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広島観光レポ~呉編~

呉。

最近でのイメージは、『この世界の片隅に』の舞台になった街、というイメージなんじゃないだろうか。
戦争ものも見る私としてはこの作品も押さえていて不思議はないのだけど、何故かあまり好きではなくてスルーしていた。
それでも呉は、「軍艦の街」という印象がきっちりある街だ。

広島到着後から夜までの数時間しかとれず、天気もポツポツと雨が降るか降らないかの中だったが、それでも駆け足で見に行ったのが『大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)』。
理由は単純。
戦艦大和の模型が見てみたかったから。



呉へは広島駅からJRで向かった。
4両しかない電車は地元の人々や私みたいな観光客を乗せて、市内から山沿いを抜け、海沿いを走る。
海沿いで育った方には当たり前かもしれないが、海のない県や内陸部で生まれ育った身としては、海が見える、潮の香りがする、それだけでテンションがあがる。
途中、あれは自衛隊のものなのだろうか。大きなレーダーをそなえた船が島陰から表れた時は一段と、心が踊った。

呉駅に降りてからお目当ての大和ミュージアムへは商業施設を通り抜けて進む。平日だったが歩道橋やミュージアムの館内には子供や大人、おじさんたちの姿も多くあった。
みんなどういう気持ちで見に来たんだろう、もしかしたら単純に軍系のものが好きで?それとももしかしたら何か縁があってなのだろうか……と色々想像してしまうのは悪い癖だと思う。

たまたま向かいの『てつのくじら館(海上自衛隊呉史料館)』が休館日だったため大和ミュージアムだけで時間を過ごすこととなり、企画展『日本海軍と航空母艦』と共に常設展を見ることができた。

この『日本海軍と航空母艦』企画展。
空母を中心に展示や解説がされていたのだが、その展示の仕方がかなり格好良かった。
エリアに入場するとバーンと正面に、それこそ戦艦が停泊しているように、各戦艦の名前が大きく表示された仕切りが見える。
印象はエヴァ。
それだけでテンション爆上がり。
とはいえガチのミリオタでもないため、戦艦や空母などの名前やふんわりとしたその歴史は遠い昔に遊んだ「艦これ」やその周辺から仕入れたものがほとんど。(確か秘書艦は那智さんだった)
それでも「赤城」や「加賀」、「瑞鶴」に「翔鶴」など知っている艦名が多く、軍縮条約など教科書で習った知識と併せて流れを掴むことができた。

船全体の見取り図なども興味深かった。
青色の転写紙に記された、縦、横、上からの図や右端の四角い枠内に記された船のスペックなんかの形式は、遥か昔に祖父の工場で見た記憶のある設計図を思い起こさせたし、どのスペースがどの用途に割り当てられていて、などを細かくみていくのも楽しいし、赤城ではきちんと前後ろと並んで積まれていた戦闘機が、別の空母では、恐らく羽の部分を重ねてより沢山積めるようにしたのだろう、斜めに複雑に、ともすればぐちゃっと積み上げられたようにも見える形に詰めて描かれていたのも興味深かった。

企画展じたいは30分ほどで観ることができるサイズで、空母たちの歴史や位置付けもさることながら、その構造や仕組み、変遷が好きな人にはたまらない展示だったのではないだろうか。

続いて常設展示へ。
呉や広などの造船業とともに発展してきた街についての展示や、実際に船に積まれていたボイラーの展示があり、企画展よりも更に、船を通してそこに生きていた人々の姿が見える展示だったように思う。
前々から疑問だった、戦艦などの船名の名付けかたに関しても解説があった。
戦争の後半にさしかかるブースには戦艦大和や魚雷回天に搭乗した人々の手記や遺品、名前や写真などの展示もあり、今回の旅では戦争の足跡をできるだけ避けてプランニングをしたのだが、それでもどうしてもぐっとくるものがあった。

そしてお目当ての戦艦大和の1/10模型。
デカイ。デカイんよ。
たしかに確かに画像などで見たことはあったが、やはり迫力が違った。
できれば横に切って中の船室もミニチュアで見たい………!!


展示自体は戦争中、戦後で終わらず、造船を中心に現在、未来まで続いていた。
現在、未来に関してはなんと、窓の外。
実際に呉の造船所で作られている世界最大級のコンテナ船「ONE INNOVATION」について解説されていた。
先ほど大和の模型でもデカいと思ったが、いやまって、何あれ。大陸じゃん。
内陸のどちらかといえば都市部ではあんなサイズ感のもの見ないし、でけぇなと思ってたゲームの中にでてくるタンカー船とかよりもはるかにデカい。
なんならデカすぎて怖い。
中世やそこら辺の時代に、文字が読めない人に対しても教会が威厳を示すために、ゴシック建築とかは森のように高く荘厳に作られた、みたいなのを読んだことがあるけれど、体感的にわかった気がする。
そんなことを考えていた。

本当はこの後子供が楽しめそうな、船にまつわる理科的な仕組みなどを体験できる科学館のようなコーナーがあって、そこはコロナを超えているせいか使用不可祭りで子供なんてひとりもおらずにがらんとしていて、ネットでたまに見る夢にでてくるスーパーのゲーセンみたいな感じがすごいあってそれはそれでわくわくしたりしたのだが、時間の関係上駆け足で通りすぎるしかなくとても残念だった。

こうやって戦争の歴史の後に少しでも現在や未来、科学コーナーを用意して、なんだかちゃんと現実や観光に戻してくれる感じがあり、とてもありがたかった。
構成って大事ね。

その後は海軍カレーを買い込み帰宅中の高校生達に混ざって早々と市内に戻ってしまったのだが、恐らく天気や季節がよかったりすれば、海や町並みをもっと楽しめたに違いないと思える場所、それが今回の呉だった。

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