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インフルエンサーギャラクシーのその先へ ──経営者としてのダーウィンさんに聞きました

こんにちは!UUUM noteです。竹脇まりなさんとダーウィンさんにインタビューしたのがちょうど1年前。ダーウィンさん、当時はアバターでしたが、今回は顔だしでの登場です!UUUM 渡辺CFO、金子バディ統括との対談の形でビジネスの側面を中心に聞かせてもらいました。UUUM noteとしてもなかなか異色な対談かもしれません!

🔽 写真左から:ダーウィンさん (竹脇陸さん・MARINESS株式会社 代表取締役)、渡辺崇(UUUM 執行役員)、金子宗之(UUUM バディ統括)

🔽 昨年の竹脇まりなさん&ダーウィンさんインタビューはこちら


やらないことを決めるための判断軸


(金子)

すこし振り返りになりますが「宅トレを当たり前の世界にする」を掲げてこられました。この背景について、それから、実現に向けた現在と今後の取り組みについても聞かせてください。

(ダーウィン)
「宅トレを当たり前の世界にする」は登録者数30万人の頃から掲げています。チャンネル規模が大きくなると、嬉しいことに、あれもこれもとやりたいことが増えます。その中で「やらないことを決める」というのが、僕は重要になると考えています。その判断軸という意味でこのミッションは大事なんです。

宅トレ人口は、われわれのチャンネル登録者数で300万人、プラス他のインフルエンサーさんの登録者数、そこから重複を除くと500万人ほどと考えています。一方で、ジム加入人口が約250万人という直近の経済産業省の調査データがあります。
いまや宅トレ人口の方が大きいとも言えます。ということは、宅トレには文化になるポテンシャルがあって、そのためには何をしなければならないのかという考えを軸に物事を進めていると言えるかもしれません。


どうやって問題を解決できるか


(渡辺)

チャンネル運営は、日々コンテンツを作り、視聴者さんに楽しんでいただくというのが出発点になると思います。ビジネスとして考えるとき、多くの場合はその延長線上でタイアップ含め動画コンテンツが中心になることが多いと思うんです。
一方で、ダーウィンさん達の場合は、まず「宅トレを当たり前の世界にする」があるというのが、面白い視点だと思うんですが、その違いはどこから生まれたんでしょうね?

(ダーウィン)
僕はYouTubeには三つの側面があると思っているんです。TikTokやInstagramと並ぶようなSNSとしての側面と、エンタメやニュースというかつてのテレビ的な側面、そして、検索エンジンとしての側面です。
アイスクリームの作り方、トイレの直し方・・・15年前なら検索して文字で読んでいましたが、今は映像で見ますよね? 僕もまりなもずっとサラリーマンでしたし、どちらかというと検索エンジンにフォーカスする方が運営しやすかったんです。腹筋の仕方、スクワットの仕方、脚の痩せ方、プロテインの飲み方など、どうやって問題を解決できるかというのが我々の軸ですね。

(ダーウィン)
登録者の300万人の方々にとって、竹脇まりなという個の存在も、もちろん大きいと思いますが「問題を解決してくれる」というのも大きな要素だと思っています。
そして、問題を解決する手段は動画だけではないんですね。

(渡辺)
そうですね。

(ダーウィン)
問題を解決するための手段のひとつが我々が手掛けるブランド「MARINESS」の事業です。宅トレする前、宅トレ中、宅トレ後、と宅トレの周りで発生するさまざまな問題を解決するブランドを目指しています。

(渡辺)
動画コンテンツも、宅トレに関わる問題を解決するひとつの手段という位置づけになりますね。

(ダーウィン)
そうです。多くのチャンネルと異なっていたとしたら、そこかもしれません。でも、こういった検索エンジンにフォーカスしたチャンネルも、もっと増えるのではないかと、勝手ながら思っているんです。


宅トレ市場にポテンシャルがあるという理解を促進していきたい


(渡辺)

人々がYouTubeを当たり前のように見るようになって、検索エンジンの代わりとしても使うようになったからこそ、まさに「Marina Takewaki」というチャンネルが多くの人に見られるという今に繋がるんですね。

(ダーウィン)
そうですね、かつては動画視聴は10-20代の方たちが多かったと思いますが、この2年ほど、コロナ以降、芸能界からも参入してこられて、視聴者層の年代も拡大しましたよね。その方々が求めるものには、もちろんエンタメもあると思いますが、問題解決の検索エンジンとしての用途も結構加速したのではないかなと思っています。

(金子)
Marina Takewakiチャンネルはこの2年ほどで大きくジャンプアップしたチャンネルだと思います。データを確認してきたので時系列を整理しますが、2018年12月にチャンネル開設、最初のハンドクラップ動画が 2019年の9月。その時点では少しバズったという感じだったと思いますが、2020年の春から登録者数が急速に伸び、6月に100万人突破。実質、3-4ヶ月ぐらいの勢いで100万人です。

(金子)
2021年1月に200万人、2022年3月に300万人と本当に大きいチャンネルまで成長しました。そして、300万人を節目にダーウィンさんが顔を出して登場されるようになりました。その理由や、今後やっていきたいことをお話しいただけますか?

