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【創作エッセイ】アイドルになれたら③

※作中に登場する団体や固有名詞等は、現実とは一切関係ありません。全て「うゆ」の夢をもとに書かれたフィクションです。


「歓声が止む暇もないくらい充実したコンサートにする」
これは私がデビュー前から実現したかった夢だった。

私の最推しグループであるU-MELLOD(ユーメロディ)は、コンサートもショーケースも収録時も、完全アウェイな野外フェスでも歓声の旋風を巻き起こすスーパースター集団。初めて彼らを見た人々は口をそろえて「素晴らしい技術力だ」「楽しいひとときだった」「輝いてた」などと称賛の言葉をもらした。

そんな彼らのファンである私とルイは、ある約束をした。

「どんな場所でも、その場に集まった人たち全員を虜にするパフォーマンスを届けられるアーティストになる。そのためには妥協しない」

グループ名の由来でもあるウェルビーイングを多くの人に与えたい。それが私たちの存在意義。
初めてパフォーマンスを見たあの時の感動を、もっといろんな人に届けたい。

あの日からU-MELLODの後を追いかけるように、ひたすら血の滲む努力を続けた。


そんなある日、交流プラットフォーム「POPAPIPI」(ポパピピ)にこんなコメントが寄せられた。

『ウェルビにユハモニいるとかキショすぎ ユメロに近づいたら〇す』

うゆ「出た、厄介オタク。」

思わず口にしてしまった。

笑うにも笑えず、憐れむような良心のあげようもない思考にため息が出た。
殺意を示した文面に、少なからず背筋が冷えたためだった。

うゆ「それってつまり、ユハモニの中にあなたみたいな厄介オタクがいるってことに対してはキショいと思ってないってことよね?」

その後すぐに会社に報告して調べてもらったら、以前シウのサセンをして捕まり、ファンクラブから永久追放されたユーザーであることが明らかになった。

私とルイがユハモニであることはデビュー当初から番組で度々口にしてるので、今更何も恐れはしなかった。むしろ、永久追放されたユーザーが惨めな思いをしているのを薄目で見ていた。

『これ以上同様の投稿が続く場合、法的措置を執らせていただきます』

その一言が会社から発表されると、そのユーザーは一切のコメントをしなくなった。


嵐が過ぎ去ってから数日後、ある一通の依頼がマネージャーのメールに届いた。

『U-MELLODのジヒョンさんとWellBeeのうゆさんが、ALLONEのイメージモデルに内定しました』

マネージャー「うゆちゃん!コスメブランドのお仕事が入ったよ!」

うゆ「了解しました!」


秒針は、導いてゆく。

運命を、いたずらに。



キャプション

「U-MELLOD」(ユーメロディ)
由来:「君(U)に向けて(-)音楽(MELLOD)を届ける」という意味を持つ5人組ボーイズグループ。
どんなコンセプトも消化するため、天才アイドル集団という異名を持つ。
ファンダム名は「U-HALMONY」(ユーハーモニー、通称ユハモニ)。

・ジュンホ:95年生まれ。長男。メインラッパー。
・シウ:98年生まれ。リードボーカル。
・ジョンソク:99年生まれ。リーダー。メインボーカル。
・ジヒョン:00年生まれ。メインダンサー。
・チャンミ:01年生まれ。サブラッパー、ビジュアル担当。愛称はローズ。


「WellBee」(ウェルビー)
由来:「音楽を通じて”自分らしい豊かな生き方”(=ウェルビーイング)を実現する」「全てをこなすオールラウンダー集団になる(doing WELL + BEcomE)」の意味が込められた5人組のガールズグループ。
現実に少しだけ幻想が混ざったような世界観を得意としており、ダイナミックなダンスと繊細かつ緩急の効いた歌声に定評がある。
ファンダム名は「WeBelieve」(ウィービリー)。

・レミ:99年生まれ。長女兼リーダー。ビジュアル担当。リードダンサー。
・うゆ:01年生まれ。WellBeeの音楽PD。リードボーカル。
・ルイ:02年生まれの01Line(早生まれ)。メインダンサー兼サブラッパー。
・カヤ:04年生まれの03Line(早生まれ)。メインラッパー。
・ヒヨ:04年生まれ。マンネ。メインボーカル。


交流プラットフォーム「POPAPIPI」(ポパピピ)
アーティストとファンがチャットを使って交流できるアプリ。
双方の投稿にコメントできるほか、ライブ配信やラジオ配信、アルバム封入のコードを読み込んだ特典の閲覧などもできる。
参加アーティスト数は60を超え、ユーザー数は500万を突破した。


©2023 うゆ <https://note.com/uyu_toxic0v0/>
Graphic powered by Canva

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