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【インタビュー Vol.3】ベタニヤホーム伊丹さん 〜すべてを一人で背負わずに、安心できる場所づくり〜

こんにちは。ウズ チャリティショップ清澄白河です。

「循環のウズで人も動物も地球もHappyに」をコンセプトとする当店。
当店では寄付していただいたお洋服を販売し、売上の一部を動物保護団体に寄付していますが、店頭で販売しないお洋服は必要とされている方にお届けしています。
寄付を通じてどのような”循環の渦”が生まれているのか。
第一弾に続き、洋服の寄付先である母子生活支援施設ベタニヤホームの取組についてお話をお伺いしました。

今回は都内にあるベタニヤホーム施設長の伊丹桂さんにインタビューのご協力をいただきました。

ーー本日はよろしくおねがいします。まずは社会福祉法人ベタニヤホームについて教えてください。

私たちベタニヤホームでは、住むところや子育てに困っている方、DV被害などで支援を必要としている方など、生活が困難な状態にある母子家庭を支援しています。
運営母体の福祉法人は、関東大震災での救済をきっかけにキリスト教の精神に則り活動を続けておりまして、先日活動100周年を迎えました。

ベタニヤホームホームページより

ーー施設にはどのような方が暮らしているのですか。

私たちの施設は定員が20世帯で、現在19世帯が生活しています。子どもたちの年齢は0歳から17歳までと幅広く、お母さんたちの年齢層は主に30代が多いです。
施設ではDV被害からの直接避難される方はそこまで多くないようですが、パートナーからの暴力を受ける以前に、母親自らが児童虐待の被害に遭っているケースが多いです。これは大きな社会の問題だと考えていますが、本来だったら自分が児童福祉を受けるべき対象であったはずが、母親になってから支援を受けていることになるんですよね。

ーーケアが必要な方にはどのような支援をしているのですか。

施設内でのケアを「インケア」、施設を出た後のケアを「アフターケア」と区別をしています。
まずは、インケアですが、広い意味での「自立」を促しています。それは、経済的な自立を求めるという意味ではなく、簡単な言葉で言えば「選択する自信をもつ」ということなんです。
ここに来る方々は、これまで少ない選択肢から選ばなくてはならず、自ら選ぶことに対して自信がない傾向がある。なので、選んだ結果がうまくいかなくてもやり直せる場所があるという安心感をもち、自らの力で選択ができるようになるまで寄り添うことを大事にしています。

ーーどれくらいの期間、施設で過ごすのですか。

入所期間は個人によって異なりますが、短い方では約一年半程度で、長い方では約6年ほどとなります。障がいのある方や外国籍の方は、通常長期間滞在する傾向があります。

ベタニヤホームホームページより
ベタニヤホームホームページより

一般的に「2年以内に施設を退所しなければならない」と言われることがありますが、実際にはそのような決まりはありません。しかし、長期間の滞在が必ずしもいいわけではないので、入所期間は2年で設定しておき、延長していく。さらに退所後も継続的な支援(アフターケア)を提供することが重要だと考え、取り組んでいます。
実際に、児童福祉法の改正においても、母子生活支援施設だけでなく、児童養護施設や乳児院などでも、巣立った後のアフターケアが法的に義務付けられました。

ーーアフターケアについて教えてください。

ベタニヤホームでは、以前とは異なるアプローチを取っています。以前は、「退所したあの人、どうしてるかな」と職員が電話をかけ、退所者が応答しなければそれで終了というスタイルでした。
また、施設で年に1〜2回の退所者向け行事を行っていましたが、これは任意参加であり、全ての退所者に十分なサポートを提供することが難しい側面がありました。この方法では本来のアフターケアを果たすには十分とは言えません。
退所者が施設を出た後もトラブルに巻き込まれる可能性が少なくないため、私たちはアフターケアのアプローチを工夫しています。

