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:0085 おまねきvol.2まつわる 感想前編

ネタバレになりそうなところは⬛︎で伏せ字にしています。⬛︎の数が同じ場合、同じ単語を指しています。


佐伯良和(仮名)について知っていることを教えてください / 江古田煩人

佐伯良和(仮名)と⬛︎⬛︎⬛︎にまつわるお話でした。不気味だったものが人間性を獲得するまでのとても繊細な群像劇です。同じシーンでも人によって受けとり方が違い、それぞれの言い分がすれ違っているところもあります。どれが本当の話なのか、そんなことはどうでもいいのかもしれません。多用された伏字で隠された個人情報は、それだけ登場人物たちが本音で語っていることを証明しています。知らないふりをしたひとの話を信じたひとが、本当の⬛︎⬛︎⬛︎を知ることができたのがとても面白いです。

すねこすりが邪魔してくる/雨庭有沙

何か不吉なことが起きるときに目の前に現れて警告するすねこすりという妖怪にまつわるお話でした。すねこすりは、⬛︎⬛︎など主人公のミサの人生にとって有害なものを遠ざける守護霊のような存在です。特に⬛︎⬛︎と繋がってしまってから絶望に突き落とされるまでの描写が好きです。きったねぇ裏社会で起こる事件とさわやかな更生を決意したラスト。自分のために生きると決めてからも役に立った、きったねぇ世界での経験。こんなひとが都会のどこかにいるのかもしれない。

鰤を食す/水源純

鰤(ぶり)料理にまつわるお話でした。寄稿作品にファンタジーが多いなか、珍しく現実的なエッセイと五行歌です。ブリ大根・ブリの照り焼き・ブリカマの煮付け・イナダ・ブリカマの塩焼きの5つの料理。こんなに調理法ってあったんですね。実家暮らしなので、わたしには魚を自由に調理できる権利がありません。鰤を通じて浮かび上がる家族との関係。昔の胃腸が若かったころの暮らしを振りかえったり、息子の未来を想ったりと人生そのものを鰤の胴体につかまって泳ぎ回顧できる凄さがあります。

無名夜行、剣にまつわるエトセトラ/青波零也

異世界のとある勇者が魔王を封印したときに使っていたとされる剣にまつわるお話でした。魔王を封印するとはどういうことか。妙に賢い⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎が使いっぱしられている状況はどうでもよくなる展開。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎も勇者になれるのか、ではなく勇者にならない選択をした⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。全て知った上でそのまま放っておくことが勇者なのかもしれません。いやこの⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎は何をやらかしたんだ。この観察力を元々の世界ではいい方向に使えなかったのだろうか。文章ならではの言葉遣いでのトリックがいいですね。

ここに わたしの作品『手動ブロック 42000件』が収録されていました。今回は割愛します。

江戸の百文人/藤和

江戸の百文人(書道の達人)である曽祖父にまつわるお話でした。その成果は、自分の努力も曽祖父の威光があるからと過小評価される理不尽さ。「大学を卒業してからもう何年も応募してきた」努力は、賞をとった途端に無かったことにされてしまいます。天才とも言われずに、曽祖父の威光のせいにされるなんてその作品自体と向き合っていないひとでしょう。騒がしい展示会と人が少ない⬛︎⬛︎⬛︎。素晴らしい作品を作ることは孤独で、それでいいんです。主人公の緑は⬛︎⬛︎と言ったが、かっこいい因縁です。

幸せのまるたまご ~ライラとジェット~/千梨

食べるととても幸せになれると噂されるまるたまごにまつわるお話。ライラちゃんがジェットにまるたまごの料理を食べさせたいと奮闘します。この子、強い。さりげなく町に流れている噂の真相が最後のほうでわかりますが、描くものの優先順位が上手いです。「まるたまごってなんなんだろう」の主軸と「⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎がいたらしい」の副軸。圧倒的に「まるたまご」の話が多いですが、夢を諦めない勇ましさ・ひとの幸せを願う生き様を伝えるための大切な二軸だと思います。

田辺宗二郎の手記より『山神信仰』/嘉藤千代

ある北関東の村に恵みを与えていた山神様にまつわるお話でした。怪談好きとしては『あの展開』になるだろうなと読んでいました。田辺宗二郎よりも⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のほうが重要になります。⬛︎⬛︎は生きるために罪を犯しました。的外れな苛立ちもありました。死ねないのならわたしもこの立場なら⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎ことを選んでいたと思います。そもそも⬛︎は反対に⬛︎⬛︎に対して⬛︎⬛︎⬛︎つもりはあったのでしょうか。これまでは⬛︎⬛︎⬛︎ていたのなら、そりゃあ⬛︎を⬛︎⬛︎たら⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎になるのは当然でしょうね。


後半の作品の感想も公開予定!

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