ファッションデザイナー必見!縫製工場の選び方
弊社には自分でECショップなどを立ち上げて洋服を販売しながら
「販売数も少しずつ増えてきたから縫製工場に製造を依頼しよう!」
と初めてのお問い合わせいただくことがよくあります。
新規のお客様に限らず「以前工場にお願いしていたけど品質が悪くて」「前の工場が潰れてしまって」などいろんな事情で工場を探されている方もおられるのではないでしょうか?
縫製工場といってもいろんな種類があって「どうやって選べばいいかわからない!」「せっかく作れる工場を見つけたのに品質が悪かった」などトラブルが多いのも事実、縫製工場とデザイナーさん(メーカー)の関係=品質の良さといっても過言ではないのでお商売に直結する問題です、
「売り方」を書いた記事は多いにもかかわらずその商品の良し悪しを決める「工場の選び方」を書いた記事は多くなく、もちろん専門学校では教えてくれないので今回は「工場の選び方」について書きたいと思います。
縫製工場の選び方-種類編-
意外と多いお客様からの相談は「以前工場に縫製をお願いしたら「カットソー工場なので縫えません」と言われたんです」というものです。
縫製工場と一括りにしても
布帛-フハク-(織物(あまり伸びない生地))
カットソー(編み物(よく伸びる生地))
パンツ工場
ジャケット工場
レディス
メンズ
小物、雑貨
帽子
などなどの種類があります、さらにその中でも国内生産、海外生産、大ロット対応、小ロット対応、サンプルのみなどの種類があります。
考えてみれば当たり前の話ですが例えば一言で「料理」といってもフランス料理や和食や中華など様々なものがあり専門性が違いますよね?
とてもおいしい和食が食べたいのに中華料理屋さんに行って「おいしい懐石を出してほしい」といってもおいしい料理が出てくる可能性は低いでしょう。
縫製工場でも同じようなことが起こります、
そして非常に厄介なのは問い合わせた縫製工場が断ってくれればまだラッキーなのですが「やってやれないことはないからやってみる」と工場が得意ではないにもかかわらず案件を受けてしまって下手にコストだけ発生することがあります。
弊社にもよく問い合わせで「シャツを縫ってもらってたんですが縫製がひどくて」とおっしゃられその工場を調べてみると「カットソー工場だった」なんてこともしばしば、、、
カットソーであれば高いクオリティで縫製するのにシャツをお願いしてしまったからコストは発生するしクオリティは低いし。。。と最悪の結果になるケースがあります。こうなると誰も得しません。。。
ですのでまず工場に頼もうと決め、ネットで調べて問い合わせる際に確認すべきなのは
「どんなアイテムが得意か」は必ず確認するようにしましょう。
もし「なんでもできますよ」と答えられたら要注意です、本当に技術力があってなんでもできる場合もありますがそんなミラクルな工場実はあまりありません。
「なんでも(持ってるミシン的には)できますよ」
なんてパターンもありますので普段製造している商品を聞いてみましょう。
縫製工場の選び方-質と量と価格編-
なんとか自分が縫いたいアイテムが縫える工場が見つかりました。
その工場に依頼しようと考えるとまず気になるのが「コストとクオリティ」ではないでしょうか?
コストとクオリティの関係は非常に密接で切っても切り離せません。
弊社でよくお受けする質問に「大体どれくらいの金額で縫えますか?」というのがありますが100%返ってくる答えは「ものによります」です。
お客様とされては「いや、大体でいいので教えてください」という気持ちなのだとお察ししますし「シャツは大体4000-6000円の間くらいです」的な回答が欲しいのはわかっていますが、なかなかそこまではっきりと答えられません。
100着シンプルなものを作るのか、30着拘ったものを作るのか、
1万円で売れる商品を作るのか、3万円で売れる商品を作るのか、
量も質も、上代のクオリティもわからないので値段の出しようがないのです。
ですので僕が答えるようにしているのは「ブラウスだと卸し売りで30着前後販売される方で上代が25,000-35,000円の商品を縫うことが多いです」というものです。
原価率などはデザイナーによって違うのでなんとも言えませんが大体のケースモデルとしてお話をするようにしています。
ですので工場に問い合わせをするときに「いくらくらいで縫えますか?」
ではなく「どんなブランドの商品を縫っていますか」や「何枚くらい作っていくらくらいで売られている商品を取り扱っていますか?」と聞いてみるのいかがでしょうか?
そのブランドを後から調べてみると大体の加工賃のイメージがよりリアルに想像できるのではないでしょうか?
