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バイバイ

引越しの日。
次男の荷作りはあっという間だ。 
重たい荷物をいくつも運べるようになった次男。
夫が手際よくどんどん車に詰め込んでいく。

とくに会話もないが頼もしく感じた。

あっという間に部屋は空っぽになった。
この部屋での思い出は数え切れない。

何度もベットで乱闘をした。
何度も次男の部屋で言い合いをした。
物を投げられピシャリと目の前でドアを閉められた。

狭い6畳間に友だち、彼女、祖父母、おば、警察、先生、保護司、たくさんの人が訪れた。

タバコ臭くカラオケBOXみたいな匂いのする次男の部屋。なぜか人がよくたむろする部屋だった。

新しい新居はお日様が明るく入る部屋だった。

次男は購入していたベットを組み立てた。
凄まじい量のネジやら何やら部品があり驚いた。
本人も驚いていたが結果的に作り上げた。
夫もテレビボードを横で組み立てた。

最近の家具は造りがしっかりとしている分、組み立てがとても細かく部品も多かった。
夫と次男がすました顔で説明書と格闘している姿が微笑ましかった。
出来ない、分からない、難しい、失敗した、なんて言いたくないのだろう。

夫と次男が同じ部屋で黙々と作業をしているだけで私は幸せだった。

途中3人で買い出しに行った。
次男の希望でマクドナルドに寄った。
3人で車の中で食べた。何年ぶりに一緒に食事しただろう。
何を食べてもどこで食べてもどうでもいい。
誰と一緒にいるのかが全てだ。

引っ越しの準備もほぼ終わり後は私たちが帰るだけ。
いつまでもいられない。やることは済んでしまった。

最後に夫は次男が今まで家に入れていたお金を渡した。
いつもは次男に触れることもないが、私は最大限のハグをした。
次男はおとなしく抱きしめられたままだった。


…夫が
「ハグしてる時アイツ顔が赤くなって泣くのを我慢するみたいな顔してた」と言っていた。
私はいつも肝心なところを何にも見てないが
ぜんぶこれでよかった。

大事な子、私の宝物。バイバイ!!

#家族 #親子 #巣立ち #息子 #別れ #母



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