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飲食店の『アフターコロナ』に向けて

飲食店が新型コロナウイルス感染症の影響を受け始めて早4か月が経とうとしています。

4月7日に緊急事態宣言が1都6県に発出され、4月16日には全国へ対象が拡大され国民の外出自粛、指定業種の営業自粛、指定業種外の営業時間短縮が求められました。

全国の飲食店は5月6日までの1か月間の辛抱と思い、様々な困難を抱えながらテイクアウト・デリバリー・クラウドファンディング・ネット販売・小売り、営業自粛など出来うる限り、考えられる限り様々な策で事業の継続と雇用の継続を模索してきました。

しかし、5月4日に5月末までの緊急事態宣言の延長が発表され、飲食店では実現不可能ではないかと思えるような《新しい生活様式》というモノが提案されました。

至急かつ、具体的かつ、思い切った経済補償がない中で緊急事態宣言の延長を行えば、本当に中小企業・個人事業の飲食店は潰れていきます。

政策としての経済補償は明日以降に発表があると信じて、今日は飲食店のアフターコロナに向けての対策の提案を飲食専門のコンサルティングを職業としている立場から少しお話させていただきたいと思います。

飲食店のアフターコロナに向けて

《飲食店のアフターコロナに向けて》まず早急に行わなければいけないのは大きく分けて3つかと思います。

1つ目は【中期計画の見直し】です。
この中には今回の自粛で大打撃を受けた売上を、今後3年程度でどう回復させていくかという道筋を考え、働く従業員にも金融機関にも示していかなくてはいけません。
なぜなら政府の経済対策のメインは【融資】、つまり借金でこの難局を乗り越えるという考え方なので、ほとんどの飲食店事業者が新型コロナウイルス感染症の影響でセーフティネット4号認定などを受けて緊急経済対策の一環として特別貸付で融資を受けている事と思います。
当たり前ですが、借りたお金は返す必要があります。
この返済計画を盛り込んだ【事業計画】【資金繰り計画】を立てる事で、自社がどうしていかなけらば行けないのか、何をすべきなのかが明確になります。
また、事業に多大な影響を受けたために店舗の閉店や、苦渋の選択として従業員を解雇した事業者もおられると思います。
そうした中で、新しい組織図を基にした【人員計画】を立案する事が、自社の将来を考えるうえで重要です。

2つ目は【販売戦略の見直し】です。
緊急事態宣言下の飲食店は現在、大きく2つに分けることが出来ます。
一つは完全営業自粛で閉店をしている飲食店。
もう一つは時短営業、テイクアウト・デリバリー限定営業、その複合営業を行い、営業を継続している飲食店です。

一つ目の完全営業自粛の飲食店は、緊急事態宣言解除後の今までの営業をベースとした営業を行う事が前提になるかと思います。

もう一つの時短営業、テイクアウト・デリバリー限定営業、その複合営業を行い、営業を継続している飲食店は、緊急事態宣言解除後に直面する問題があります。
それは【テイクアウト・デリバリー】を継続するのかどうかという事です。
現状は店内顧客が少ない中で、スペース的にも時間的にも余裕があり、テイクアウトやデリバリーに対応できているかと思いますが、通常営業に戻れば確実にマンパワーもスペースも時間も今のような体制ではなくなります。
今回の対応で、テイクアウトやデリバリーが非常に好調で、店内営業を補完する第2の柱として育っているならば、継続する事も良いかともいます。
しかし、そうでないなら緊急事態宣言解除でスパッとやめる事も必要です。
継続を考えている店舗は、まず店内の配置の変更とオペレーション導線の変更を今のうちにしっかり行っておきましょう。

そして、緊急事態宣言解除後の営業形態を元に戻すのか、新たな形態に変更するのかも考える必要があります。

そういった中で完全休業のお店も時短営業等で営業しているお店も直面する一番の難題は《新しい生活様式》に沿った営業方法の決定、シェアメニューのお店は個別対応メニューの開発などが必要になります。
パーティションなどを設置しての営業も考えられなくもないですが、資金的・スペース的に余裕のないお店は現実的には運営方法は変えず、メニューの提供方法の変更での対応になるかと思います。

3つ目は【顧客の呼び戻し】です。
これが一番の難問で、この3か月以上に及ぶであろう自粛生活で、消費者の行動心理と行動パターンは大きく変わりました。
もともと居酒屋は『宅飲み』と言われる居酒屋店舗での飲酒や食事が減る傾向にありましたが、今回の自粛生活で『宅飲み』が当たり前になり、つまみや食事はデリバリーで、友達と気兼ねなく過ごす時間が”普通”になってしまいました。
緊急事態宣言解除後すぐは、反動で外食が増えるかもしれませんが、長い目で見ると外食そのものが落ち込むことは容易に想像できます。

今までと同じような飲食サイトでの販促を掲載するだけでは、自粛前のような予約には繋がらなくなってくる事でしょう。
今、テイクアウトやデリバリーを行っている飲食店は、アフターコロナを見据えた会員の囲い込み、すなわち顧客情報を活用できる仕組みづくりを行っていないと、せっかく自店をテイクアウトやデリバリーで利用してくださった顧客へ、アフターコロナ時に営業活動を行う事が出来ません。

完全営業自粛をしているお店も含め、紙ベースも含めたあらゆる販促方法を検討して、既存顧客へのDMやメール、Lineなどでのアプローチの準備を今から万端にしておきましょう。
出来るなら、自店近隣へのポスティングやなど、泥臭いと言われる足で稼ぐ営業が効果を発揮する事も検討する必要があります。
顧客の呼び戻しが出来るかどうかが、緊急事態宣言解除後の売上を左右します。
そして何より、『自店の情報発信』を出来るツールを持っているかどうか、ネット販促の活用も掲載サイトで”待つ”営業から、こちらから”攻める”営業に変化させないと生き残っていけません。

また、経済的な大波が来た後の飲食店は値引合戦を行って自店へ顧客を誘導する価格戦略、販促戦略をとる事が多いです。
その値引合戦、低価格競争に巻き込まれない方法、それは『絶対的な商品』を持つこと、『他にはない価値観』がある事です。
元々低価格のお店はその中で1番と言われる商品をどう磨き上げるか、高単価のお店は厳しい経済状況の中でご来店されたお客様の顧客満足度を、今まで以上に高めるためにはどうすれば良いかを、今のうちにしっかり練りこんで決めておきましょう。

こんなこと知ってるよ、当たり前だよと言われる飲食店経営者の方々も沢山いらっしゃるかともいますが、あえて整理して文章にさせていただきました。

長文の御精読ありがとうございました。


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