(ダーウィン)
まず顔を出した理由のひとつは「宅トレを当たり前の世界にする」をミッションとする中で、「ダーウィンが顔出してないからできない」という機会損失が起きていて、それは良くないなと去年ぐらいから思っていたんです。
もうひとつの理由は、僕はMARINESS株式会社の代表を務めています。社長が顔出しをしないのはどうなの?ということも考えていました。それこそ、ジャニーズ事務所さんのジャニーさんにしかできないことなのではないかと。

(渡辺)
ジャニーさん路線を目指すのもありますけど(笑)

(ダーウィン)
それは我々には難しいよねと。僕自身が思いやこころざしを伝えていくには、顔や経歴なども出して透明性を確保しなければ、MARINESSはコンシューマーブランドになれないと考えたんです。

(ダーウィン)
やっていきたいことは「宅トレ市場は魅力的ですよ」と伝えるロビイングなんです。ロビイングといっても官公庁だけでなく、企業やメディアにも、宅トレ市場は一時的なブームではなく「文化」になるポテンシャルがあるという理解を促進していきたい。

さきほども挙げましたが、ジム加入人口が約250万人、産業としてはおよそ4000億円だそうです。言い換えると一人につきジムに年間約16万円使っていることになります。では、宅トレをする方々が約500万人と推定していますが、この方々が控えめに見て年間に1万円使うとしたら、それだけでも500億円市場ということになりますよね。こういうことを伝えていくのが僕の仕事だと思っています。
そして我々が「文化」にしなければならないと思うのは、社会貢献につながるとも思っているからです。宅トレは究極的には日本の医療費を下げることにつながると思っています。


我々が成功することで他の人々も参入してくれるようになる


(渡辺)

これまで取り組んでこられて、宅トレが「文化」になっていくまでのハードルや課題はどういうところだと思われますか?

(ダーウィン)
例えば、20年前に趣味を「皇居ランです」と言う人はほとんどいなかったと思います。ヨガも独特な印象が強かったと思いますが、今はファッションやライフスタイルのひとつになっています。宅トレもその域まで持ってかなくちゃいけなくて。
じゃあそれには何が必要かと考えると、ひとつは「コミュニティ」だと思っています。皇居ランっていうと、会社のみんなと一緒にランニングして、その後は新橋で飲み会じゃないですか。

(渡辺)
僕もやってました。笑  仕事の後に同僚と皇居の周りを走って、その後飲んで帰るという。

(ダーウィン)
そういうコミュニティができるわけですよね。ヨガもそうだし、ジムもそうなんですよ。その場に行ったら友達や一緒に共感できる仲間がいる。そういうコミュニティづくりは文化としては大事だと思っています。
もうひとつはしっかりとした「情報」。
ランニングでも宅トレでも、共通して何らかの最終的な目標があるわけです。痩せるとか。そこに効果があるかどうかが大事になりますよね。
そしてもうひとつが「物とサービス」。ランニング用のショーツとか、ヨガパンツとか、使いますよね。

(渡辺)
格好から入るとやる気出ますもんね。

(ダーウィン)
宅トレに関していうと「コミュニティ」は結構できていると思っています。YouTubeチャンネルやインフルエンサーを軸にコミュニティができていて、そこは結構クリアできているという状況です。

(ダーウィン)
ただ、しっかりとした宅トレの効果についての「情報」というのはまだ足りないと思っています。これはメディアを通じても伝えていきたいですね。
そして「物・サービス」は圧倒的に少ないです。「これを着るから宅トレをする」「これを飲むから宅トレに効果ある」というような物ですね。我々はそのマーケットリーダーになれるし、我々が成功することで他の人々もどんどん参入してくれるようになる。そうやって物とサービスが増えてほしいと思っています。


「ゲートウェイ・トゥ・フィットネス」


(ダーウィン)

それから、もうひとつ。宅トレとジムは、共存すると考えています。昔は映画を見る手段は映画館だけでしたが、ビデオができてDVDできて、Netflixできて…と、宅トレと同じように夜中でもパジャマ姿で映画を見られますよね? 運動の選択肢のひとつとして「宅トレ」があるんです。

