007を追いかけて山に登った話
標高3000メートルを越えるオーストリアの山の頂上に、ロケ地巡りをしに行きました。
世界を股にかけるイギリスのスパイ、ジェームズボンド。彼が2015年公開の映画スペクターで訪れたオーストリアの雪山に、去年の夏、行ってきました。開業直後の007エレメンツにももちろん行ってます。
すごく今更なんですが、せっかく行ったし、今後行きたいと思っている人ももしかしたらいるかと思うので、覚書を作っておこうと思います。
ガイスラッハーコーゲルに登ろう!
雪山のシーンのロケ地は、オーストリア西部チロル山脈のガイスラッハーコーゲルという山と、その麓一帯です。ガイスラッハーコーゲルには山頂のすぐ横に ice Qというレストランがあって、ここが劇中のクリニックのモデルになりました。
このガラス張りの四角いやつですね。劇中では CG で加工されてたので実際の建物は映画の中のものより小さいんですが、ともあれ、ここが今回のロケ地めぐりの目的地です!
ここまでどうやって行くのかというと、公共交通機関を使う場合、以下のような感じになります。
1. 付近の空港まで飛んでくる
2. 電車に乗ってエッツタール(Ötztal)まで移動する
3. バスに乗ってゼルデン(Sölden)まで移動する
4. ロープウェイに乗って山頂へ
1. 付近の空港まで飛んでくる
付近の空港ってどこよ? という話なんですが、多分一番近いのはインスブルックだと思います。日本から来る場合はヨーロッパ圏内で乗換えが必要ですね。
私はたまたまフライトが安かったので、スイスのチューリッヒまで飛んで、そこから電車で移動することにしました。
2. 電車に乗ってエッツタール(Ötztal)まで移動する
チューリッヒ空港からエッツタールの駅までは、おおよそ3時間かかりました。まずは空港からチューリッヒ中央駅へ向かい、グラーツ行きの特急に乗り換えます。
スイス、リヒテンシュタイン、オーストリアと3つの国をまたぐ移動になりますが、全てシェンゲン圏内なので国境の審査などはありません。ただ電車に乗っているだけ。日本でいうと県境を越えるみたいな感覚でしょうか。リヒテンシュタインに至っては停車もなかったので、気づいたら国境を越えていました。
都市部を出てしばらくすると車窓にはアルプスの美しい山と湖、緑豊かな景色が広がります。短くない乗車時間ですが、すごく優雅な気持ちで過ごしました。
で、駅に到着。ホームからも美しい山並みが見えて、「アルプスにきたぞー!」という気分。もうこの時点で結構しっかり山の中です。
3. バスに乗ってゼルデン(Sölden)まで移動する
エッツタールの町(というかもはや村?)は、ロータリーの周りにお店がいくつかあるきりで、超のどか。駅の目の前のバス停から南に向かうバスに乗ります。
バスはインスブルックと、谷の南の端、オーバーグールグルの間を往復している4194番を利用しました。バス停の行き先表示も分かりやすいし、何しろ走っている路線が多くないので間違う心配はありません。
時々、登山に行くと思しき、リュックサックを背負ってストックを持った人たちが乗ったり降りたり。地元の人も乗ったり降りたり。ゼルデンまでは1時間くらい。のどかな景色が続きます。
ゼルデンの町に入ると、今までののどかな様子からちょっと雰囲気が変わりました。
宿とお店(レストランやスポーツ用品店)が立ち並び、道を行き交う人も多いです。商業の気配が濃い。登山客やスキー客向けにベースキャンプとしての機能がぎゅっと集まってるんですかね。
このときは 007 ELEMENTS(後述します)ができたばっかりだったこともあり、「よっしゃ、これを機にロケ地ネタで盛り上げちゃうぞ!」という機運がモリモリでした。今はどうなってるのかな。
4. ロープウェイに乗って山頂へ
いよいよロケ地へ向かいます!!!
ゼルデンに着いたのが夕方だったので、宿で一泊して朝から向かいました。
山頂へのロープウェイは2段構え。まずは数人乗りの小さなロープウェイで山腹まで登ります。乗り場前に大きな看板まで作っちゃって、ガッツリ007推しです。
山腹半ばくらいまでグイーンと上がっていくんですが、このロープウェイ、意外と怖い!
