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弱くあることへの勇気

今日取材を受けていて

「残念ながらこの先日本の縫製業はどんどんとシュリンクしていくと言われていますが、どのようにしたら持続させることができるでしょうか?」

と聞かれた。

言語化するのに時間がかかってしまったが少し考えて「弱くあることだと思います」と答えたら「え?」って言われたので続けてこんな話をしました。


弱くあるということ

弱いということは悪いことでしょうか。

弱いとすぐに負けて、すぐになくなっていく。

確かにそんなイメージを持ってしまいます、しかし弱いということは必ずしもそうだとは限りません。

実際に僕はとても弱いのです。

服作りはできないし、学歴もないし、超人的に数字ができるわけでもない、

体も弱くて背もひくい、タレント性があるわけでもなく、スケジュール管理はルーズで、道に関してはいっさい覚えらえれない。

(頻繁に大阪で迷子になるので、その都度妻に電話をかけて助けてもらう)

でも、だからこそたくさんの仲間が助けてくれて、支えてくれる。

もし僕が強がっていたらどうだろうか。

過去の僕はそうだったし、同じような経験をした人も多いかもしれないが、

「この人は放っておいても大丈夫だ」と思われて助けてくれない事になる。

結果何も成し遂げられないのです。

だから僕は弱いということを認めることにしました。

僕は弱い、だから助けて欲しいと。

その代わり1つだけ、誰にも負けないものを作ろうと決めました。

それが「熱量」です。

誰よりも熱く、誰よりも行動して、誰よりも勉強します。

誰よりも熱くあろうと心がけています。


強くある部分はたった一つでいいんです、そして自分が弱いということを認めることが「生き残る」ための最初のステップだと思っています。


日本のアパレルはどうだろうか

でも見渡してみると日本のファッション業界は真逆です。

工場はプライドを持っているからメーカーのことを今日もバカにします。

「あいつらは服作りの現場も知らないくせに無理なことを言ってくる」

そしてメーカーは表では「工場さん」と言ってますが工場のことをバカにします。

「工場はメーカーからの仕事がないと生きていけない」

少し大袈裟かもしれませんが、本心の部分でそんな気持ちが少しあるんじゃないかと思います。(もちろんそうじゃない方もおられます)

お互い強がっているんですよ「俺はこれができる、君にはこれができないよね」と。

だから助け合うことができない、そこでできた歪みが少しずつ開いて行って、本当に重要な局面でワークしない。

だからまずはお互いが「弱い」ということを認めることから始める必要があると思っています。

工場は「メーカーがいないと生きていけない、だからなんとか仕事を定期的に入れてほしい、職人がきちんと食べられるようにしてほしい」

メーカーは「市場価格が安くなっている、だからできる限り安く作りたい、でも自社では作れないからなんとか協力して欲しい、僕たちは作れない」

そうやってまずは弱みを出すこと、そうするとそれを支えてくれる仲間がやってくるんです。

でもそうすると弱みに付け込もうとする人たちも出てきます、それはしっかりと防ぎながら本当に一緒に未来を見てくれる仲間を探すんです。

それが最初なんじゃないかと思うのです。

もちろん大切なのは共通言語、技術であるとか志であるとか、そういう相互理解ができる言葉で話します。

そこを理解し合った上で同じ船に乗りましょうと、そうやって広げていく関係はずっと続くと思うのです。

そしてその関係はお客様にしっかりと伝わって市場価格であるとか、景気に左右されないコミュニティができるのではないかと僕は思っています。


弱いからこそ助け合える

今の日本のアパレル業界を見ていて「競合」とか言っている暇は本当に1秒もないんですよね、この資本主義の競争社会の中であるものの吹けば飛ぶようなこの業界で今日も「なんとかもっと安くしてください」が起こっている。

工場は内心で「もっと高く売ってください」とカウンターパンチを決めているものの「いやー、ちょっとうちも厳しくて」なんて言っている。


そんなのをもうやめなくちゃダメなんですよね。

だから僕たちはヘルプを出しました

「僕たちは工場です、職人さんもたくさんいます、でも自分たちでデザインができません、一緒にやりませんか?」

それがブランドパートナーという事業であり、新-ARATASHI-という事業につながっていきました。

デザイナーさんたちの代わりに資金調達して、マーケティングの勉強を本気でやって、もちろん生産背景はこちらで対応する。

そうすることでデザイナーさんたちの力を借りで僕たちは職人さんに少しでもお仕事を渡すことができるんです。

僕たちがデザイナーを助けてるんじゃないくて、僕たちがデザイナーさんたちに助けられていて、その恩返しとして僕たちにできることを全力でやるんです。

これは職人さんにも言えることで、僕たちだけじゃ服作りは完結しない。

だから職人さんたちに縫っていただいて、だから僕たちは少しでも縫いやすい環境を整える。

僕たちは「弱い」ということを知っているから強くはないけれど、少しずつ前に進めていると思うんです。


強がりをやめたい

こんなことを取材で熱く語ってしまって「あぁそうですか。。。」って感じの空気になって、おそらく記事には載らないだろうからこのnoteで書いたわけだけれど、

これが僕の気持ちなんですよね。

見栄とか、強がりとか、時には必要です。

たった3席しかない大阪事務所でも僕は「最近心斎橋に事務所を出しまして。。。」なんて粋がった言い方をする時もあります。(ダサい)


でも本質的には自分が弱いことを知って、相手も同じく弱いということを理解し「自分はどんな力になれるだろうか」それを考えるのが共存なんだと思う。

僕たちのValueは

笑顔、挑戦、価値、前進 そして「共存」という言葉がある。

自分らが強いから他を生かすのではなく、弱いと知っているからなんとか助け合って生きていきたいと思っている。



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