アパレル業界が共存するということ。
僕は下請けという言葉が嫌いだ。
言葉には呪いがあって、下請けという言葉だけで急に自分たちが無力に感じてしまうから。
だから僕はパートナーという言葉を使う。
そしてパートナーという言葉を使うからには、パートナーとして生きていけるように会社のCore Value(会社の思考基準)にも "共存"という言葉を入れいている。
パッチワークスとの取り組みについて
平素より弊社で縫製を行なっているパッチワークスさんの期間限定のオンラインページにて弊社で企画、製造したガウンの販売を開始することになった。
もちろん最大の目的は現場で医療用のガウンを必要とされている方に迅速にガウンをお届けすることである。
ただこの取り組みには別の考え方が眠っていて、そこが共鳴したから今回の取り組みになった。
そして今回の取り組みは僕たちファッションに関わる全ての人に関係する思考だと思う。
販売に至った経緯
僕たちが医療用のガウンの生産を始めたのは4月の中頃、
一刻も早く現場にガウンを届けたい。
そう思い見切り発進気味にガウンを作り始めて、すぐさま販売を開始した。
4月はまだアパレルが少し動いているような印象だった、うちの会社の売り上げも4月は例年通りで大幅な減少にまではなっていなかったが5月はすでに壊滅的だったのだ。
そんな時ガウンの生産、そして販売を行うことでなんとか存続できる状態だった。
物づくりできるところは強い。
政府からの要請もありたくさんの縫製工場がガウンの製造に取り掛かって、直接国や団体を通じて納品を行い、全てではないにしても多くの縫製工場が止めずに仕事を行なっていた。
しかし僕たちのパートナーはどうだっただろうか?
普段僕たちに仕事を出してくれているアパレルメーカーさんたちだ、
販売店は軒並み休業になり、ECがあるとはいえ通常時の売り上げと比べると比較にならないくらい落ちているに違いなかった、
特に店舗を持って運営しているメーカーは厳しいだろうと予想できた。
そんなある日パッチワークスの社長と電話で話した、
具体的な内容は避けるが、やはり新型コロナの影響は大きく、どうしたもんかなぁ。という状態だった、
そしてそこでどちらともなく
「ヴァレイガウンを売りましょう」
という話になった、
通常アパレルメーカーが企画して、工場で生産し、販売はメーカーが行う。
しかしその時点ではヴァレイが企画し、販売もヴァレイが主導で行なっていた、
通常のイメージからすると逆だろう、
工場が企画して製品化したものをメーカーに卸して、販売を行うのだ。
デザイナーズブランドに対してODMをしているようなもんだ。
しかし、
パッチワークス側にはEC部隊がいて販売に関してはノウハウがある、
ヴァレイには物づくりをスピーディーに行える強さがある、
どちらが上で、どちらかが下ではない。
業種を跨いだパートナーシップなのだ。
だからとても自然に「得意を活かして一緒に仕事しよう」ということになった、
だから今回"医療用ガウン"という特殊なアイテムをアパレルメーカーを通じて販売することになった。
共存することについて
僕が目指すのは共存できる業界である、
今回の新型コロナの影響で、とてもたくさんの業界の課題が浮き彫りになった、
まず何より作りすぎ。
百貨店のように売れるか売れないかは別として商品を多く並べておかなければ成立しない業種が存在していること。
そうすることで無駄な量を作りすぎる、だから今回のように売れない緊急事態になり次第膨大な赤字が膨らむ。
それに伴い発注のキャンセルや、支払いが行われないなどの影響が出た。
そして僕がとても課題に感じているのは"口だけパートナー"である。
景気がいい時は"僕たちはパートナーだ"と言う。
そしてある日担当じゃない人から電話がかかってきて、もしくは郵便物が届いて
「契約を解除します」
だとか
「支払いは行いません」
だとか平気で言ってくるのだ。
新型コロナウイルスのことがあったとしても一度裏切られたらもう二度と元には戻れないだろう。
そんな気持ちで"パートナー"だと言ってるならやめたほうがいい。
そんな浅いものではなくて、もっと深く、
人生を共にできるようなパートナーと仕事がしたいのが、
彼女が欲しいんじゃない、結婚したいんだ。
共存するということはそいういうことだ、
だってそうだろう?
健やかなる時も、病める時も、パートナーを愛し続けることを誓うんだから。
ビジネスは結婚なんだから。
役割が変わっただけ
今回のパッチワークス様との企画はとてもスムーズだった、
一切の違和感なく進められた、
その理由は横並びになっている関係で、ただ単に役割が変わっただけだから。
パッチワークスの社長とはよく話すのだが、互いにとても尊敬し合っていると感じている。(そう思ってくれていたらいいなぁ)
そして互いに互いが助け合い、今までやってきた。
そしてこれからもその思いは変わらないだろうし、新型コロナが落ち着いた後も同じように続く関係だと思っている。
だけどこれが従来の発注側と受注側、メーカーと下請け工場だったらどうだろうか。
今の通りになってはいないと思っている。
僕は今回の新型コロナの影響によって、
これからもよろしくね。
という人と、
さようなら。
をいう人と明確に分かれたんだと思っている。
そしてうちは"これからもよろしくね"の人たちとだけ、
楽しく、責任を持って生きていく。
最後に下請けについて
脱!下請け!
そんな言葉をよく聞くのだ、
だけど僕はこう思う、
下請けと同じ仕事をしていてもパートナーシップを結ぶことはできるし、役割の違いだけを明確にして対等にビジネスすることはできる、
脱!下請け!は決して自社ブランドを起こすだけでもなく、
企画することでもなく、
今まで通りの仕事をしていたとしても、責任を持って続けられるパートナーと仕事を続けることなんだと思う。
ヴァレイが作っているガウン、
こちらから販売しておりますので、ぜひお買い求めいただければと思っております。
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