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「相談ダイヤル」の脚本・内容について

今回の「相談ダイヤル」は1時間くらいでバーッと書いて、あとは何度も修正という形で書きました。事前になにかテーマがあったわけではなくて、一人の人が(女性をイメージして書きました)自分のことを語るシチュエーションにしようということだけを決めて、その人が何を見て、聞いて、実行して、今に至るのか。そして、その人は「今」なにと向き合っているのか。そのことだけをずっと考えながら書いていました。

結果的に完成した作品は、「苦しかった過去と、その原因でもある両親から逃れて自由を手にした男が、両親の死の知らせを受けて、過去と向き合い、少し冷静に両親を思い返す」という内容になりました。
結果、彼は両親から逃げきれていなかったことに気付き、その存在を決して肯定はしないものの、その死をもってどうにか過去にすることに成功したように思います。

乗り越えたと言えば聞こえは良いしわかりやすいけど、そうではなくて、やっと過去にしたという感じ。痛みも、苦痛も、寂しさも、愛情もまだ強く残っているけど、それはもう過去なんだなという感覚。

観て頂いた方の感想に「愛することも憎むこともできない人」という言葉を頂きましたが、まさにそうで。彼にとって両親は「愛したいけど愛せない、憎みたいけど憎みきれない」存在として、これからの人生にも存在し続けるんだと思います。
彼にとってこの電話で一方的に話した数分間がどういうものなのか、そしてこれからの彼の人生はどうなるのか。
それは見て頂いた方一人一人違った感想であればと願っています。



・「相談ダイヤル」というタイトルについて。電話先の人はどういう人なのか?という質問がありました。
これの答えとしては、明示は避けていますが、自殺相談のつもりで書いています。携帯をいじりながら、「悩みがあったら相談してね」というような、広告を目にした彼は、「なんでこんなことしてんだろ?やば、馬鹿みてえ。」と心の中で言いながらつい電話をかけてしまいます。心のどこかでその可能性を感じながら、酔った勢いで不安定な方向に向かっていく。初めの口元のアップと笑みはそういう演出でした。今回の作品はいくつか心の声が同時進行で発生していて、上野君と稽古しているときはそのことを最初何度か確認しながらやっていました。

稽古については秘密にさせてください。
同業者の方なら、いくらでも一緒に稽古してお教えしますが、お客さんは知らないほうが楽しめるものだと思います。今回に関して言えば、上野一稀くんは本当によく頑張ってくれたし、ほぼ演技経験が無い状態からここまでやれたことは、素晴らしいことだと思います。

とまあ、ざっくりではありますが、こんな感じでしょうか。
近々、上野一稀くんと生配信でのトークを企画中です。そこでも質問にお答えできればと思っていますので、よかったらインスタグラムなどもチェックしてください。
インスタグラム
https://www.instagram.com/vacancy_oni/

とまあ、いろいろ書きましたが、今回はこんなところで。

よかったら、また近いうちに、ここにいらしてください。
 
 
鬼塚俊秀

VACANCY FILM
「相談ダイヤル」
主演 上野一稀
脚本・監督 鬼塚俊秀

公式YouTubeにて公開中


公式HP


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