まず、乗るとゴンドラが小さいので閉じ込められているような圧迫感があるし、地上からの高さが結構あるのでお腹の底がスースーする。そして揺れる! 前後にグイングイン揺れます。飛行機嫌いのQ、よくこんなの乗れたよなあと思ってしまうほど。多分、Qはボンドを追いかけるのに必死だったんでしょうね。
ひとつめのロープウェイの終点には次のゴンドラへの乗り換え駅があります。
ここには劇中でヒンクスが乗りまわしていたジープが飾られていました。
役者さんが運転席に乗って演技をし、実際の車両操作は運転席の上に据えつけられた座席からカースタント担当の運転手さんがする仕組み。泥だらけの車体が撮影の激しさを想像させます。
次のゴンドラはさっきより大きいです。あ!!これ見たことある!!!
劇中でQ課長が乗っていたのはここのゴンドラでした。せっかくならNo.7のゴンドラを待って写真を撮ってくればよかったなあ。
このゴンドラには、多分20人くらい一度に乗れるんじゃないかと思います。動きもさっきより安定感あり。駅のレールから外れるときにがくんと揺れたくらいで、あとはスムーズにぐんぐん登っていきました。
そしていよいよ山頂に到着!!!
ロープウェイの駅を出ると目の前がアイス・キューです。つまりこの場所をボンドが歩いていたということ!!いえーい!!!
私が登った時は霧が出ていて、残念ながら景色はよく見えず。というか、うっかりするとちょっと先の建物もよく見えないレベル。下にいた時にはそんなことなかったのに…。しかしまあ、山の天気は変わりやすいし、運ですね。しょうがない。
007 ELEMENTS
この日、まだ開業して3日目だった 007 ELEMENTS、もちろん行ってきました。文字通りガイスラッハーコーゲルの山の上、アイス・キューのすぐ横にあります。
展示内容は詳しく書くより見た方が早いでしょうから、ご覧いただくとして。
作品の世界観を引き写して設計された建築で、マニアには中にいるだけでちょっとテンションが上がっちゃう堪らない感じです。
歴代作品の映像展示や、ガジェットの展示(見せ方が凝ってて最高です。Q課にきたエージェントの気分!)、そしてスペクターの雪山スタント撮影の舞台裏など、内容も結構充実。この日は霧で真っ白でしたが、アクションシーンが実際に撮影された道路も窓から見下ろせるようになっていたようです。
ロケ地までわざわざ来ちゃう007好きの方なら入って損はしないでしょう。
あ、チケットは下記公式サイトから購入可能ですよ!(ダイマ)
帰りには天気待ちも兼ねてアイスキューでちょっと休憩しました。結局、私の頂上滞在中には晴れなかったんですが…。
1階がレストラン、2階がカフェになっていて、レストランは高級志向でお値段もそれなり。それに比べて2階のカフェは入りやすい感じです。(下の写真は1階部分です)
と、いうわけで、007を追いかけて山に登った話でした。
ゼルデンやエッツタールの谷は、ただの観光だけだったら、多分、交通の弁の悪さに負けて行かなかっただろうなと思うんですが、今回ロケ地見たさに行ってみて、その美しさ、清々しさ、自然の混じり気のなさ、人のあたたかさ、そんなものにガッツリ心を掴まれてしまった自分がいます。また夏に、今度はトレッキングをメインに滞在したいなあ。
とても素敵な場所で、お勧めですよ!
あ、そういえば。ここまで読んでくださったあなたにお得情報をお伝えしておかなければ。
エッツタールでは、宿泊期間中とチェックアウト日の谷での交通費などがほぼ無料になるエッツタールカードというものを配っている宿があるんです。バスと各ロープウェイ1往復分が無料になるので、今回の旅でも007を追いかけるロープウェイ代と帰りのバス代はこれで節約しました。
宿がこのサービスを行っているかどうかは、以下のエッツタール公式ページから確認できます。
あと、以下に今回の旅の情報集めで使用したホームページなどをまとめておくので、007のあとを追って雪山に行きたい方はご参考になさってください。
*情報はすべて英語です。
エッツタール公式:https://www.oetztal.com
電車(SBB):https://www.sbb.ch/en
バス(Ötztaler):https://www.oetztaler.at/en/
ガイスラッハーコーゲル ロープウェイ公式:
https://www.soelden.com/en/gaislachkogl-gondola
007 ELEMENTS:https://007elements.soelden.com/home-en
ice Q:https://www.iceq.at/en/
以上、ここまでどうも、お付き合いありがとうございました!
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