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冬に猫をさがす2021年

去年の12月に飼っていた猫がいなくなった。
その日からずっと猫を探している。

今年の冬はいつのも冬よりも雪が多く
除雪費が3~4倍なのだとかいうニュースを
横目で見ながら

毎日時間帯やコースを変えて
捜索をしているけど
雪に阻まれて、何もかもがうまくいかない。

目撃情報は一か月経っても数件。
有力な情報はほぼない。

まいにち雪上の猫の足跡ばかりを見て
それを追跡することぐらいしか出来ていない。

足跡に注目し
白い吹雪の中を歩いていると
風雪と共に白い虚無みたいなものが
記憶の中に入り込んできて
何を探して
何を求めているのかを忘れてしまう。

猫と一緒にいた8年間は
本当に存在していたのか、夢を見ていたんじゃないだろうか…と
感覚や記憶がどんどん曖昧になっていく。

迷子の飼い猫を探しているのに
足跡を探すことが目的になり
いつの間にか本質を見失ってしまっている
自分に気がつく。



猫が迷子になる前のことを考えてみる。

よく見知らぬ猫がうちに来ていた。
きれいな子も
首輪をしている子も
少し疲れ気味の子も
あきらかに野良猫になっている子も来ていた。

あの猫の中に
もしかしたら迷子になっていて
届出がされている猫がいたのかもしれない。

必死に探して手がかりもなく
八方塞がりで打ちひしがれる飼い主さんの
姿が、いまの自分と重なる。

わたしは
ただ「あ、他んちの猫だ。見たことない子だな…」
程度にしか、猫を見ていなかったことに
気がついた。

うちの猫も
いまそういう風にしか
人の目に映っていないのかもしれない。

探す側になって
はじめて気がついたことだった。

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