ファッションデザイナーが伸びない本当の理由
ファッションに関わる仕事をしている人たちはすでに「ファッション業界は衰退している」ということを感じているだろう。
縫製工場の数は激減し、国産衣料は1%台に突入することが必須だろう。
百貨店はコロナ禍で厳しいと言われているが、コロナ禍前であってもアパレルに関しては厳しかった。
元々厳しかった百貨店アパレルに拍車をかけたのがコロナだっただけだ。
でもなぜファッション業界は衰退していくのだろうか。
その理由は一言では語れないのだけれど非常な重要なファクターがあることに気付いた。
ファッション業界は衰退しているのか?
まず最初に世界のファッション業界はどうなっているのだろうか?
2015年には130兆円だった市場が2025年までには270兆円に拡大すると言われている。
もちろん為替レートもあるから一概に倍になった!とは言えないかもしれないが間違いなく拡大はしている。
その要因としては貧困地域の所得が上がってきていることで洋服を買える人が増えてきていることや先進国であっても人口が増えていたり経済の成長とともにファッション業界は拡大している。
しかし日本はどうだろうか?
日本のファッション業界は9兆円そこそこで停滞している。
しかし実際は工場は廃業が進み、国内生産比率2%以下、しかも市場規模も停滞になり、団塊の世代が全員75歳を迎える2025年には市場規模は8兆円を下回るとも言われている。
どう考えても衰退してる。
ように感じる。
しかし実際のところはどうだろうか?
僕は実はあまり純粋な停滞とは思っていない。
それは日本という国があまりにも早いスピードで成長をしてきたからである。
先進国として国民の健康面では寿命世界一、食べ物も治安も世界で一番安全と言っても過言ではないだろう。
教育やテクノロジーにおいて課題はあるものの現在日本に住んでいる人たちで
「安全に生活できない!」という人はほとんどいないだろう。
(実際に存在することは知っているが今はその議論の場ではない)
つまり日本という国において「経済的成長がほぼ果たされた」ということに他ならない。
「安全な生活」をほぼ達成した世界初めての国として初めての人口減少を経験しこれから世界で起こっていく高齢化もどこよりもはやく経験する。
それが日本である。
ファッション業界においても同じで衰退しているのではなく、これ以上国内において発展させる必要がなくなってきている。
と考えた方が適切だと思っている。
それでも日本のファッション業界が衰退していると考える
それでもあえて1つ注文をつけるとすると、国家としてはそれでまぁ良いのかもしれないけれどこれからの衰退時代を生きる僕たちに取っては非常に難しい社会である。
経済合理性を追求した大量生産、コモディティ化された洋服だけが市場に残り、その文化や風習が残っている。洋服は安く大量に作るものとインプットされその仕組みだけが業界を支配している。
これからを生きる僕たちにとっては衰退以外のナニモノでもないだろう。
僕たちはこれから新しい時代を作っていくために新しい仕組みを作っていかなくてはいけないのだ。
関西起業家エコシステムに見た可能性
そんなことで悩みながら会社を経営してきた、そんな時僕が出会ったのが関西の起業家エコシステムである。
特定の団体を推すわけではなく関西で「伸びたい!」と思っている人たちは参加できるコミュニティがたくさんありその中には素晴らしい先輩の起業家がいる。
上場企業や数百億売っている企業のトップが直々に話を聞いてくれたりする、
困りごとがあれば人を紹介してくれて取引先なども繋いでくれる。
先輩たちに感謝を伝えると「自分たちも育ててもらったから」と言ってくれるのである。
自分がその立場にありふと考えてみるとファッション業界にはその風潮が少なすぎるのではないだろうか?そんなことを考えてデザイナーたちにヒアリングをしてみた。
するとほとんどのデザイナーたちは「他のデザイナーや先輩からの情報共有は飲み会くらい」と答えていた。
つまりデザイナーたちは乏しい情報の中売れ方も、売り方も、作り方も共有することなくたまにデザイナー同士の繋がりで会った人や合同展であった人とのみ情報を交換しているのだ。
情報とは成長の餌だ。
情報無くして成長はない。
例えばどこの工場が困っているだとか、どこの生地やさんがいいだとか、
どこかで生産管理がやめたらしいとか、あのセレクトショップはいいらしい、
パタンナーはどうしていて、お金って借りれるのだろうか?
そんな当たり前にシェアすべき情報がシェアされていないのである。
確かに先に書いたように日本全体が衰退していくことによっての大きな流れはあるだろう、しかし随分と昔から服作りの方法やコミュニティがブラッシュアップされず土壌として「新しいデザイナーを育てよう!」という空気感も薄いままではそりゃ業界自体が衰退するだろう。
そう思うのである。
日本のファッション業界があるべき姿
僕は日本のファッション業界がよりオープンな業界になり望めば望む情報を取りに行けて、シェアできて人材も資金も生産背景もプロモーションも手軽に行えるようにしたいと思っている。
そのためにはファッション業界の人と人が繋がり、情報が繋がりシェアでき、より成長を生み出す仕組みが必要だと感じている。
業界の空気感として「若手を引き上げる!」という空気感である。
そのために僕はコミュニティを作った。
それが新-ARATASHI-である。
このプラットフォームは商品の販売プラットフォームでもある、
そして同時にデザイナー同士の成長機会を提供する場所でもある。
詳しいことは登録デザイナーたちに公開するのだけれど、
デザイナー達自身が学び、成長し、独立し、世界を変えていくための場所を作りたかったのだ。
このプラットフォームではクローズドのコミュニティで情報共有ができる、
先輩は若手から新しいSNSの使い方を聞いてもいいだろうし、若手は先輩からいいお店やバイヤーを紹介してもらってもいいかもしれない。
僕たち工場からは生産時に気をつけることを聞いてもいいし、僕たちのプラットフォームで販売する洋服が売れるまでの具体的な集客手法なども公開している。
このプラットフォームではさらに作りたいを形にする仕組みが存在している。
極小ロットでの生産も僕たちが運営してきたMY HOME ATELIERで製造することができる。
作る、売る、学ぶ
この大切なファクターが1つに集まったのが新-ARATASHI-である。
まだ情報は公開していないが、すでに東京コレクションのブランドも数社参加が決定している。
僕たちはともに学び、作り、販売して成長できるよう。
そんな仲間を募集しています。
ぜひ参加を希望してくれるファッションデザイナーの皆様、
info@aratashifashion.com
からメールをください。
そして僕たちとファッション業界を生きる力を、変えていく力を学びを、得ていきましょう。
合同会社ヴァレイ 代表 谷 英希
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?