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ネガティブな発想が数値目標をゆるくして、会社を強くした話。

ビジョンの達成のためには規模が大切だ。

この意見に大抵の人は同意してくれると思う。

僕もそう思う、

売り上げ1億円程度の会社がやれエシカルだ、やれ環境問題だ、

なんて騒いでも自力で世界を変えることはできないだろう。

世界を本気で変えたいなら数千億、数百億、少なくとも数十億の会社に成長させて、

社会に大きなインパクトを与えないといけない。

僕もそう思っている。


特に僕たちは

日本の縫製業を次世代につなぐ


なんてたいそうなことをビジョンに掲げているからには達成させないといけないのだ。

小さな縫製工場でコツコツ服づくりをしているだけでは次世代に繋がらないし、文化にもなっていかないから。


そんなことを思って

5年で10億

という目標を立てた。

正直お客様からの問い合わせ数の伸び率や、MHAさんの応募数は凄まじかったし、

普通にガシガシKPI立ててしっかりやっていけば届く数字だ、

おそらく僕がリクルートかどこか出身だったら余裕でやってのけただろう。

そして僕もこの数字を頻繁に口にした。

メンバーが拒絶するようなことがあればそれは「逃げ」だと思ったから、

目標に対して恐れをなして、自分たちではとてもできない。

そんなネガティブを感じたから、

「僕たちならやれる!」

と言い聞かせた、


僕も積極的にトップ営業をかけたし、

採用もやりながらガシガシと規模をでかくしようと動きだした。


そんな時一人のMy Home Atelier(在宅職人)さんが辞めた。


年齢は70歳代、体調を崩されたことが原因だった、

ご本人は縫いたい。縫うことが生き甲斐だ、

と言ってくれたがご家族が外から見ていると、

納期のために風邪を押して縫っているのを見ていられなくなったとのことだった、

ご家族とお話をしてお願いしている仕事を引き上げることになった。


数いるMy Home Atelierさんの1人が離脱した。

毎月新しい職人さんを登録しているから売り上げとしては大丈夫だ、

だけど心にぽっかりと穴が空いた。

そんな気分だった。


その時メンバーに「僕たちは深く、濃くやりたいです」と言われたんだ、

日本中に職人さんの「数」を増やすことはできる。

だけど、

その全員に一言目から冗談を言えるような間柄でいたいんだ、

一人一人の生活に寄り添い、深く深く、

愛情を持って接したい。

そう思った、

10億目指せばいい。

でも10年でいいじゃん、

起業して20年で上場でもいいじゃん。


僕たちは「人」と仕事してる、

特に日本の職人という人類史上一番厄介な人たちと仕事をしている。


だから、

この人たちとの関わりを楽しもう。

そして憂い、

共に歩もう。

僕たちのペースでいいじゃん、

ゆっくりでも前に進めれば。


登録数万人!


みたいなインパクトはまだない、

だけど僕たちの職人さんたちは一言目から冗談を言い合って、

お年賀もお歳暮も、お中元もお送りして、

笑いあえる職人さんたちだ。


そんな風に決めたんだ、

その瞬間からスタッフたちへの指示が変わった、


登録数!や顧客数!

ではなく、職人さんを笑わせろ!

職人さんと無駄話をしろ!

いじられて、仲良くなれ!

になった、


そんなことを始めたら、

職人さん1人1人の売り上げがどんどん上がって、

納期が遅れにくくなって、

品質も上がるようになっていったんだ、


僕たちは早く動けない亀だ、

うさぎにはなれない


だからこそ、

亀は亀らしく、

ニコニコと、暖かく、ゆっくりと、

力強く、

前に進んでいこう。


そう思うんだ。



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