相談回答:成果の出ない歳上の同僚にどう接すれば良いですか?

相談


マネージャーが本人より年上のメンバーへのマネジメントに手を焼いており、それを見るのが辛くなってきました。半年ほど前に今の会社に入社し、自分自身はやりたい仕事をまかせてもらえて充実しているので問題ないです。ただ、チームメンバーのなかには40歳をすぎてるのに、任される仕事がだいぶ軽いもの(一応クリエイティブ関連のチームなのですが請求業務をはじめとした事務作業など)な人がいます。

私が入社するまでに紆余曲折あり、今の形に落ち着いたようですが、最近はその軽い業務さえマネージャーが半ば強引に巻き取っていたり、「私の言ってることわかりませんか?」と少し強めの語気だったりと雰囲気が良いとは思えません。

とはいえ、マネージャーのパフォーマンスがその人のマネジメントに終始して落ちてしまうのは、非常に問題だと思いますし、厳しくしなければならない側面もあると理解はしています。言葉は悪いですが「自分はああならないように気をつけよう」とだけ思っていればいいのでしょうか。

自分の業務だけに集中していればいいのでしょうか。これまで周りにそういう方がいなかったので、最近戸惑ってしまいます。

回答

”保留"というスタンスの提案

重いっすねー・・・。重い質問だ。結構前にもらった質問なんだけど、ずっとどう答えるべきか考えてしまった。
同じ悩みを持っているのは質問者さんだけではなくて、本当にたくさんの人が考えたり悩んだりしていることだから、まずは力を抜いてくれ、ということを言いたい。世の中の全部のことについて、真剣に考えすぎなくても良いし、明確なスタンスを必ずしも示す必要もないと思う。考え中。より良い答えがある気がする、という保留の状態をもう少し心に持って、結論をあとで出したいと思っている、ということを自分に認めてみても良いのではなかろうかという気がしている。

これは今読んでいる、プロジェクト・シン・エヴァンゲリオンに書いてあった。とても良いな、と思う記述でドッグイヤーしてある。

答えがわからなくても今この時に決めなければならないこともある。
しかし今この時に決めなくてもいいこと、答えがわからない状況では決めるべきではないもの、ものによっては、答えがわからない状況での「決断」は危険なことすらある。

プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン 実績・省察・評価・総括

多分だけど、人類としての道徳的統一見解みたいなものが出ているトピックでもないような気がしているので、各々がこの残酷な世界に対してどう向き合うかを考えなければならず、大声でこうすべき!って言ってる意見に簡単に従ってもいけないトピックの一つのように感じる。

最近キムタクがジャニーズ問題について明確なスタンス示さない点についてネットで怒られていたと思うのだけど、まぁキムタクは確かに大人だし、組織の渦中にいるし中心的人物なんだからなんか言えやって気持ちもなくはないのだけど、保留という選択肢を取ることができない社会というのはそれはそれで過激というか、バランスが悪いんじゃないかなという気は個人的にしている。

加速しすぎているよね世界が。もう少し、長考の時間を許すくらいの余裕があっても良いのではないかと思っているよ。

成果が期待に届かない人をチームにおくべきか

その上で、という話をします。この話は実は複数の話が組み合わさっているもので、それをきっと一緒に議論することはできないのだろうなぁという気がしている。俺自身が明確な答えをレペゼンサラリーマンでこの話に出すことは出来ないのだけど、俺だったらこう分解して考えるかもなぁ・・・という所を書きたいと思う。

まず、歳上の人がそのチームにいることについて、質問者さんは決定する権限もないので、そこについては会社や上司さんの決定にただ、従うというスタンスで一次的には良いと思う。というかそれしかできないからね。会社の人事だから。その上で、質問者さんが将来上司さんの立場になった時にどういう態度を取るべきかを考えるのは将来への備えとしてとても有用なのではないかと僕は思う。

俺のケースで言うと、過去僕は成果を出せない部下を庇い続けて失敗した過去がある。
詳細は本の中のマネージャー編を読んでいただければと思うのだけど、いわゆるダメな部下でも自分のチームにいるのだから、一緒に最後まで頑張りたいと思ってしまった。

