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スタッフが"休業しよう"って言ってくれた話

新型コロナウイルス Covit-19が世界的に大流行し、

日本でも本日から7都市で緊急事態宣言が出される見通しだ。

それに向けて僕が経営する合同会社ヴァレイでもいよいよ他人事ではなくなってきた。


現状と対策

現状、

もうここまでくると関係のない人など誰もいない。

僕たちは奈良県でまぁまぁ田舎で、奈良県全体の感染者も20人前後でそんなに悲劇的な状況ではないように見える。

しかし、

しっかりと、静かにCovit-19の影は近づいていて、

僕たちの会社がある隣町でも感染者が出だしたり、

緊急事態宣言が出るであろう大阪までは20分くらいの距離だし、

奈良県は県外就職率が日本で1番なので、

もちろん大阪、京都、兵庫などに働きにいく人の数はとても多かったりと、

僕の会社でも間違いなく対策をしなくてはいけないと考えていた。

そして、

仕事の中身を見ても

顧客のほとんどがセレクトショップなどに卸すデザイナー達なので、

そのセレクトショップが「不要不急の外出」であるがために洋服を販売できない、

もちろんそうなれば作れないわけで、

5月の仕事の見込みは本当に立たなくなった。


会社としての対策はもちろん行なっていて、

会社を続けるために国が行なっている緊急貸付に申し込んだり、

雇用調整助成金などについて情報収集したりしていた。


葛藤

そんな中スタッフ達の不安な声が聞こえてきた、

「学校が休みになって学童も行かせられない」

「介護中の母のデイサービスが不安だからできれば家にいてやりたい」

「大阪から通勤しているが、電車に乗るのが怖い」

いろんな声が聞こえてきたのだ、

会社として行わなくてはいけないことは2つ

会社を存続させること。

そして

スタッフの安全、そして生活を守ること。


まずはこの2つを優先的に考えなくてはいけない、

しかしこれは同時に反比例する内容なのだ、


会社はみんなの家だ。

みんなが日々笑顔で、ワクワクしながら、

しっかり働ける環境を整えなくてはいけない。

人生のうち一番多く社会に触れて時間を過ごす場所なのだ、

だから僕は会社をもう一つの"家"だと思っている。

この会社がなくなっても

みなさん生活はできるだろうが、

心の拠り所がなくなってしまうんじゃないだろうか。

そう不安になった、

話は逸れるが、

弊社のスタッフの50%以上は親の介護や、子育て、母子家庭、家族が闘病中など様々な事情を抱えている。

そのためチームで運営していて、「急に休みます」ができる環境を整えているのだ、

できる限り属人化せずに、システムに情報を集めて誰でも情報を引き出せるようにしている。

だからみんな気軽に「今日遅れます」とか「今日早退します」ができるようにしているのだ。

だからうちのスタッフが別の職場で働くことになっても、家庭事情の問題でうまく働けるかわからないのである。


だから会社を続けなければいけない。

みんなが来れる家を守らなくてはいけない。

しかしそれはつまり経費を最小限に抑えることになる。

つまり、

人件費にメスを入れることになるのだ。

もちろんパートナーが働いているから大丈夫という方もおられるが、

母子家庭で、自分の収入だけで小さい子供達を見なくてはいけない人もいる。

自分の収入と年金だけで介護しながら生きていかなくてはいけない人もいる。

その人達に「1ヶ月休んでください」と伝える必要があるのだ、


会社休みましょう。

僕は金曜日に朝礼でみんなに伝えた。


「国からの保証があるのか、どこまで保証されるか現在調べているところです、ただどちらにしてもみなさんの帰る家を守りたい、そのために少し休んでもらいたいと思っています、ただどうしても生活が大変な人は個人的に要望を伝えて欲しい」

とても心苦しい決断です、

しかし国からの保証が不明確である以上は最悪みなさんに休んでもらって、

経費をギリギリまで抑えて会社を存続させる必要がある。

そう決断しました。


そしたら、

「谷さんちょっといいですか?」


やっぱり、

ほとんどのスタッフから"個人的に要望がある"と声をかけられました。


みんさん生活がある、

そりゃそうだ、

そう思っていました。

しかし声をかけてきた全てのスタッフが


「自分を休みにして、その分のお金を他の人に回してください」

と言ってきてくれました。

同時に、

「ヴァレイは私たちの家です、だからなんとか存続して欲しい」

と要望を伝えてくれました。


僕はこの日ほど、

自分の会社のメンバーに支えられていると感じた日はありません。

この不安の中、

この世界的なピンチの中、

全てのメンバーが利他の心を持っていて、

その素晴らしいメンバーが僕たちの会社を"家"だと思ってくれている。


迷っていたモヤモヤが全て晴れる気がしました。


なんとしてでもみなさんを守る、そして会社も守ろう。


そしてその場でみんなに約束しました。

1ヶ月みんな休んで、命を守ってください。

休んでいる間の給与は60〜80%保証します。


正直会社としても厳しい、政府から出されている情報はまだ不確定で、

きちんと補助が降りてくるかわからない、

しかしまずはなんとしてでもこの人たちの不安を拭う必要がある。

それが自分にできる唯一の仕事だと思ったから。




リーダーの種類、僕は弱いリーダーだから

僕はみんなを率いて「それ行くぞ!」と言えるようなリーダーではありません。

仕事はできないし、

変わり者だし、

カリスマ性もない。

だけれど僕は最高のチームを持っていると確信しています。

リーダーにはいろんな種類の形があります。

率先して道を切り開いていくもの、

人に寄り添いパワーを与えられる人、


そんな中、僕は弱いリーダーです。

本当に何もできない。

だからこそみんなの生活を考えたい、

環境を整えたい。

気持ち良く働いてもらいたい、

みんなが主役、僕は裏方。

僕を"リーダー"にしてくれたのは、紛れもなくメンバーだから。


僕なんかがリーダーでいいのかな?

そう思った日もたくさんありました。

だけど、

僕はリーダーだと胸を張ろうこんなに素晴らしいメンバーがいるのだから。


GIVEだけでいい。

今回のことがあって、

僕はやっぱり確信しました。

GIVE AND TAKEなんて言いますが、

TAKEなんていらない、GIVEだけでいい。

そう思っていたら、大きな大きなTAKEをもらえました。


どうしても人はGIVEすればTAKEを求めてしまう、

何かあげたら「ありがとう」を求めてしまう。

だけど、

必要なのは徹底的なGIVE、

自分が周りにどれだけ幸せになってもらえるかなんじゃないかと思います。

僕がどれだけのGIVEができているかはわからない。

だけど、

一人一人のスタッフができるだけ働きやすいように、

その基準を変えたことはありません、

うちは一律の規定は機能しません。

個別に対応します。

だってそれは一人一人気持ちが違うから、

一人一人の状況が違うから、

それができるのはまたまだ小さい組織だからかもしれません。

でも、

僕はできる限りのGIVEを続けたい。

そしてTAKEなんてなくてもいい。

そう思っています。


もう十分大きいTAKEをもらったから。


もう一踏ん張り、

頑張ろう。




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