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■【より道-1】サダメ

やはり、父の文章は全然違う。何か自分にしかできないことはないかと考えて、自分の人生をブログに書きだした。ほんと、遊び程度の気持ちで。

何故、このような気持ちになったかというと、、、まぁ、世代交代。と言えば、格好がつくかもしれないけど、仕事で大きなプロジェクトリーダーを任されたときに、政治的にはしごをはずされて、周りからの賛同も得ることができず、プロジェクトを頓挫させてしまったから。

いまの会社に入社してから、それこそ一心不乱に走り続けてきたけど、このような仕打ちを受けたのは初めてだったので、自分のチカラのなさを感じ、良いオッサンが、仕事で涙を流した。

その後、色々とチャンスを与えられて、足掻いてみたけど、既にストーリーは決まっていた。過去の異物は扱いづらいのだろう。営業のトップが匙をなげ、管理部門へ異動となった。

これは、経営陣が自分のチカラを発揮できる部署への異動を考えてくれたことだと思いますが、それでも、筋を通さない人間のしたたかさに憤りを感じ、頭も心もズタズタに、何も手をつけられなくなってしまった。それほど、喪失感というか、挫折を味わったのです。

仕事以外でなにか人生の目的を探すべく、多くの戦友たちに、くりかえしくりかえし相談すると、みんな心を支えてくれました。しかし自分ときたら、いつまでもネチネチと妬み、恨みを語る日々。それでも粘り強く話を聞いてくれて、どん底から支えてくれた家族や仲間には、感謝してもしつくせないと思っています。

特に、以前同じ職場で働いていた山根さんには、自分の気持ちを全て吐き出しました。どんなに、ネガティブな言葉でも「大丈夫ですから」「長谷部さんがやってきたことは人が真似できないことですから」「いま、仕事でこういうことに悩んでるんです。相談にのってください」「だって、今の会社の根っこをつくった人ですよ。自信を持ってください」ありがたい言葉を与え続けてくれました。

そして「ブログ」を書き始めることにしたのです。社会人になってから文字を考え、文章にすることがいつのまにか好きになっていたことに気が付きました。いままで、経験したコトを、気張らず、自分のペースで面白おかしく書いてみようと、思い綴ることにしたのです。

手前みそですが、自分には運気があります。人とは違う人生を送ってきたと思います。全く勉強もせず、やりたいことが何かもわからなかった学生時代は、たいした努力もしないでギャンブルにハマりました。すると、いつのまにか数百万の貯金が貯まりました。その後、それなりに良い年齢になったころ、ギャンブルを引退しベンチャー企業に入社すると、その会社が株式上場しました。

本当は、ストックオプションが欲しかったのですが、新入社員に与えられるワケもなく、ギャンブルでためたお金で自社株を3株買うと、あれよあれよと、株価は10倍になり、会社は一部上場をはたしました。

金銭的に余裕はありましたが、会社は、超、超ブラック企業です。ハラスメントは当たり前だし、朝6時から翌朝3時まで、365日・休みなく働きまくりました。散財することで人脈もできました。やがて、会社が成長すると共に、少しずつ自分の時間を持つことができるようにもなってきました。

プライベートでは、会社の後輩と結婚し1男1女の子を授かりました。家も買ったし車も買いました。超ブラック企業をなんとか生き抜いて、大きな企業になったときには、良いポジションも与えてもらい、会社の命運をわけるプロジェクトリーダーまで任せてもらうという、まさにサクセスストーリーです。

そんな、小さなプライドを拠り所にしていた自分が、2020年2月。コロナ対応を理由に管理系の部署に異動を告げられました。「なぜ自分が?」とも思いましたが、緊急事態宣言や在宅の関係で、いままで以上に家族と過ごす時間が増えたので、あたらしい生活スタイルが「あたり前」になりました。

でも、なんだろう。何かが物足りなかったのです。情熱を燃やす何か。そんなときに、自分のブログを読んだ父からメールが届き、メッセージのやりとりがはじまりました。いま、思うと何故だかわからないです。そのくらい不思議なチカラが働いたのだと思います。父からの何気ないメールは、父の偉大さを改めて知るには十分なものでした。

父は、サラリーマンをしながら作家デビューをしていました。自分のなかでは、なんかの賞を受賞して賞金を貰い、上から読んでも下から読んでも同じ文章になる、「回文いろは俳句」の本を出版したりしていましたが、ただ、ただ難しい内容の本を書く売れない作家だと思っていました。

それでも、父から自分のブログを褒めてもらったというのが嬉しかったのです。めちゃくちゃ頭のいい、あの超秀才な父に偏差値38の高校を卒業して、パチプロで生計をたてていたロクデナシが、44歳になって、はじめてリスペクトしてもらったのです。

そして、このメールのやりとりから自分のルーツを調べる物語がはじまったのです。


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