話をしました。

すると裁断部のチーフの目から涙が溢れました、

他の部署の人たちも泣いてました。


経営をしていたり、

上司になったりしていると、

数字を追うようになり、

効率化を考えます。

そうすると「手段」を変えようとするのです、

しかし「手段」は「感情」から生まれてくるものです。

その感情を飛ばして「手段」の話をされるととても「悲しく」なります。


だから、

まずはその人たちの「感情」に向き合って、手段を選ぶべきだ、

そう思いました。

会社を動かすのは「人」だし、「人」は感情の生き物です。

だから面白い。

だから難しい。

だから楽しい。


CADは導入することになりました。

だけど、

今では全員で裁断部の手伝いをしています。

空いた時間をフル活用してチームで助け合ってます。

それにCADが入るんだからさらに効率も上がる。



僕たちのチームビルディングのお話。


こんなチームで今日も服づくりやってます。


ヴァレイ集合写真2のコピー

Hide

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

113
奈良県で縫製工場「合同会社ヴァレイ」を25歳で起業し4年目のHideです。 「日本の縫製業を次世代につなぐ」 日本全国の潜在縫製士たちに自宅をアトリエとして活用してもらうMy Home Atelierの運営をしています。 http://www.valleymode.com

この記事が入っているマガジン

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。