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妄想を形に。ものづくりを楽しむ | ユカイ工学CTO 鷺坂隆志インタビュー

みなさんこんにちは。デザイナーの はらだ です。

BOCCO emoのクラウドファンディングも最終日となりました!

今回はCTOの鷺坂さんに、BOCCO emoなどユカイ工学のものづくりについてお話を聞きました。

【 Profile 】
鷺坂 隆志( Sagisaka Takashi )

- ユカイ工学 / CTO
2007年12月東京大学大学院在学中に、CEO青木と共にユカイ工学を創業。以来、主に自社のコミュニケーションロボットのハードウェア開発をリード。エンジニアとしては、部品選定、回路設計、ファームウェア開発、が主な仕事です。

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自分の知識を総動員する楽しみ

----- エンジニアになったきっかけを教えてください。

鷺坂
子どもの頃から理科とか好きで得意だったんです。逆に文系科目が本当に苦手で。進路は自然と理系を選択していました。
機械系の学科に興味を持ったので、大学は工学部の機械工学科に進みました。ロボットの研究をしている研究室に所属していたのですが、そこでの経験がエンジニアになったきっかけですね。

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機械系の学科では、金属加工、回路設計、ソフトウェア開発など、ロボットを作るのに必要そうなことは一通り学びます。
それまで自分の学んできた知識を総動員する感じが楽しくて。
仕事もそういったことがしたい気持ちがありました。

当時、ロボットに対するこだわりはそんなにありませんでしたが、結果的に今やりたいことをやれているなと思います。

----- 大学時代はどんな研究をされていましたか?

鷺坂
大学4年のころは、人型ロボットの研究室に所属して、ベイマックスみたいに外側が柔らかい人型ロボットを研究している先輩にお世話になりました。

僕は元々、単純な数式で生き物っぽい形状が再現できるフラクタルなどに興味があったので、単純なルールで生き物っぽい振る舞いをするロボットに興味を惹かれました。さらにロボットに生き物のような進化論を当てはめて動きを作る、進化ロボティクスという分野があると知り。

肌で感じる感覚をもとに、関節を動かすルール、脳みそみたいな部分を進化させられないかトライしました。

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大学院の修士〜博士課程では違う研究室に移って、ロボットの手をどうしたら知的に動かせるかのかや、人がどうやって手を使っているかを測る研究を行なっていました。

学部時代の研究室は、ロボット先行で何かをしよう!っていう感じでしたが、院生時代の研究室は人間や生き物のことを知るのが本質で、ロボットはそのためのツールとして意識されていて、逆の立場みたいな感じでした。
それぞれの視点で研究ができたのは本当に良い経験だったと思います。


巻き込まれるように立ち上げたユカイ工学

----- ユカイ工学はCTOの青木さんと一緒に立ち上げたんですよね。青木さんと出会ったきっかけは何だったのでしょうか?

鷺坂
大学2年頃、チームラボでアルバイトをさせてもらったのがきっかけでした。
僕が画像処理のプログラミングをしていたら、ガタイの良い人が後ろからヌッって覗き込んできて。「なんだ!?」って思ったら青木さんだったんです。

当時青木さんはチームラボのCTOだったので、たまに作業を見てくれることがあって、内容を説明すると楽しそうに聞いてくれるんですよ。
そこから度々夏休みとか、スポットでアルバイトに呼んでもらうことがありました。

当時、青木さんはガタイの良さもあって体育会系の人だと思ってたんですけど、接していくと意外と繊細というか…印象はだいぶ変わりましたね。

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ユカイ工学を立ち上げた時は僕はまだ学生で。
青木さんに「ロボットの研究室にいきます」って話したら、話がしたいんだよね!ってわざわざ大学まで来てくれたんです。

そこで「今度ロボットで起業したいと思ってるんだ」って話をしてくれたので、色々聞いていたら「ターミネーターとか作りたいんだよねー」って言われて。

当時は何言っているのか本当にわからなくて。笑
今思い起こすと、画面の中の話じゃなくて、触れるものを作りたかったんだろうな〜って解釈できるんですけど…。

そんな感じで誘われたというか、半分巻き込まれた感じでユカイ工学立ち上げに参加しました。


ものづくりの原点は " ココナッチ "

----- これまで携わった中で印象深いプロダクトはありますか?