我々は当初「ジムに通ってる方たちが宅トレをするようになるのでは?」と考えました。それが蓋を開けたら全然違って「トレーニングをまったくやったことありません」という方たちが圧倒的に多かったんです。
しかもそうやって宅トレから入った方たちが、ジムに行き始めたり、他のスポーツを始めたりしているんです。「ゲートウェイ・トゥ・フィットネス」ですね。宅トレが何か体を動かすアクティビティの入り口になればいいなと思っています。

(渡辺)
宅トレは、YouTubeを見て始めるという意味では、他のスポーツに比べてハードルが低いですもんね。

(ダーウィン)
直近ではまりなと一緒に歩くという「室内散歩」のコンテンツも作りました。歩くだけ。でも大事なのは運動の楽しさや運動することによる幸せ感、自己肯定感の向上ですね。そういう感覚をもっと多くの方々に持ってもらいたいんです。

(渡辺)
新しい運動人口を作ったのはすごいことですよね。

(ダーウィン)
嬉しいですねこれができるのは!
ところで、僕は渡辺さん(2014年に証券会社からUUUMにジョイン)と前職が近い業界なんですよね。証券会社から資産運用会社と15年近く金融業界で、すごく楽しかったです。僕がいま持っているDNAはすべて前職の上司や先輩後輩からもらったものです。その一方で、金融は限られた方々へ貢献する仕事なんですよね。投資はある程度の資本がないとできないことなので。楽しいけど、少しジレンマを感じることもありました。

今は逆で、ほとんどの方が始められることをお手伝いしています。人口の大多数の方に貢献することができるポテンシャルがあるビジネスだと思っています。毎日大変ではありますけれども、広く社会貢献できると意識しながら働けるので続けられるんだと思います。


MARINESSの成長という明確な目標に向けてしっかり議論ができる


(金子)

チャンネル運営に関わった当初は、ダーウィンさんの役割は、いかにして多くの方に見てもらうかを考えたり企画するプロデューサーという立場が主だったと思います。最近は、MARINESS株式会社という会社も立ち上げ、経営者として動かれることも多いと思うんですが、ダーウィンさんの中で変わったことや、意識的に変えたことはあるんですか?

(ダーウィン)
いろいろありますが、まず「自分だけでは絶対にできない」というのを意識しますね。人に任せたり人に頼る力が大事です。
そして透明性の確保です。UUUMさんやP2C Studioさんとの間でもそうですが、いいことも嫌なこともしっかり議論させていただく。お互い不満や疑問を持つのは当たり前で、それをしっかり議論できる場を作るのは大事だと思っているんです。

僕がやるべき仕事は三つだと思っているんです。ひとつは中長期的なビジョンを示すこと。次にその示したビジョンに対して、チームの皆さんが発言できる環境や仕組みを作ること。そしてそうやってフィードバックをもらった上で決断すること。このひとつひとつが、とても難しい 笑  
僕は今、走りながら日々学んでいるところです。時には失敗もしながら楽しくトライアンドエラーができる環境作りや、人とのつながり、パートナーシップを築いていくことが大事かなと今は思っています。

(渡辺)
そういったパートナーシップの築き方は理想的だし健全な形だと思います。その実現には「Marina Takewaki」チャンネル「MARINESS」ブランドこの二軸が存在するというのが大きいと思うんです。
チャンネルがすべてという場合は「YouTubeチャンネル イコール 人格」にも近い感覚になるので、我々としてもどこまで言わせてもらうかについては、正直、慎重になってしまうこともあります。

MARINESSの場合「MARINESS」の成長が重要なKPIだからこそ、ダーウィンさんもチャンネル運営者から社長へシフトされたんだと思いますし、MARINESSの成長という明確な目標に向けてUUUMも真正面から意見を言わせてもらい、ダーウィンさんからも言ってもらって、より良いものになっていくという。

(金子)
表現が難しいですが、あえて「クリエイター人格」と「経営者人格」と表現するとしたら、それを分けるのはすごく理に適っていることだと思います。
クリエイターさんの中でシンプルに「楽しませたい、喜んでもらいたい」という気持ちと、事業をスケールさせるための考え方が、相反するように感じてしまうことは起きると思うんです。
「クリエイター人格」ではクリエイティビティに従って思うままに動いてもらい、もう一方の「経営者人格」がビジネスを考えていくというように、切り分けるのは大事ですね。

(渡辺)
経営者としての軸もあると、UUUMとしてもビジネスの部分で動けたり、提案できることがぐっと増えるんです。

(ダーウィン)
そうですよね。

(渡辺)
そして、クリエイターさんは何歳になってもずっと動画を作り続けるんだろうかという側面も考えるべきことですよね。

(ダーウィン)
うん。すごいリアルですよね。

(渡辺)
動画をつくり続けるということについては、どうしても難しいタイミングが来ちゃうと思うんです。でも、経営者としての取り組みであれば、年齢を重ねてもできるし、チームとして体制を作ることで事業として継続できます。
経営者としての側面を持つことは、多くのクリエイターさんにとっての将来的な課題の解決にもつながると思っているんです。


商品からチャンネルを知るという逆流


(金子)

ダーウィンさんは、ブランドを本格的に成長させていくために、MARINESS株式会社を立ち上げましたが、いわゆるファングッズにとどまらないブランドへと成長していっている実感はありますか?

