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メイドインジャパンのウソ

メイドインジャパンっていいもの?


店頭でよくこんな文字を見る。


「職人のこだわりが詰まった・・・」

「日本の職人の・・・」

「高品質のメイドインジャパン・・・」


日本にはまだまだ「メイドインジャパン信者」が多い。


僕が監査法人の会計士さんたちと事業計画の作成や

工場のブランディングやマーケティングの戦略を決める時こんなことをよく言われた。

「メイドインジャパンってやっぱり高品質なんですよね?」


この問いを何十回とされた、

そして常に僕の答えは「No」だ、


いや、厳密に言うとあながち「No」ではない、

しかし微妙に違うのだ。


例えば、

縫製技術の世界No.1を決めると言う世界大会があったとする、

その上位におそらく日本人は入賞するだろう。

そうすると日本人のみんなはこう言うのだ

「やはり日本の技術はすごい、日本製を買おう」


しかしここには大きな間違いがある。

これはスポーツでもよくあることだが、

世界一の技術を持っている国の平均点が高いか?と言われれば必ずしもYESではないのだ


テニスで錦織さんや大坂さんが世界で活躍している、

大坂さんは世界ランキングで1位になっている。

じゃあ日本のテニスのレベルが世界一か?と言われると全くそうではない、

テニスプレーヤーたちの平均点を取ろう!と言うことになれば日本は圧倒的にアメリカには勝てないだろう。



縫製工場でいうと、

確かに世界に通用する技術者は日本にはいるだろう。

弊社の職人にも見惚れるほど綺麗に縫製する職人は確かにいる。

しかし、

日本全体の工場を見渡すとその多くが海外からの研修生に支えられていて、

日本人だけだ!と言ってる工場でもおじいちゃん、おばあちゃんがチクチクと縫っている場合が多い、

おじいちゃん、おばあちゃんたちが「熟練の職人だ!」というのは間違いではない、

ただ、

高齢になるにつれ間違いなく「黒が見えない」などの身体的な問題が出てきて、

熟練=綺麗

ではないのだ、

僕が夏にある工場に行った時めちゃくちゃ暑かった、

暑いなぁと思っていたら工場のおじちゃんが「クーラー壊れてるねん」と言った、

その工場ではお金がなくて、

今の目標は「クーラーを買うこと」だと言った、

適正な加工賃をもらえてないのだ。

ある工場では中国で作られた商品の「品質表示の付け替え」を行なっている。

MADE IN CHINA から MADE IN JAPANに付け替えているのだ、

違法だろ、

そう思うが「最終加工地が日本なら良い」という理屈らしい、


「メイドインジャパンは高品質だ」 はウソかもしれない。


それに比べて、

中国では日本含め多くの会社が資金を投入し、めちゃくちゃ最新のミシンや設備を入れて、

高給で日本人の技術者を迎え入れて技術指導を行なっている。

日本に出て行った研修生たちも3年経てば国に帰り地元の工場で切磋琢磨しながら技術を磨いている。


平均レベルでいえば日本はすでに世界に比べて技術力でも負けている可能性は十分にあるのだ。


そして問題をややこしくしているのは日本人はこの事実を認めない、

認めたがらない。


いまだにユニクロ批判をする、


「やっぱり縫製がよくないよな」


いやいや、

何をおっしゃいます、

確かに完璧でないものもあるかもしれない、

ただこのコストでめちゃくちゃパフォーマンスの良い商品が作られていることを認めるべきなのだ、

そりゃそうだ、

1型の洋服の設計にかける金額は馬鹿高いだろう、

日本で100着作るのとは訳が違う、

何千枚、何万枚と作るんだから完璧なプロが、大きな金額をかけて、設計して、

量産するんだ、

そりゃ品質も安定するし、クオリティの高いものになるだろう。


しかし日本には「メイドインジャパン神話」は存在する、

しかし結果を見れば、


縫製工場の数は30年で1/5ほどに、

洋服の国内自給率は2.4%になってしまった、


メイドインジャパンは良いモノか?



それでも僕は「良いモノ」だ、

という。

(どないやねん)


それには1つの理由がある、


それは「国内の仕事を守ること」に繋がるからだ、


適切な消費が未来の仕事を守る。


海外で作られた服を買うことと、

日本で適切に作られた服を買うことで明確に違うのは


「どこにお金を落としているか」

である、

日本がアメリカから輸入する食品にかかる関税を撤廃するとみんな、

「日本の農家さんの生活が危険になるから反対!」


になるわけだ、

だけど洋服ではそうならない、

すでにメイドインジャパンは2.4%しかないのにだ。


メイドインジャパンの商品は「高品質」という意味では良いものではないかもしれない、

だけど、

服づくりをしている人たちの生活を守るという意味では「良いもの」なのだ、


メイドインジャパンの洋服だから長く着れるわけではない、

だけど、

だけどメイドインジャパンの商品を使うことがその人たちの生活を守ることに繋がるのは間違いない、

だから国産の商品を買い、使うのだ、

自分たちの子供たちの仕事を守るために。



メディアの責任

ある取材を受けている時にこの話を思い出した、

そのメディアは確かにファッションのメディアではないのだが、

取材中、

メイドインジャパンは高品質なものだと決めつけ、

高齢の職人の技術は素晴らしいという目線で、

偏った質問が多々あった、

もちろん先入観だし、悪気があるわけではない、

だけどきっとこのまま取材を受けていると、記事には

「親子3世代で続くメイドインジャパンの技術の継承」みたいなタイトルになって、

内容は日本製の洋服を褒め称え、

やはり日本製は素晴らしい!という内容が並ぶだろうと予想がついた、


違う、

そうじゃない、

メディアが本来伝えなければいけないことは、

確証のないことを読者の趣味趣向に合わせて発信することではなく、

事実をしっかりと伝えその上で何が「良い」かを伝えることなのだ、


今日本の服づくりは岐路を迎えている。

それは海外製品が安いとか、

品質がどうこうとか、

そんな論争の前に、

メイドインジャパンを担う人たちが、

そしてそれを伝える人たちが、

「ウソ」言ってませんか?

作る側がしっかりメイドインジャパンの意味伝えられてますか?


このままメイドインジャパンの本質に目を背け、

「メイドインジャパンは高品質」なんて看板を掲げ続けたら、

日本の服づくりは終わりを迎えるだろう。

今一度、何が悪くて、

何が良くて、

何を改善しなきゃいけないか。


それを丸裸にして、

反省して、

前に進まないと、

日本の服づくりは終わりだ。



僕たちはその事実に目を向け、

現場から日本の服づくりを変えていこうと思う。



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