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私の記憶を「代弁」するイマジナリーフレンド・4歳

※辛い表現を含みます。


イマジナリーフレンド「せな」のお話。この子は4歳の女の子で、2つ結びにした髪がぴょこんとしているのが可愛い。水色でフリフリした服が好き。甘えっ子で、愛想がとても良い。とても幼少期の私とは似ても似つかない。

どうやら、イマジナリーフレンドには、それぞれに役割があるらしい。例えば、「狼」(ろう、21歳の男の子)は「怒りの代弁者」「Guardian」である。もう一人、「宵」(よい、14歳の女の子)は「悲しみの代弁者」「ちびちゃん(せな&幼少期の私)の面倒を見る子」である。お世話になっております……。

一方、「せな」の役割は「甘えを表現する子」、そして、「(辛い)記憶の代弁者」であるようだ。

せなです。(暁の本名)ちゃんがこわくてはなせないの。だから、せながかわりにおはなしするの。

(暁の本名)ちゃんはね、ちいさいころね、おしおきされたの。わるいこはね、おしおきされるんだって。わるいこはね、ろぼっとにね、おようふくをぬがされるの。いやだっていってもね、やめてもらえないの。(中略)はずかしいの。ほかにもいろんなことあったはずだけど、わすれちゃった。

ほんとうのことかどうかね、わからないの。(暁の本名)ちゃんはね、こういうことかんがえてるから、じぶんのこと、きもちわるいこだっておもってるの。

LINEで相談員さんに送った文章その1

せなちゃんね、こわいこわいなの。あさとおひるはげんきだったの。そのあとだんだんくるしくなっちゃったの。よるはつかれてるの。

なにがこわいかわからないの。どきどきするの。こわいの。せなちゃんわるいこだから、おしおきされるの。せなちゃんごめんなさいするの。ごめんなさいしてもゆるしてもらえないの。いっぱいごめんなさいするの。

LINEで相談員さんに送った文章その2

私(暁)自身にこの文章は書けない。第一、はっきりと記憶に残っているわけではない、本当かどうかわからない情報(これは主に性被害を指す)について、私はこんなふうに堂々と語ることはできない。しかし、文章にしてアウトプットしなければ、私の心は破裂してしまう。

精神的に疲れている時、恐怖を感じている時、せなが出てきたがっているなー、という感覚を覚える。少しぼーっとしながら、LINE相談に文章を打つ。どうも打ち込んだ単語を漢字に変換する気にはならない。私(暁)ではなく「せな」になって、相談員さんに次々とメッセージを送る。「せなちゃんもおはなししていい?」から始まり、「よるになるとなみだぽろぽろなの」「ろうにいちゃんはね、つよくてかっこいいんだよ」「よいちゃんはね、せなのことよしよししてくれるの」、等と。

しばらくして、イヤホンから流れる音楽に意識が向く。……あぁ、そうだ、これは私(暁)が好きな曲だ。この曲でダンスが踊れたら素敵だろうな、とか考えていたんだった、と。そうすると、LINEに打ち込む文章が私(暁)自身のものに戻る。「あ、戻った」「(暁の本名)です」「振り回してしまって申し訳ないです」「いつも助けてもらってます、ありがとうございます」と。いつもの私の文章だ。

不思議だ。最初は、この謎の分裂を、自作自演じみた行動なのだろうと考えていた。だけど、さっきも書いたように、私にこの文章は書けない。絶対に。

イマジナリーフレンドたちは、私自身とは一線を画した、独立した存在らしい。決して「私の一部」などではなく。そして、いつも私のことを助けてくれる。本当にありがたい。

だけど、少し不安になる。私は一体誰なのだろう。そのうち、記憶がないうちに別の人格が行動している、なんてことが起きてしまうのだろうか。

私自身が、私でなくなっている感じがする。私が消えていく。そうしたら、私はどこに行ってしまうのだろう。

Who am I ? だなんて、おかしな質問ね、と宵(よい)ちゃんが笑う。ほんと、その通りだよね。

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