デザイナーズブランドの洋服の原価率は大体30-40%くらいが相場ですので参考になるかと思います。
また、あまり加工賃をケチってしまうと大変なことになります。
例えば吉野家に行って牛丼を頼んでおいて「ちょっと醤油の質が悪い気がするから無添加の醤油を使って、ガリも国産にしましょう」なんていっても対応できません。400円の食事には400円の適正なクオリティがあるのです。
縫製工場は「効率」の仕事です、1着にかけていい時間がコストによって決まっています。
ですので同じ商品であっても1日で縫わなければいけないのと1.5日かけていいのであればクオリティは明確に差が出ます(もちろん工場のクオリティのレベルがそもそも低いのであれば問題ですが)
加工賃をケチる=その洋服にかけられる時間を削るということになりますので、無理な加工賃の交渉は後々自分の首を絞めることになるので注意しましょう。
もし出てきた見積もりに納得がいかない場合は工場を探し直すか、工場側に
「どうすれば後これくらい安くできますか?」と聞いてみるのもいいかもしれません。
そうすると「最後のアイロン作業をやめれば安くなるよ」とか「ボタンを自分でつけてくれるなら安くできるよ」など妥協点が出てくるかもしれません。
ものづくりをしている職人さんたちももちろん高いクオリティで作りたいに決まっています、しかし同時にご飯を食べなくてはいけないのも事実です。
ですのでいい妥協点を見つけるようにしてください。
決して「安くしてもらえた!ラッキー」なんて思わないようにしましょう。
結果としてクオリティが低く「クオリティが低い!」と意見を言うと「あなたがこの価格にしろと言ったので、そのクオリティにしました」なんて言われるかもしれません。(言わないながらも思われて次回以降の取引はないでしょう)
縫製工場の選び方-コミュニケーション編-
いい縫製工場、悪い縫製工場の基準は人それぞれ違うと思います、
しかし1つ明確に言えるのは「連絡の多い、少ないはクオリティに直結する」ということです。
僕が「この工場すごいなぁ」と思う工場は間違いなく連絡の回数が多いですし、弊社も連絡は密に取るようにしています。
正直過去にトラブルを相談されたケースで一番多いのが「連絡が取れなくてトラブルになった」と言うケースです。
どうして連絡の回数が少なければクオリティが下がるかというと、先ほども書いたように効率で回っています。そのため何かトラブルがあるたびに連絡していては効率が悪く進行ができません。
もちろんその事前準備をしていないメーカーさんにも非があるのは前提ですが、例えば資材が若干違っていても、生地に傷があっても先にどんどん進めてしまいます。
そして先あげ(量産の確認用の実物見本)を送ってデザイナーがチェックして「これはおかしい」と思って連絡をした時点でほぼ全ての量産が終わっていて「すいませんが今からじゃ修正できません」なんてことも。。。
ですから
資材が足りないときに「足りません」
生地に傷があるときに「減産しますか?量産まで縫ってしまいますか?」
別料金ですが完全先あげ(他の量産を縫わずに1着だけ量産を進行)しますか?
など質問が多ければ多いほどトラブルは少なく「量産が上がってきたらクオリティが酷かった」なんてことは少なくなります。
もちろん連絡がすぐに取れるからと言って完璧ではありませんが弊社ではお客様に対して生産管理、資材管理、裁断、クオリティ、出荷検品と5つの部署がそれぞれにチームを組んで各部署で何か問題があったときすぐさまお客様にお問い合わせをするようにしています。
そうすることで2020-21までの1年間のB品出荷率は1%前後という非常に品質の高い状態で商品を提供することができています。
手のいいか悪いかは正直縫い上がってみなくてはわかりませんが、連絡がすぐにつく、つかないはわかるはずですのでぜひ参考にしてみてください。
最後に
Valleyでは10着前後の極小ロットの生産から100枚程度の量産までこなすことができますし、どれだけ少量であっても上記に書かれているな品質を担保したサービスを展開しています。
それはデザイナーさんの「作りたい」をしっかりと叶えること、そして職人さんとのミスマッチを減らすことで職人の技術を適切な価値に変えていきたいと思っているからです。
職人としてこんな仕組みで働いてみたい方、縫製を頼みたい!って方も下記よりお問い合わせください。
MY HOME ATELIERというサービスでお悩みを解決します。
またただ工場としてつくることを依頼するだけではなく、生産のサポートや販売サポートも行って「作ると売る」をワンストップで行えるプラットフォーム
「新-ARATASHI-」も12/3よりスタートしております、ファッションデザイナーの皆様、自社の商品をより簡単に製造し販売も行いたいと思ってらっしゃる方はぜひこちらからお問い合わせください。
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