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本番で失敗しないために、業務以外でユーザーインタビューの経験を積む3つの方法

UXリサーチャーのしぶやです。

ニーズ把握に有効なユーザーインタビューですが、UXリサーチが浸透していない組織だと、業務で実戦経験を積みにくいですよね。

経験が浅いと、いざ本番を迎えた時に、

「慣れない業種やシステムのインタビューで緊張する」
「聞きたいことが聞き出せない」
「次に何を聞くべきか分からない」

などの課題にぶつかることが多々あります。

今回は未経験者でもできる、業務以外でユーザーインタビューを経験してスキルを高める方法をいくつかご紹介します。


身近な人の興味ある話題を掘り下げてみる

ユーザーインタビューというと質問票のある形式的なものをイメージしやすいですが、いざ実践すると相手の回答を頼りにフリースタイルで追加質問する時間が大半です。

この追加質問を考える感覚は、日常会話の中で気になる話が出た時こそ鍛えるチャンスです。

ある日のオンライン飲み会にて、友人からRIZAPに通い始めたことを聞きました。私もスポーツジムに通っている一方、高いお金を出してまでRIZAPに通う価値を見出していなかったので「どうしてだろう?」でいっぱいでした。

そんな時は雑談で終わらせず、ひたすら深堀りするようにしています。

・はじめたきっかけは?
・他のジムと比べて良い点悪い点は?
・続けるモチベーションは?
・通ってどうなりたい?

など、脳内でカスタマージャーニーマップを完成させる勢いで根掘り葉掘り聞いていきます。聞くうちに友人の新しい価値観に気づけるし、どう質問するとどう返ってくるかの勉強にもなります。(ただし、話し好きでない人にやると嫌がられる場合もあるので気をつけましょう笑)

ユーザーインタビューの際、質問せねばと身構えて挑むと面接のような固い雰囲気になりがちですが、話しやすい雰囲気づくりも超重要です。友人との会話で練習すると自然に雑談の延長で質問できるので、自然に質問する感覚も掴みやすいと思います。


他人のインタビューを受けてみる

自分でインタビューする経験を業務外で作るのはなかなか難しいですが、逆にインタビューを受けることは簡単です。

一番手っ取り早いのは、調査会社のパネルに登録することです。

登録するだけで、日々たくさんのインタビューのリクエストが届きます。業種や内容、長さなど募集要項は様々ですが、自分にあったリクエストが常に数件は見つかります。

受け手に回ってみるだけでも様々な発見があります。質問の答えやすさ、会話の噛み合わない瞬間などを自分で経験すると、質問のしかたや順序をどう気をつけると良いのかの参考になります。

私も答える側に回って初めて「その聞き方だと本音を回答しにくいな」「大事な前提を聞かれないまま進んでるけど大丈夫かな」という感情を覚え、自分のインタビュー方法を見直すきっかけになりました。

特に前提条件の思い込みは意外とやってしまいがちです。私も以前、仕事に関するインタビューをやったとき、今までの話が本業でなく副業の話だったと後半に判明して焦ったことがあります。

受け手でも良いので場数を踏んでおくと、色々なバイアスに気づけて良いインタビューをしやすくなると感じます。

なお、インタビューを募集している調査会社としては、アスマーク(D Style Web)マクロミル楽天インサイトなどが有名です。

ただこれらのサイトは謝礼が多めなだけに倍率も高く、私も参加できたことはないです。

参加のしやすさでは、新しめのサービスであるZeroneuniiリサーチのほうが向いているかもしれません。また、専門的な業務経験があればビザスクliteも利用できます。興味があればぜひ登録してみてください。

余談ですが、質問して相手の意見を引き出す様子を見るだけでも学習の機会は作れます。打合せで質問が上手な同僚の聞き方を分析するのでも学びは得られます。

私はたまにYouTubeでカジサックさんがゲストにインタビューする動画を見ますが、学べる点が多いなと感じます。相手を楽しませつつ、心から興味を持って質問して本音を引き出す様子を見て、自分の立ちふるまいの参考にしています。

普段触れているコンテンツから学びを見つけてみるのも面白いかもしれません。


セミナーに参加する

最後は順当に、ユーザーインタビューを経験できるセミナーを紹介します。

私が参加したインタビュー関連のセミナーでもっとも実践的だったのは、日本マーケティングリサーチ協会の定性調査セミナーです。調査の企画〜実査〜分析を個別に講評を受けながら進めるため、よくある過ちや思考のクセに気づけて非常に参考になりました。
実務に役立つ定性調査企画力養成講座(2021.07.07・15・21・29)

UXデザイン系のセミナーでもユーザーインタビューを実践する機会があります。得た情報からサービスを生み出すプロセスまで実践できるので、サービス設計全体を体験したい人におすすめです。
Xデザイン学校 ユーザーリサーチコース
HCD-Net(人間中心設計機構) UXデザイン連続セミナー

残念ながら2021年8月現在申し込めるセミナーは見つかりませんでしたが、ぜひ定期的にチェックしてみてください。


以上、ユーザーインタビューを経験する方法をいくつかご紹介しました。

なお、今月発売された書籍「はじめてのUXリサーチ」は、これからUXリサーチを始める人が知っておくべき情報が満載の良書です。最初の一冊としてぜひオススメなので、機会があればぜひ読んでみてください。

良書を読んで知識をつけたら、実戦経験を積んでユーザーインタビューの筋肉をもりもり増やしていきましょう!


written by しぶや
ISID UXデザインセンターのUXリサーチャー。元フロントエンドエンジニア。使いやすく有意義なシステムやサービスをつくるため日々奔走しています。趣味はボードゲーム制作とスパイスカレー屋めぐり。


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