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【解説】「なぜ今、グッドデザイン賞に応募したのか?」デザイン賞受賞で見据える競争戦略

こんにちは、株式会社バカン広報のまっちーこと町田大地(@daichi_machida)です。

今回は、先日グッドデザイン賞を受賞したことを受けて、その背景についてCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の篠原さんにインタビューしました。「同賞に応募した狙いは?受賞するとどんな良いことがあるのか?」バカンとして同賞に応募した理由や受賞までの過程などを聞いてきました。

グッドデザイン賞の受賞はスタートライン

ーいつ頃から応募しようと考えていたのですか?
創業当時から世の中にサービス提供する上での1つの基準として、グッドデザイン賞を獲りたいと考えていました。

世界に通じるサービスを作ることを考えた時、まずは日本で随一のサービスにしなければいけません。言い換えると、混雑情報を扱うサービスとして「本物」という認識をユーザーに持ってもらう必要があります。そのためまずはデザイン面でグッドデザイン賞を獲り、ユーザーに分かりやすく一定のクオリティがプロからの評価によって担保されていることを示すために応募しました。

グッドデザイン賞の受賞はゴールではなくスタートラインであり、次は「世界で通用するために何が必要か?」を考える段階に入ってくる、そういう想いを持っています。

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ーなぜグッドデザイン賞だったのでしょうか?
日本でもっとも有名なデザインアワードというのが、大きな理由の1つです。グッドデザイン賞は一般人の80%以上が名前を聞いたことがあり、60%近い人が「良いデザインを選ぶ賞」と感じている賞(※)です。

避難所への導入がかなり進んでいるものの、認知の面でまだ伸び代があるスタートアップだからこそ、認知度が高く一線で活躍するプロが審査をする賞を選びました。そうすることで、デザインのクオリティのお墨付きだけでなく、マーケティングツールとしても活用できます。受賞によるメリットとここまで積み上げてきた品質、双方を検討した結果、もっとも効果的と判断し同賞を選びました。

(※)グッドデザイン賞認知率調査より

デザインで実現する競争戦略

ー今回の受賞でどのような効果を期待していますか?
今回の受賞で期待している効果は大きく2つです。まず1つ目は、他の混雑情報の配信サービスや今後出てくるであろう混雑情報のプラットフォームサービスについて、デザイン面、UI/UXで差があることを分かりやすく示すこと。

マーケットが広がっていく中で、同じようなサービスが出てくるのは自明です。そのとき、サービスの内容で差別化を図るのはもちろんですが、デザインでもプロに評価されているモノ、されていないモノの差が明確にわかる状態を作れるようにする。デザインの差別化戦略の1つとして、この賞を活用できればと考えています。

またお客様や導入を検討している方にとっても、今回の受賞は大きな意味をもっていると思います。デザインの専門家ではない方にとって、ロジカルに使いやすさやデサインの品質の高さを説明、理解することは簡単ではありません。

しかしグッドデザイン賞という、デザイナーかどうかに関わらず「良いデザイン」としてわかりやすい指標を得られたことで、お客様や導入を検討されている方などもデザイン面の評価がしやすくなりました。

これは競争戦略上で大きな役割を果たすと考えています。

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デザインに対する社内意識の変革を目指したい

ーもう1つはどのような効果を期待しているのですか?
2つ目は、社内の意識改革です。今回の受賞をきっかけに、全社のメンバーにデザインについて誇りとこだわりをもっている会社だと自覚してもらいたいと考えており、全員のデザインに対する意識が底上げされることを期待しています。

では、なぜデザインに対して全員の意識の向上が大事なのか?それは会社のスケールとデザインの質に影響を与えるからです。

デザインチームでは、最大限バカンのデザインがユーザーやクライアントにとって理解されやすくなるように取り組んでいますが、リソース的に限界があるため社内の全デザインを見ることはできません。そのためデザインのクオリティを保ちつつ会社を成長させるためには、全員でアウトプットされるデザインを考えられる状態を作れているかが非常に大事だと考えています。

