2023年プロダクト組織を振り返る
こんにちは。スタメン CTOの松谷(@uuushiro)です。
2023年にプロダクト組織の強化のために取り組んできた様々な取り組みの一部をご紹介します。
新東京拠点の立ち上げ
スタメンが提供するTUNAG(ツナグ)は、今年導入企業が700社を超えるなど、順調に成長しています。TUNAGはエンゲージメント経営に必要な機能を備えたプラットフォームであり、企業ごとのあらゆるニーズに対応するために多機能に拡充していく必要があります。
スタメンは名古屋で創業し、これまで名古屋を中心にプロダクト組織を築いてきました。しかしながら、今後の開発スピードの要求を考慮すると、従来の名古屋エリアに限定した採用では達成が難しいと判断し、2023年1月に新たに東京拠点を立ち上げました。
拠点立ち上げから約1年が経過し、現在東京拠点では新たなチームが立ち上がり、東京と名古屋の拠点が一体となってTUNAGを開発しています。しかしながら、まだまだ事業を飛躍させるためのプロダクトに必要な力が不足しています。引き続き、東京と名古屋の両拠点でエンジニア組織を拡大していく予定です。
プラットフォーム部の新設
これまでTUNAGは、プロダクトをいかに伸ばすかに注力してきた一方、内部品質や開発効率などに関する課題が後手に回っていました。
TUNAGが成長軌道に乗ってきた今、今後も組織をスケールさせながら、継続的にプロダクトの価値を素早く世の中に届けていくためには開発生産性・開発者体験に関する明確な戦略が不可欠だと考えており、この課題に集中して取り組むために、2023年2月にDevEx(Developer eXperience)チーム立ち上げの募集を公開しました。
その後に4月にジョインしていただいた方を中心に、DevEx(Developer eXperience)チームを立ち上げ、また7月にはSREチームの立ち上げが実現しました。この両チームが着実に成果を上げ、2023年9月からは「プラットフォーム部」を新設し、プラットフォーム部がDevExチームとSREチームの両チームを統括しています。今後のプロダクト組織のスケールには欠かせない、中長期での開発生産性向上の取り組みや、エンジニアリングマネジメント全般を大幅に強化することができました。
プラットフォーム部の直近の取り組みをいくつか紹介します。
Kaigi on Rails 2023のスポンサーLTでも発表させていただきましたが、TUNAGのメインシステム(Ruby on Rails)にて、Rails7.1リリース後1.5時間という短い時間でアップデートを完了することができました。
また、同じくTUNAGのメインシステム(Ruby on Rails)にて、Ruby on Railsの mainブランチへの追従を始めました。一年前と比べて、とても攻めたチャンレンジができており、今後も計画的にバージョンアップを行っていける体制も整いました。
SREチームも、これまで後手に回っていたオブザーバビリティに関する課題への着手、インフラコストの最適化、そしてインフラだけでない開発も含めたシステムの信頼性に対するオーナーシップを発揮してくれました。具体的な取り組みについては、以下のBtoB SaaSのSRE奮闘事例 秋まつりの資料で公開しています。
また、最近ではTUNAGのメインデータベースをAmazon Aurora MySQL v2(MySQL5.7互換)からv3(MySQL8.0互換)にアップグレードするなど、TUNAGにおける過去最大のメジャーアップデートも計画的に進め、入念な検証の中で、問題なく完了することができました。
フロントエンド領域の取り組み
また今年は、プラットフォーム部以外でも、開発生産性や開発者体験の向上の取り組みを大きく推進してきました。
TUNAGのフロントエンド領域は、Ruby on RailsにReactを乗せる形で開発を行ってきましたが、Railsの環境に依存するが故に開発効率を妨げていたり、不具合の発生確率を高めてしまうというという問題がありました。そんな中、2023年1月からフロントエンド環境をNext.jsへリプレイスするプロジェクトを開始し、約1年が経過しました。1年がかりの大きな投資ですが、フロントエンド基盤の整備ができたおかげで、開発生産性があがり、またユーザー体験も一部改善することができています。このフロントエンドリプレイスプロジェクトの技術選定や運用に関しては以下記事で公開しています。
モバイル領域の取り組み
TUNAG(ツナグ)のメインターゲットの1つが、飲食、小売、物流、製造などの現場で働く「ノンデスクワーカー」と呼ばれる業界です。この業界は立ち仕事などがメインなので、PCよりもモバイルアプリの重要度が高くなります。
今年の1月時点ではiOSエンジニアが1名、Androidエンジニアが1名という状況だったので、かなり苦しい体制でしたが、現時点では6名になり安定した体制になっています。
特に去年までは、機能開発にほとんどのリソースを割いていたため、iOS, Androidの各プラットフォームの改善が思ったように進められていない状況でしたが、今では機能開発とプラットフォーム改善の両立ができるようになってきました。
また、モバイル組織のリソースが常に不足している状況だったので、新機能開発において、WEBで画面をつくることがほとんどでしたが、モバイル組織のケイパビリティが向上してきたことで、一部機能では、Webでは実装せずにモバイルでのみ実装するモバイルファーストな開発が選択されるなど、開発スタイル自体にも変化が見られた1年でした。以下記事で、今年入社したモバイルエンジニアのインタビュー記事を公開しています。