その結果、本来その部下がやるべきことが他のメンバーや俺に加重的なタスクとして分配され(当たり前)、その結果、俺自身は回らなくなり(マネージャーとしては致命的)、他のメンバーはやる気を失い、チームが崩壊した。

反省すべきとしては、プロジェクトが崩壊すれば結果的にお客様に迷惑をかけてしまうので、あの時、あの瞬間で言えば、俺は心を鬼にして、期待に届かないメンバーをプロジェクトから外す判断をすべきだったと思う。それが、コンサルティング会社の中間管理職の人格としての俺が出した答え。

ただ一方でこの答えの出し方にはいくつかの前提条件がある。
まず第一に、プロジェクトからのリリース、という選択肢が中間管理職である俺に存在していた、ということ。これはコンサルティング会社という事業形態上、スキルミスマッチとしてプロジェクトからの離任がわりと一般的に発生することであるのと、離任した人本人が早いタイミングで再チャレンジできるようになる、という意味ではメリットがあり、逆にデメリットはそこまでない。

第二に、コンサルティング業という仕事が最終的には業務受託型の事業であり、クライアントという絶対的な存在があること。クライアントに迷惑がかかる、というのは最後の最後の手段としてあってはならず、その手前で自社の中で食い止められる痛みであれば、その痛みは飲むべきというのがクライアントに対する仁義として成り立つ図式になっていること。

一方で、プロジェクト型の仕事の仕方でない、離任ということが頻繁にあり得ない組織であったり、一般消費者向けの事業で、クライアントの顔を意識しずらいToCビジネスであったりすると上記の判断は必ずしも正解でなくなる場合がある。

いわゆるJTC企業の中間管理職をやっている人がいるのだが、やはり離任させる一つとっても非常に手続きや段取りが大変であることに苦しんでいる。リリースさせたら良くない?というのはプロジェクト型の仕事をしている人たちに許された特権の一つで、おそらくはそういった事務的判断から現場を解放し、プロジェクトの遂行に集中させる意図が含まれていたりするのではないかとも思う。

もう一つの選択肢としては、出せる成果に対して”降格”、”減給”をするが会社としてはあり得る。組織のバランスとしてはこれが正く、本来期待される成果が出せないのであればその対価はもらうべきではない、というのが資本主義の大前提、というよりかはこの世の全ては等価交換なので、この世界の理から少し外れてしまっている状況にある。それは是正すべきことなのだけど、対象になった本人にとってはわりとショッキングなことになるであろうし、それを伝える側にも相当なストレス(そもそも労働契約法上のハードルもある)がかかるので、有耶無耶にされている状況が大きな組織になればなるほど発生しているのではなかろうかと思う。

有耶無耶になっている状況が良いか悪いかについては総合判断だと思っていて、かなりコミュニケーションコストがかかるであろう降格・減給を当人と話して得られるリターン(人件費の削減と他メンバーへの成果の下の平等性について示しをつけ、デモチベーションを回避する)と失うもの(コミュニケーションに費やす会社としての時間と労力)で決めるのかなぁと思う。ケースにもよると思うけどおそらく前者が正しいケースが多いと思う。

会社で成果が出せない人を社会としてどう守るか

上述したのは、一つの経済的な主体として、企業に属する人間としてのスタンスのあり方であり、経済的主体からはずれた、社会という共同体の中での一個体としてどう考えるか、というのは別軸で存在する話だと思う。

というのも、人間の集団があれば相対的に何かしらの技能についての優劣が出る。十人いれば足が速い人と遅い人が相対的に決まる。そしてトップ3から見たら最下位は劣等生であり、チームのお荷物になる。

ではその最下位の劣等生は社会のコミュニティから弾かれ、糾弾されるべきなのか?阻害されるべきなのか?というと、答えは明確にノーであると言える。

おそらく質問者さんが悩みを感じているのも、企業の組織人としての人格と社会という共同体の中での人格が矛盾した思いを持っているからなのではと推察している。

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