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この世でもっとも叶わなそうな「酒好き」を仕事にした話

「好きを仕事に」という言葉が、走り始めだった数年前。

品川にある大きなIT会社で、広報の仕事をしていた私は、広げる、伝えることは好きだったのに、その会社の方向性と、自分が広報しなければならないITサービスに愛情を持つこともできず、ぼんやりSNSを見ていた。

私が勤めていた会社の広報活動の方向性は、Webより新聞や専門雑誌に掲載されるようにという施策で、WebやSNSに無数の可能性を感じてた私とは何度話しても方向性が合わなかった。

新聞、雑誌ももちろん情報を伝える素晴らしい媒体ではあるが、URLを渡すだけで手軽に読んでもらえるWeb記事と、個人と繋がれてサービスの感想が直にもらえるだけでなく、拡散の見込みもあるSNSは、今後の広報活動には必須の媒体だと感じていた。

会社でできないのであれば、個人の発信でどこまでできるかやってみよう。

そう考えたのが最初だった。それなら、会社でできないような自分の好きなコンテンツをPRしよう。私が好きなものはなんだろう。いままでで一番お金を使ったものが好きなものだって聞いたぞ。よし、計算してみよう。……完全に飲み代だ!!

お恥ずかしいことに、あまりこれといった趣味もなく、しかも9時出社22時退勤、通勤時間は合計2時間強と、プライベートの時間も少なかった私が、それでもいままで続いていることといったら飲み会だった。

会社が激務であっても、ストレス発散は休むことより飲むことで。仕事終わり、1人ぼっちで家に帰るのが嫌で、上司に付き合ってもらったり、同じ時間に仕事が終わる大学の友達と待ち合わせては飲みにいっていた。

「お酒」が仕事になったらとっても幸せだと感じた。まずお酒というコンテンツが大好きだ。今までいくつもの友達や知り合いをお酒が繋いでくれた。失敗も数多くしたが、泣いたり笑ってたり、あの繋がりを作ってもらった恩は果てしない。

ただ、それまで企業の広報側であった私は、お酒の仕事をする時には、造り手やメーカー側になることしか考えられなかった。造り手である酒蔵さんと、飲み手である自分には大きな壁を感じていた。

「まあでも、まずはやってみよう」

考えるよりやってみよう主義な私は、一番身近なSNSであるTwitterを始めた。今考えると「好きを仕事に」のきっかけだった。

そこから、SNSを通じて色んな働き方の人と知り合った。今でこそフリーランスという言葉は身近だが、会社員しか経験していない私には、会社に属さず自分で仕事を作り出していく人がとてもとてもすごい存在に見えた。

お酒の中でも特に好きだったのが日本酒だ。炭酸が苦手でとりあえずビールに参加できなかった私は、先輩や上司から少ししらけた顔をされながら聞かれる「じゃあ何なら飲めるの?」に対して「に、日本酒で…」「!!!(いける口じゃん!)」というコミュニケーションで覚えてもらえることが多かった。

また、東京生まれで田舎がなかった私は、地方と何か関われたらとお酒メーカーの中でも酒蔵の方と話すことも多かった。

酒蔵さんとお話すると、お酒造りだけでなく、Webページの制作やラベルデザインなどのクリエイティブ、イベントの企画運営やSNS運用などのPR活動など業務は多岐に渡っていた。

そして、実際にはそこまで手が回らず、中途半端になってしまったり、諦めたりしている酒蔵さんも多くいることが分かった。名刺にはメールアドレスがなく電話とFAXだけでやりとりしている社長さんや、TwitterのRTの仕方が分からないという蔵人さんもいた。

「今までの既存顧客はいるけれど、売上も年々下がっている」「もっと新しい層の人にも飲んでもらいたいんだけど」という話もたくさん聞いた。ただ、その層に届ける術が分からないと言うのだ。

企画すること、発信すること、それを広めることは得意だった。

もしかしたら、私でも役に立つことはあるのではないか。お酒造りには関われないけど、お酒を発信し、広めることで「酒好き」が仕事に本当になるんじゃないか。

そんな夢みたいな考えを、出会う人達に伝え続けた結果、ありがたいことに一緒に活動をしてくれるメンバーがひとり、またひとりと現れ、みんなで立ち上げたチームが『酒小町』だ。

今は、酒蔵さんがお酒造りに集中するために、そして私たちと同じようなZ世代、ミレニアル世代にも日本酒を楽しんでもらうために、酒蔵さんの足かせとなっているクリエイティブや、PR、SNSなどの分野をサポートしている。

チームメンバー全員が「酒好き」なので、これでもかという愛情をもってコンテンツ企画に打ち込むことができる。

そして私達がつくったり、サポートしたりした企画が世の中に出て実際に反応があることが心底嬉しい。「日本酒」の美味しさ、面白さを1人でも多くの人に知ってもらう仕事だ。そして、なにより大好きなお酒を造ってくれている酒蔵さんが喜んでくれる。そして極め付けは、仕事で、お酒が、飲めるのだ!!!

「好きを仕事にするとつらいよ」という話もよく聞いたけど、今の所これ以上最高な仕事はないと思っている。好きなお酒の企画を、好きなチームで考えて、お仕事相手も好きな人ばかりだ。独断と偏見に満ちた、超個人的な見解でしかないけど、「好きを仕事に」して、本当によかったと思っている。

最後にお知らせ


このnoteでもはなした『酒小町という、お酒やお酒の場が好きな人が、お酒を楽しんだり、酒蔵さんとのお仕事をしたりする日本酒メディア&コミュニティを運営しています。

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初月は無料にしているので、ぜひ遊びにきてくれたら嬉しいです。

「酒好きを仕事に」楽しいよ!

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