Not sure anymore |詩
あくまで 夢 の はなし
もう 誰もいない 建物 のなかを
ふらふらと歩いていて. 薄暗いなか むこうに
あかり が 見えたから. そっちのほうへ
天井が破れていて. たまたま
光の柱が ぼうって
あく まで 夢の はな し
ひかる が 射す あかり のなかを 無数 に きらめき 粉々に
ただよう 塵
両手を差しだし 目 を 閉じる
温度
日 が かげり 薄く ,なり 消える.
破れた 天井 のむこう に おおきな 空 が あって
雲が 動 いて いた. 見えた. 小さな破れから.
走る. 自分の駆ける音など わからない.
雲を みたい. この 建物 の ,外
錆びたハッチ を 何度 も 体 あたり する
肩が いたむ 衝撃 の たびに ギシギシ と この外に
雲 の 下. こ の 外側 に 出 ら れるなら
食べて 生きること を のぞむ なんて その時 忘れてしまって
泣 き ながら 錆びた ハッチ に 何度も 何度も
建物から、ひとり出てきた。
両手を広げて、わらっていて気持ちがわるかったよ。
黒い目隠しは頭にまきつけられていたままだった。
しばらく双眼鏡で見つづけていた。なにしてんだろうなって。
まだひとりいたというか、よくも まあ 生きてたというか。
となりで連れがライフルを構えてはいた。 あいつが爆発物そのものじゃ困るんで、まあ あたりまえだ。
男だか 女だか。 若そうだった。
じき、両ひざをついて、倒れた。撃っちゃいなかった。
あたりまえだろう。
ただ、
まあ きれいに見えたんだ。 崩れおちて斃れて死ぬそのさまが。
変な気分だった。
ああ、そう、変な気分さ。 いったいなにに惹かれてあそこまで
あいつは出てこれたのかって。
中にいても最悪、外に出ても地獄、なのにな。
変な気分だよ。そうだったんだ。
そんなところさ。
そいつは。ああ、そのままにしておいた。
( ……?)
知らねえよ。
でも 悪かなかったはずだ。
だから、 まあ、 そんなとこさ。
もう、いいか?
©︎かうかう
初稿公開 17 Jan 2023