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画像)バカンのデザインチーム

提案資料やプレゼン資料などを含めて、社内のデザインに対する興味関心や自覚を高めてもらい、メンバー全員で会社のデザインを高められる体制作りをこの受賞をきっかけに加速させていきたいです。

ースタートアップでグッドデザイン賞を獲る場合、どのような点がもっとも大変でしたか?
スタートアップで目指す場合、0から賞を取れる状態までもっていくのが大変でした。以前在籍していた会社でもグッドデザイン賞を獲ったことはありましたが、その時は50だったモノを100にしていたイメージでした。しかしバカンでは0から100に持っていかなければなりません。

例えば、グッドデザイン賞というゴールに向かう過程は同じでも、大企業だとプロダクトの製造ラインやブランドイメージといった武器を最初から持っていたり、そのプロダクト専属のデザインチームなどの強力なパーティーでスタートできます。

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しかしバカンのようなスタートアップの場合、武器もパーティーもはじめはない状態でスタートし、そこからゴールする必要があります。それがスタートアップでグッドデザイン賞を目指すということだと今回の経験を通して感じました。そういった難しさがあるからこそ、獲れたときの価値と効果は高く、狙う意味もあるのではないでしょうか。

ミッションから逆算してデザインを考える

ーグッドデザイン賞を取る中で一番大変なことは何でしたか?
「これが大変だった」という特定の大きな課題があったというよりは、細かいが見逃せない課題を1つずつ修正し続けた結果、受賞に繋がったと感じています。

例えばボタンやテキストのサイズ、位置を実装ベースで1px単位で調整したり、他にもアニメーションが気持ちよく動くように、0.1秒単位で表示を調整したりもしています。このようにサービスに触れた時に違和感を感じる可能性のある箇所を、エンジニアと共に1つ1つ解消していきました。

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(図)アニメーションの動きを0.1秒単位で調整

ー 細かい修正をするといっても時間やリソースの制約があると思います。直す場所の意思決定では、どのような基準を設けていたのでしょうか?
基準は明確で、バカンのミッションと照らし合わせた時にアウトプットがそれに合っているかです。例えば、私たちのミッションは「今空いているか1秒でわかる優しい世界」の実現です。そのため、空いている場所がすぐ分かるか?という点に影響があるのであれば、それは優先して修正すべきことになります。

今回受賞したVACAN Mapsでもマップのコントラスト、彩度をあえて低くし、ピンが目立つようにしたり、ピンの配色を日常で触れる機会の多い信号機と同じ色で満空情報を示したり、アイコンを使って混雑状況を表すことで利用者が素早く理解できるようにしたりしています。

たとえ1、2件の苦情しかきていない問題だとしても、それがミッションに対して整合性がとれていなければすぐに直すべきです。

このように今回の受賞に向けた改善でも、常にミッションをベースに最善のUI/UXデザインを考えていました。このミッションとの照らし合わせとディテールを積み重ねていく考え方は、私がデザイナーとしてモノづくりをする上で大切にしている方向性ですし、デザイナーに関わらず一緒に働くメンバーには常に意識して欲しいと思っています。

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ー今後デザイン領域で挑戦したいことを教えてください。
アワードという意味では、ドイツのIFデザイン賞を次は目指したいです。台湾や中国でもバカンのサービスは展開しているので、戦略として世界でも知名度が高くさらに難易度が高いと言われているデザイン賞を獲るのが次のステップだと考えています。

またプロダクトのデザインの質を高めていくことはもちろんですが、同時に世界に通用するサービスを提供するバカンとしての企業のブランドも向上させていきたいです。

AppleやGoogleは、プロダクトも会社としてのブランドも質が高く評価されています。そのため、入社すること自体に価値があると感じている方も多いです。

この状態をいずれバカンでも実現したいと考えています。すぐにその状態にもっていくのは難しいですが、今回のグッドデザイン賞の受賞も実現に向けた一歩だと考えています。

デザイナーとしてサービスのUI/UXを考えるだけではなく、会社そのものも含めて「どうすればユーザーにとって、メンバーにとって、社会にとって魅力的になるか」を考え続けてデザインしていきたいです。

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