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満たされること


普段、夫との会話は、どうしても息子が中心である。
こんなことができるようになったとか、保育園でこんな様子らしいとか、これが困るとか。夫は息子と遊ぶのが本当に大好きなので、私が気付いていないような「これ、こんな反応するようになったよ。」といったことも報告してくれて、本当にありがたいと思う。
でも、ふと「子どもが生まれる前ってどんな会話してたっけ??」と思い出すのに時間がかかることがある。どちらかというと私がしゃべるのを聞いてもらっていることが多かったけれど、何を話題にしていたのだろうか。

子どもが生まれる前、二人でご飯を食べることが好きだった。たまに気になるお店にランチに行ったり、居酒屋さんに飲みに行ったり。私がどこかのお店で噂を聞きつけ、夫の誕生日に誘っていった自宅からほど近くの回らないお寿司屋さんを二人で気に入って、たまの贅沢として訪れるのが楽しみだった。あとは自宅で鍋をしたり、時間があるときは揚げ物なんかを作ってみたりもした。そして、休日はビールや酎ハイを「かんぱーい♪」とすることもしばしば。
話題といえば、食べ物のこと、仕事のこと、旅のこと、ゲストハウスのこと、プロ野球のこと…そういえば、互いに贔屓にしているチームが違うので、2チーム分の楽しみがあったのだ。
今思うと、「自分がやりたいこと」、「自分がいいと思うもの、わくわくしていること、気になっていること」をよく話していた。

もちろん、子どもが生まれてからそういう話題がなくなったわけではない。どちらかというと、互いに気になることや楽しみなことがほぼほぼすべて「子ども関連」に舵を切っているという感じだ。でも、確かに子どもが生まれる前に楽しんでいたことの数々は、長らくかなりご無沙汰である。ゲストハウスなど、子どもが生まれたら連れて行こうね!と話していたことは2人で計画し、実現させてきたけれど、やはり急に計画して実行する、というフットワークの軽さは以前と比べると無くなった。子どもを理由にして、互いに楽しんでいたことを制限している感じは、どうしても否めない。楽しみを実現させる方にお金と時間と労力をかける気力が不足している、といったところか。

そんな中、先日も少し書いたけれど、夫は先週久々に遠くの友達に会いに行き、お気に入りのお店でおでんを楽しんできたらしい。その日に帰宅する友達と別れた後は、おでん屋さんのおばちゃんにお寿司をご馳走になり、少し贅沢なビジネスホテルに泊まり、おいしい朝食バイキングを堪能してきたと、満足げに話してくれた。

夫は「私が仕事をして保育園の送迎をして子どもを1人でみている間に自分だけ」と少し恐縮しているようだったけれど、私は夫がそうやって自分の楽しみを堪能して、機嫌よく帰ってきて、それを話してくれたことが嬉しかった。それに対して、「私はそんな時間取りたくても取れないのに、なんであなただけ」とはあまり思わない。むしろ、「いや、申し訳ないから」と楽しみを諦めている姿を見るほうが、私と子どもが足枷になっているようで、なんだか寂しくなってしまう。楽しみは、何も気にせずにとことん楽しんでほしい。そして「楽しかった!」といい顔で話してほしい。

こんな風に思うのは、恐らく自分もそうしたいからなのだと思う。友達とごはんに行くときは、「家のことは気にせずに楽しんで!」と送り出してもらいたいし、私も「今日は自分day♪」と家を気にせず羽を伸ばしたい。「子どもが小さいから行けないな、諦めよう。」はなるべくなくしたい。そして、楽しかったこと、リフレッシュできたことなどをイキイキと話したい。心配したところで何かできるわけでもないし、実際夫はなんやかんやありながらもうまくやってくれるから。
…わかっていてもなかなかここまで割り切れないけれど。理想はそんなところである。

話題の件から少し逸れるが、周りの話を聞いていると、頻繁に飲み会に行く旦那さんに対して「いいよね!そっちは好きに飲みに行けるから!」と奥さんが機嫌を損ねたり、そこまではいかなくても、飲み会の席で「奥さん、参加していいって言ったの?」と心配されたりすることはままあると聞く。夫はそこまでの頻度で飲みに行かないからなのか、普段から育児に積極的に関わってくれているからなのか、私が育休を経て復職してから集団での飲み会に興味がなくなったからなのか、夫の飲み会参加に対して特段の不満は持っていない。

どういう状態になると不満になってしまうのか、考えていくと、結局「飲み会やお出かけに行ってほしくない」というよりは、「自分の今の状態が満たされていない」という思いから、この夫の飲み会参加問題が発生するのだろう、という結論に至った。「自分はどうしたいか?どうやったら機嫌がよくなるか?」を確立させることで、夫との関係もいい方向に進むのではないだろうか。

今所属しているオンラインサロンの仲間数人とこの問題について話すことがあり、「奥さんから『私こんなにやってるのに!』が出てくるんだったら、家事の分担に関して普段から奥さんに不満がある。」という意見を聞いて、なるほどなと思った。確かに、私も家事、育児、仕事に追われ、夫がいてくれるにも関わらずうまく頼れずに孤軍奮闘しているような気分の時期は、夫をいいよなぁいいよなぁと思うことがあった。でも、夫にそれをなかなか伝えられず、結局モヤモヤが残ると、なんで、なんで、私だけ…うーん、確かに陥りがちだ。大半は「まあ自分がやればいいか」でその場しのぎしてしまうことに原因があるのだけれど。
うまく伝えることができないから察してくれ、私の思うとおりに動いてくれ、ってなんて勝手で難解な奴なのだろうと我ながら申し訳なくなる。そういう場合に夫に伝え、一緒に改善策を考える、という一時の労力を惜しまなければ、恐らく今後の生活は少し快適になるはずなのに。まだまだだなぁ、と思う。

あとは、「自分の機嫌の取り方」も確立していきたい。「夫が飲み会などに行くときは、飲み会帰りにがじゃがりこを買ってきてもらう」「ハーゲンダッツ複数個を楽しみに夫を迎える」などいろいろな実例を聞いて、「これをしてもらったら基本的に機嫌を直す!」みたいなものを見つけると、してもらえる自分も引っ込みがつかないことはなくなるし、夫も変に気を遣わなくて、でも気持ちは伝えられてwin-winでいいなと思った。単純なものであればあるほど話は簡単なので、まずは食べ物かな。かりんとうか芋けんぴがいい。これめっちゃおいしい。

夫にも、「ご機嫌を直すもの」を探してもらうのもいいな、と思った。

夫が夫がと言いがちだけれど、やはりカギは自分と向き合うことだと、これを書いていて改めてわかった。
この話題、夫と盛り上がって、夫婦の会話ができればいいなと思う。



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