(ダーウィン)
ありますね。「MARINESSプロテイン」を購入して商品から竹脇まりなを知ってそれでチャンネル登録をしました、という方が、YouTubeチャンネルのコメント欄に現れたんです。

(金子)
おおーそれはいい流れですよね。

(ダーウィン)
逆流ですよ、これはすごい現象だと思います。ファングッズという域のインフルエンサーブランドから、コンシューマーブランドになってきていると感じる瞬間です。
商品をリピートで買ってもらえていることもそうですね。ブランド立ち上げ当時の主力商品、サウナスーツ宅トレマットですが、本当にいいものを作れたからこそですね。プロテインのような爆発的な売れ方とは違いますが、買ってくれた方々が商品そのものを評価してくれたということです。

(金子)
品質には、相当にこだわりましたからね。

(ダーウィン)
当時、まず信用してもらうのが大事だとよく話しましたよね。どうやって信頼を作るかと言ったら、もう本当に良い商品を作らないといけない。次もこのブランドで買おうと思ってもらえるようにしようと。当時から長期的視点でコンシューマーブランドにしていくという意識はあったと思います。

(金子)
さきほどの両軸という話にもつながりますが、最初はファンを対象としたインフルエンサーとしてのエンジンを使いながら、ブランドのエンジンを回していき、いよいよブランドが自走しだした時に、もう一方にも相乗効果が出るという好循環が始まったということですね。

(ダーウィン)
商品からチャンネルへという流れができているというのは、本当に両軸の効果ですね。

(渡辺)
MARINESSプロテインがドラッグストアにたくさん並ぶようになっているので、ますますそういう流れは増えるんじゃないですかね。


UUUMと共創する強み


(金子)

最後にひとつ聞かせてください。UUUMは「共創」というワードを掲げて取り組ませていただいていますが、その中でも特にMARINESSは最前線を走っていると思っています。UUUMとの「共創」に関して、現在思うことと、これから期待することを教えていただけますか?

(ダーウィン)
UUUMからMARINESS株式会社へ出資していただき、役員の方とも定例でミーティングの場を作っていただいています。それは大変うれしいことですし、MARINESSというスタートアップにとって、上場企業であるUUUMの信用力を活用できるのは大きいです。ドラッグストアや有力流通での販売なども自分の会社でやろうとしたら絶対できないことなんですよ。信用のレバレッジというのは大きいメリットです。

ちょうどこのnoteの公開の少し前ですが、CW-Xコラボのお取組みも情報解禁されました!

(ダーウィン)
そして、UUUMさんがもっとできるんだろうなというのを強いて挙げると、よりコンサル企業として動いてもいいんじゃないのかなと思います。インフルエンサーが企業を立ち上げるとき、ひとりのインフルエンサーとしての個の信頼と、民の信頼って異なるものなので。この民の信頼の側面でサポートするというのが、UUUMさんに今後期待することだと思っています。

(金子)
我々は会社経営や事業を前に進めていくことに関して、培ったノウハウや、人材も揃ってたりするので、そこのところでクリエイターさんインフルエンサーさんと一緒にできる環境作りっていうのは今後取り組んでいきたいですね。

(ダーウィン)
クリエイターさんのメンタリティもすごい大事で。「経営マインド」をどうやって持ってもらうのかというエデュケーションも必要になってくるのではないかなと。そういうインフルエンサー向けのビジネスクールがあればいいのになって。

(渡辺)
なるほど。それは確かに良いかもしれないですね。

(金子)
経営という面ではまだまだこれからというクリエイターさんがほとんどだと思うので「共創」進めていく上でそういう部分も確かに必要かもしれないですね!

(ダーウィン)
インフルエンサーギャラクシーにとってマストハブな気がするんですよね、経営者の顔を持つとしたら、絶対いきなりひとりではできないですもん。

──ダーウィンさん、ありがとうございました!ミッションを掲げ、判断軸とすることの大切さ、インフルエンサー向け経営マインドエデュケーションなど、渡辺CFO、金子統括もダーウィンさんのお話から、たくさん刺激を受けたのではないかと。。今後も、共創ビジネスのパートナーシップをよき形で高めていけるよう、UUUMも邁進していきます!

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