エンジニアHRの新設
2023年5月よりCTO室にエンジニア採用をメインミッションとしたエンジニアHRを立ち上げました。
もともと採用活動へのリソースが割けておらず、例えばエンジニア向けの採用のコンテンツがほとんどなかったり、情報が古いまま更新されていない状態が続いてしまっていました。エンジニアHR立ち上げ後は、エンジニア採用サイトのリニューアル、エンジニア向け会社紹介資料のアップデート、リファラル採用制度の推進、選考プロセスの改善、採用媒体の見直し、学生インターンの企画、スカウト改善、技術広報、カンファレンスのブース運営など、エンジニアHRチームを中心として前進できた1年でした。
エンジニアHRを立ち上げたからこその進展があった一方で、目標としていたエンジニアの内定承諾数には至らず、エンジニア採用の難しさを感じる1年でした。来期に向けて、さらなるエンジニアHRの強化と、採用に関する投資の優先順位を改めて見直していきたいと考えています。
今年、エンジニア向けの会社紹介資料を作成したので、ぜひ見ていただきたいです。
技術広報に関しては、2023年からカンファレンスにスポンサーをするなど、積極的に露出を増やしていきました。カジュアル面談でもカンファレンスで見たことがあるとのお声を頂くことが増えてきていて、認知の効果を少しずつ実感しています。
2023/05 RubyKaigi 2023
2023/09 iOSDC 2023
2023/09 DroidKaigi 2023
2023/09 Designship 2023
2023/10 Kaigi on Rails 2023
2023/11 SaaS Design Conference 2023
成長支援の取り組み
社員の成長支援を目的に、2023年に開始した制度の一部紹介します。
無限書籍購入制度
2023年4月から「無限書籍購入補助」がスタートし、社内の多くのメンバーがこの制度を活用して、自己研鑽をしています。一般的には、「月にN冊まで」「上限金額」などの制限が設けられることがほとんどですが、スタメンの書籍購入補助は、「無限書籍購入補助」という名の通り、費用/冊数は無制限となっています。
ちなみに2023年11月のプロダクト部門のメンバーの購入実績の一部は以下です。
OAuth徹底入門 セキュアな認可システムを適用するための原則と実践
エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
世界一流のエンジニアの思考法
不滅のデザインルール 圧倒的な感動を生み出すアイデア群
無敵のブランディングデザイン: 成功事例から読み解く (Designer’s Collection)
マイクロフロントエンド
カンファレンスまるっと参加補助制度
2023年8月には、社外開催の国内カンファレンスへの参加費用を補助する「カンファレンスまるっと参加補助制度」がスタートしました。プロダクト部門では、以下のカンファレンスへの参加がありました。
Amazon QuickSight Roadshow
SRE NEXT2023
Scrum Fest Sendai 2023
JAWS FESTA 2023 in Kyushu
Japan FinOps Meetup
社内公演の実施
スタメンの2023年はプラットフォーム部の新設など、内部品質や生産性について向き合ってきた1年でした。内部品質や開発効率への向き合い方は、特定のチームやプロジェクトだけで大事にしたい価値観ではなく、全社共通の認識としていきたいと考えています。和田卓人(t_wada)さんの社内公演はエンジニアだけでなく、弊社の代表や他の職種メンバーも参加し、全社でプロダクト運営における理解を深める良い機会になりました。
ハイブリッドワークの導入
これまで、スタメンでは全社員が週5日出社して組織運営を行ってきました。これは、対面コミュニケーションによって得られる高いエンゲージメントや(業務内容によりますが)対面での生産性の高さなど、出社の価値を重視してきたからです。しかしながら、今後、スタメンがプロダクト組織を強化するためには、シニアエンジニアなどの上位層の採用が不可欠であり、そのためには柔軟な働き方を導入し、より多くの候補者が転職を検討する際にスタメンを選択肢として考えられるようにしていく必要があります。
これらの状況を踏まえ、2023年11月から、プロダクト部門においてハイブリッドワークを導入しました。週に1回出社デーを設けて、これまでの対面の価値を残しつつ、働き方にも柔軟に対応できるようになりました。リモートワークの良さを活かしつつ、出社の価値に共感していただける方と一緒に働きたいです。これまでフル出社の前提が原因で、スタメンを候補から外した方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください!
最後に
毎年年末には「変化が大きい1年だった」と振り返りますが、2023年は特に変化が大きい1年だったと感じます。既存メンバーの成長によって支えられたことや、新しいメンバーの強いリーダーシップによって期待以上の飛躍がありました。間違いなく1年前よりも進化していると言えるでしょう。ただ、まだまだ課題はたくさん山積みです。成長期だからこその課題を味わいながら、来年はこれまで以上の進化を一緒にやっていきませんか?興味を持ってくれた方、ぜひ以下から応募ください!エンジニア、デザイナー、PdM大募集中です!