ーーアフターケアでは具体的にどのような取組をされているのですか。

具体的な取り組みの一例として、職員がご家庭を訪問し、コミュニケーションをとる際に、手ぶらで訪問するのではなく、食べ物などの実用的なアイテムを持参しています。
手土産があることで、訪問の際に「最近どう?」とただ聞くだけでなく、「最近ご飯食べられてるの?」といったリアルな生活の様子を尋ねることができるんですよね。こうした会話を通じて、退所後の暮らしぶりを把握し、必要に応じてサポートを検討します。

ーー「食事」をコミュニケーションのきっかけにされているのですね。他にも取組はありますか。

私たちの施設では「アウトリーチパントリー」という取り組みを行っています。
これは、退所後のケアに加え、施設での支援が必要な人たちを見つけるきっかけにも繋がっています。

ーーアウトリーチパントリーについて詳しく教えてください。

アウトリーチパントリーは、退所者を含む地域の人々向けに食糧を無料配布する取り組みです。昨年度は計11回開催したのですが、毎回10世帯前後、計141世帯、延べ人数にして366人の利用がありました。

ベタニヤホームホームページより

私たちはその場でコミュニケーションをはかり、必要であれば相談に乗っています。

ーー退所者のケアだけではなく、支援必要とされている方にも自主的にサポートされているのですね。

はい。このような取り組みを続けていると、既に支援を受けられている人よりも、遥かに大変な人たちが地域にいることが、よく見えるようになってきました。

ーー相談の結果、施設の利用につながることもあるのですか。

施設に入るかどうかは役所にゆだねられているので、施設では決定できません。しかし現場の肌感では、困っている人や支援を必要としている人がいることは確かです。
実は役所によると年々相談の件数が減っているようなのです。さらに施設の数も、施設利用者数も年々減っています。
これは施設の存在が広く知られていないことや、役所に相談するハードルが高いことが原因だと思います。

ーー役所への相談ハードルを下げる工夫もされていらっしゃるのですか?

はい。当事者と合意が取れた場合には、区役所への相談もサポートしています。おそらくここまでやっている施設は少ないと思います。でもここまでやらないと、本当に支援が必要な人々に適切な支援が届かないのです。
去年はアウトリーチパントリーをきっかけに、緊急一時保護が必要な世帯や、自治体への相談が必要なケースを発見し、適切なサポートへとつなげることができました。その結果入所にもつながっています。

ーー必要な方に必要な支援が届くことが大切ですね。

はい。自分の力だけで何とかしようとする人々にも、すべてを100%自己責任で考えなくていいし、頼れる場所が存在することを知ってほしいと思います。
パートナーシップ、仕事、育児など、様々な選択の先にある現実が思い通りにいかなかったとき、その結果を私たちは自己責任として捉えがちです。
でも日々の選択は、人間関係やその時の経済状況など多くの要因が重なり合ってなされるもので、全てを状況を個人がコントロールできる訳ではありません。
なので、今困難な状況にある人には、「全てが自分の責任じゃない」と安心してほしいですし、サポートが受けられる場所があることを知ってほしい。支援施設に入る必要がなくても、状況の改善を支援できればと考えています。

ーーフードパントリーの開催はどのようにして知れるのですか。

インターネット上の告知よりも口コミが効果的ということに気がついたので、今は口コミを重視してPRしています。
母子家庭であれば居住地関係なく取りに来ていただいて結構なので、あっという間にものがなくなります。
電車に乗って遠くからわざわざやってきてくださる方もいます。広い範囲で支援が必要であることを実感し、職員たちのモチベーションにも影響を与えているようです。

ーー例えば週末のパントリーへボランティアで参加するなど、そういう関わり方も可能なのでしょうか。

アウトリーチパントリーのポイントは、その日に支援が必要な方々と職員がコミュニケーションをはかることなので、前日の準備や会場のセッティングなど、お手伝いいただける方がいらっしゃれば、大変ありがたいです。

本日は貴重なお話をいただきありがとうございました!

母子生活支援施設ベタニヤホームHP
https://boshi-bethanyhome.jimdofree.com/

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東京都江東区平野2丁目3-16ー103
清澄白河駅 徒歩10分
営業日:木・金・日 12:00~17:00 土 10:00~18:00 

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