鷺坂
う〜ん…ユカイプロダクトはどれも好きなんですよね。
本当に死ぬかと思ったっていう意味でも全部印象深いんですけど…やっぱりココナッチかなぁ。

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僕がものづくりを始めてから、初めて量産したのがココナッチだったんです。1000個も作るし、大きいお金も動かさなきゃならないんですよね。
当時学生だったので「数百万円なんて見たことないよ…本当に作っちゃって良いのかな…?」ってドキドキしながら作業していました。

なによりも量産が初めての連続で。
基板屋さんがどこにあるかとか、プラスチックってどこで作ってくれるんだとか、外側のフニフニ誰が作るんだとか。

青木さんが色々発注先を探してきてくれたんですけど、そこで初めて「見積もりって行為があるらしいぞ。」ってわかったり。笑
本当に全部が初めてすぎて、「何にもわからん。わからんしかない!」ってなってました。

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今思うと、あれでよく作れたよな…って本当にびっくりするんですけど。その分、思い入れが強いですね。

----- ココナッチは鷺坂さんの原点になるようなプロダクトなんですね。

鷺坂
そうですね。
コミュニケーションに着目していたり、インタラクション部分も今と繋がりがあります。
BOCCO emoでやっていることとも概念的に繋がっていたり、細部にわたって要素は大きく変わらないんですよ。ぼんぼりの構造とかもココナッチで使った技術が使われていたり。ロボットの振る舞いを指示する方法を考えて実装したり。
本当にココナッチが第一ステップというか、積み上げてきたな〜って感じがあります。

----- ココナッチはユカイ社内でもファンが多いですよね。私も大好きです。

鷺坂
ココナッチを作ったのは10年前ですが、今でも欲しいですって色んな人に言ってもらえるのは嬉しいですね。

時間が経っても再評価されるプロダクトなんだな〜って、しみじみと感じていて。そういうところも気に入っているポイントです。

学部時代にやわらかいロボットを使わせてもらっていたので、それが必然的に今に繋がっていると思っていて。そのロボットがものすごい好きだったわけではないけれど、不思議と似たものを作っているんですよね。
今でも研究室の繋がりがある人と仕事を一緒にしていたり、なんだか運命的なものを感じる瞬間があります。


ユカイ工学で過ごして感じる楽しさの変化

----- ものづくりをしていて楽しいと感じる部分はありますか?

鷺坂
昔は自分で全部作るのが楽しみだったんですけど、最近はものづくりの最初と最後に楽しみを覚えますね。

例えば、クラウドファンディング中のBOCCO emoとかって一人じゃ絶対に作れないんです。むしろユカイ工学一社では作れない。色んなパートナー企業と一緒に作っているんです。

プロダクトを作るときに、CPOの多賀谷さんがコンセプトを考えたり、CDOの巽さんが外形を描いたり。僕も最初、A3くらいに収まるような構成図とかを書いたりして、妄想をどう実現していこうか?ってどんどん具現化していくんですよ。

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A3に収まっていた自分の妄想が、色んな人の力で形になって思った通りに動いている。この最初と最後が本当に楽しいんですよね。
途中はもう、産みの苦しみしかないんですけど、そこを越えると快感が待っている感じがします。

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----- たしかに、ものづくりの醍醐味って感じがします。BOCCO emoの他にも達成感を感じたプロダクトはありましたか?

