DeNA 南場さんの著書「不格好経営」の中で、「この本を読んで、心が踊ったらDeNAに来い」とされていた本。どんな本なのか気になって読んだので記録していく。
よくあるベンチャーの成功記かと思えば、そうではない。この本はビルゲイツが会いたいというほど時代の風雲児的存在だったIT企業の社長が、会社を潰し、社長自身も自己破産するまでの物語である。
倒産時の負債総額は37億円。とんでもない額である。
そんなバッドエンドにも関わらず、一人のベンチャー社長が日々奮闘し、次々と起こる苦難に対してもなんとか立て直そうとし続ける様子が書き綴られていて、物語のように一気に読んでしまった。
著者の板倉氏は根っからの起業家だ。
このワクワク感、高揚感。これを感じられる人だけが、新規事業というリスクの高い挑戦をするんだろう。
板倉氏は、後に「ハイパーシステム」という名のついたビジネスアイデアを思いつき、その事業計画を瞬く間に練り上げていく。そんな中で、出てきたエピソードが印象に残った。社員と経営者の目線の違いだ。
その後も、本当にこの事業をやるべきか、板倉氏は葛藤していく。
「ハイパーシステム」をやる、という経営判断は、かなりリスクの高い決断なのである。そんな重要な決断に至った心境が、なんというかものすごく元気付けられた。
結局何事もやってみないとわからない。「やるか」「やらないか」、そして、「やるなら、選んだ選択肢をどう正解にしていくか」なのである。
しかし、悲しいことにこの事業判断から、徐々に軋みが出てくる。
銀行などへの説明も、話を聞いてもらえなくなってくる。社内でクーデターが起こる。
そこから、破産するまでの物語が、本では赤裸々に語られている。
この本を読んで思ったのは、本当に社長というのは孤独で、でも人間味に溢れた生き方だなぁということ。ビジネス的に失敗であっても、そこを生きた人には、精一杯の拍手を送りたい。私も困難があっても何度も立ち上がるような生き方をしたいと思えた本でした。