服づくりに「正義」はあるか。
僕は思考が少し偏っているのかもしれない。
ただ、どうしても心が苦しくなってしまっているので書かせてほしい。
今日、
僕はある工場見学に行った、
その工場では仕上げや検品をしていてスタッフさんがとても活気よく働いていた。何千着という洋服がずらりと並んでいて、今から出荷され売り場に並ぶのだ、
その中にはこの冬売り出されるであろうダウンジャケットなんかもたくさんあった。
僕も服づくりに関わるものとして洋服が売れていくことは素敵なことだと思う、だけどどうしても悲しくなってしまった。
なんなら、帰ってきて会社のみんなに内緒でトイレで泣いた。
すぐにいろんな経営者の友人や先輩に相談した。
当たり前の光景だったけど、
すごく悲しくなった。
その原因を書かせてほしい。
すべての物事はプラスマイナスが0であると思っている。
例えばガソリンはエネルギーと熱に変わるし、
食べれば太る。その分食べ物は減る。
これは人にも同じことが言えて、悪いことをしたら返ってくるし、
努力したら報われる。
では服づくりはどうだろう。
僕たちは服を作ることでご飯を食べることができているし、
作られた服を着てくれたお客様は笑顔になってくれているとして、
「プラス」を生み出している。
僕含め、多くのファッション関係者はその「プラス」をピックアップしてSNSをアップしている。
「ファッションは楽しいものだ!」
「かっこいい!それがすべてだ」
「服づくりで労働環境をよくしよう!」
それは僕もとても共感する。
でも全てはプラスマイナス0になってるんだとすると、マイナスはどこにあるんだろう。
その多くは地球環境だろうと思う。
土壌汚染、製造時の温室効果ガスの排出、大量廃棄、
非情な革やファーの採取などあげたらキリがない。
ただ、
この問題は最近まで「人類の文化的な発展」にとってはあまり関係のない問題だった、
ファッションは人々の自由を象徴だったし、日本の発展に間違いなく服づくりは貢献した。
洋服がなければ人類の文化的な発展はなかったといっても過言ではないだろう。
だが今、
洋服による文化的な発展がひと段落したと感じている。
洋服の自由度が自己表現になることはあれど、
シャネルスーツのように「女性の活躍!」と象徴され世界を席巻する洋服はすでにコモディティ化されつつある。
今までが洋服にとって「プラス」を生み出す時代だったとすると、
これから私たちは「マイナス」を埋める作業をする必要がある。
そうしないと物事のバランスは崩れ、保てなくなったものは崩れてしまう。
崩れてしまったものは僕たちの地球に、そして将来世代の地球に大きな影響を与えてしまうだろう。
そしてプラスになった分だけ、
要は洋服によって人々が笑顔になった分だけ悲しむ人が増えるわけだ。
だからそれを守るためにもそろそろ僕たちは「マイナス」を埋める作業に取りかかならなければいけない。
僕が今日苦しくなった理由。
それは大量に並んだ洋服が、
ファッションの消化試合に見えたんだ。
僕たちは洋服によって多くの文化的な発展をしてきた、
それを生業として生きている人(僕も含め)もたくさんいる。
だけど、
同じようにもう十分、壊したものもあるんじゃないか。
模倣品やマイナーチェンジを繰り返し、大量に作り大量に売ることでこれ以上何を得るんだろうか、
そして十分壊したものをまたさらに壊し続ける意味があるんだろうか。
これ以上は無意味に感じてしまったんだ、
もうやめにしないか。
とはいえ生きていかないといけない。
服を作り続けなきゃ沢山の人が生きていけなくなるだろう。
僕にも2人の娘と妻がいる。
ご飯を食べなきゃ生きていけないのだ。
そんなことを思って途方に暮れていた。
そこで浮かんだ言葉は二宮尊徳の有名な言葉だった。
「道徳なき経済は罪である、経済なき道徳は寝言である」
服を作りながら、利益を出しながら「道徳」を為すこと。
それが「経営者」として、「ファッションに関わるもの」としての使命じゃないか、
僕がいるんじゃないか!
新しいアイデアで、新しいモデルで服づくりをしていこう!
悲観的になることはない、
1着の洋服を作ったら1本の木を植えるような、
作れば作るほど環境が良くなるような、
そんな仕組みを考えて、実行すること。
それが僕の仕事なんだ!
そんなことを思いました。
だから僕からのお願いです。
僕は今奈良県で「合同会社ヴァレイ」という会社を経営していて、
服づくりを行なっています。
だけど、一人では何もできません。
沢山の人と同じようにただ服を作ることしかできないのです。
だけど、
見たい世界は明確に持っています。
一緒に、
どうか一緒に世界の服づくりを変えてほしい。
そして「マイナス」を埋める作業に気づいてほしい、
これ以上無駄な消耗をしないでほしい、いろんなアイデアを教えてほしい。
「今」やらないといけない。
そう思うんです。
このnoteを見て何か熱く思う人たちがいてくれるなら、ぜひ一緒に世界を変えていきましょう。
パパは世界一かっこいいファッション人になるよ。
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