鷺坂
達成感あったのはQooboかな。
元々はユカイ工学恒例行事の開発合宿がきっかけで、当初は商品化するかもわからなかったプロダクトだったんです。
でも青木さんが色々と動いてくれて商品化に至ったんですよね。
そういえば、開発秘話はnoteでも紹介してくれていましたね。

Qooboは2017年のCEATEC*で発表したのをきっかけに、海外のメディアでたくさん取り上げてもらったんです。

* CEATEC(Combined Exhibition of Advanced TEChnologies)
毎年10月に幕張メッセで開催されるアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会

多くの人から反応をいただけて嬉しかったですね。
人に認められることはやっぱり嬉しくて、作った甲斐があったな〜と感じました。

このPetit Qooboもクラウドファンディングをしてくれた方のお家に届いている頃ですが、SNSで可愛がってもらっている様子を見ると本当に嬉しくて。

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一生懸命開発しているんですが、やはりお待たせしてしまって申し訳ない気持ちがあったんです。それでも温かく迎え入れてくれている皆さんのリアクションを見て感動しました。本当にありがたいですね。


CTOとして必ず見るのは「熱量」

----- 鷺坂さんはCTOとして採用面接などもされていますが、注目するポイントなどはありますか?

鷺坂
ユカイ工学って、能動的な人が多いんですよね。
自分で作ったものを売ってみたり、ロボットカフェを開いていたり。

以前インタビューで岩井さんが「熱量」がある人と働きたいって話をしていましたけど、僕もそこは共通して期待している部分ですね。

「なんでもいいので言われたら作ります」っていう人より、自分の中に作りたいものの像がある人と一緒に働きたいなと思います。
自分の中ですでに動機付けされていた方が、何をやるにも習得が早かったり、アイデアを自分から出そうとする気持ちも強い傾向にあると思うんです。

----- たしかにユカイ工学にいるとそこは実感しますね。自分で発想して生み出す力がある人たちが集まるからこそ面白いことができると感じます。

鷺坂
やっぱり熱量のあるメンバーと一緒に働くとテンション上がるんですよね。
セバスチャンさんとか、キレイなコード書くから「すげぇ!」ってなりますよ。
BOCCO emoインタビューで多賀谷さんも話していたけど、同業者的に考えても完成度の高いコードを彼は書いてくれるんです。

僕が何となく「こういう機能があるソフトウェアが欲しいんですよね」って話をすると、ほぼ完璧なものをパッと作り上げてくれて。
成果の期待値を上回ってくる感じが本当にすごいなって思いますね。

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ユカイ工学はガンガンものを作れるような環境だと思うので、そこを存分に楽しめると良いですね。
みんなよく「越境」って言うけど「エンジニアの仕事はここまで。」みたいな境界線はユカイ工学には無いから。
ものづくりを楽しめる人と会えるのを楽しみに、ユカイ工学では採用活動をしています。

----- ありがとうございました!今後の活動も楽しみにしています!


あなたもユカイ工学で働いてみませんか?


編集後記:大人の素直さ

入社して1年以上経ちましたが、ユカイ工学は驚きの絶えない場所だと思います。
生み出されるものはもちろんですが、興味深いのはその作り手たち。
なんだか「素直な大人」が自然と集まっている気がするのです。

好きなことに対して素直に向き合ったり、ごめんねって謝ったり、「それ良いね」って褒めあったり。

私は歳を重ねるほど、" 素直さって強い " と感じます。

責任者ではあるけれど、上も下もない。
マネジメントという視点で役職についているけれど、フラット。

「研究室に朝行くと、ちらほらデスクの下で寝てたりするんですよ。ちょっと浮世離れしているけど、そういうの悪くないなって思ったんですよね。」

「僕…ユカイの、自分にないものを持っている人たちが連携している感じが好きなんですよね。あとドヤついていない、ちょっと奥ゆかしい感じも。」

CTOがにこやかに話してくれたエピソード一つ一つが楽しくて。
私が入社前に出会ったQooboから感じた、やわらかな楽しさはここからきていたのかと感じました。


その他のインタビューnoteはこちら


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