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ad hoc mode(インタビュー)【『pluː vol.01』刊行記念リレー企画】

東大純愛同好会は、同人誌『pluː vol.01』の刊行を記念して、サークルメンバーによるブログリレーの企画を行っています。
本記事は、その5本目になります。
執筆者は、Keigo Miura(同人誌の担当箇所:寄稿)です。


まずは、アルバム発売おめでとうございます。簡単に、今回の作品について紹介していただけますか?

「ありがとう。今回出したのは、8曲入り17分のアルバムだ。ジャンルはヴェイパーウェイヴってことにしてくれ。」

タイトルの「ad hoc mode」の由来は何ですか?また、アルバムにはなにかコンセプトはありますか?

「コンセプトは特に無いよ。あえて言えば、『足』だ。歩くか、走るってこと。タイトルは、PSPの通信方式から付けた。あまり意味はない。」

前回のアルバム「Scenes 1」からは随分と毛色が異なっているように思えますが、今回のアルバムは続編ではないのですか?

「そもそも全く別のプロジェクトだから、前作とは関係無いよ。」

2つのアルバムはどのように異なるのですか?今回のアルバムはどのように制作されたのでしょうか?

「制作方法が根本的に異なる。前のやつは全部自分で作曲しているが、今回のシリーズは、何も作っていない。PCの前に座ってぼーっと画面を眺めていたら勝手にできたよ。でも、正確に言えば、そもそも作曲なんてのは人間には不可能だ。少なくとも、自分に創作能力があるなどとは思わない方が良い。」

それでは、逆に、前のアルバムと共通する部分や、通底することはありますか?

「環境音楽ってことかな。全部の曲を、散歩しながら聞くことを前提に作ってる。で、具体的にどんな場所を、どんな気候のときに歩くのか想定しながら作ってるよ。」

このアルバムではどこを歩くことを想定しているんですか?

「雨の日の曲の方が多いかな。駅に向かってずぶ濡れになりながら走ってるような感じをイメージした曲もある。」

アルバムの制作で一番苦労したことは?

「アルバム全体の雰囲気の統一。今言ったとおり散歩しながら連続で聞けるようにしなきゃいけないから、曲によって気分が変わりすぎないようにアレンジメントを工夫した。それでもやっぱり前半と後半じゃ全然違っちゃうね。」

作曲の技法はどのように学んだのですか?

「ヴェイパーウェイヴから学んだ。なんか既存の曲をスロー再生にして、変な日本語タイトル付けたようなやつね。もし仮にあらゆる芸術が音楽に憧れるとすれば、同じように、あらゆる音楽はヴェイパーウェイヴにたどり着く。他の音楽はほとんど聞いてないね。楽器を習ったことも無いよ。もともとは音楽以外の芸術に興味があったんだけど、これに出会ってから変わった。」

ヴェイパーウェイヴは、2010年代にインターネット上で流行したサンプリングによる音楽ということですが、どのような点で影響を受けたのですか?具体的に好きなアーティストなどは?

「一番聞いたアルバムは骨架的の『Reflections』だと思う。でも、芸術についてというよりも、実生活の方でも学ぶことが多かったね。どういうことかと言うと、肉体の正しい使用法を学んだんだ。人間の肉体は、このままでは必要がなくなる、とか思い込んでいたんだけど、仮想世界みたいな話ね、逆に今は、現実世界でずっと自由に自分の肉体を使えるようになったよ。宗教の修行のようなことをしてたんだ。朝起きたら埋立地に行って、『Reflections』を聞きながら、そこらの歩行者が立体映像に見えるようになるまで歩き続ける。それぐらいできないと、体を生き延びさせることは難しい。肉体からの離脱とか何とかよく言うけど、習得しちゃうとどうでもよくなるね。問題はもっと別のことだと思う。まあ、医者を病院の外に出て来させるなということだ。」

はあ。音楽を自分で作ろうと思ったきっかけは?

「俺、医者嫌いじゃないよ。むしろ、医者こそが人間の体がいかに精巧で強靭かを知ってるし、運悪くコロっと逝ってしまうことも知ってる。わざわざ表に出てきてマスクをしろなんて言うやつは本当に一握りだと思う。それから、別の話だけど、体罰についても再考した方がいいと思うようになった。子供の世界に介入するには、殴るのが一番適切だと思う。言葉で教育できると思うか?言葉というのは常に反射する、鏡みたいなもんだ。鏡に囲まれて育ったらろくな人間にならないのは、自撮りばっかりしてるやつらを見れば分かるだろう。ペンは剣よりも強しとは、よく言ったものだな。あ、俺が言ってるのは、部活の体罰とかの話じゃないからね。」

それで、音楽を作り始めたきっかけは?

「2814の『新しい日の誕生』が人生で一番最初にちゃんと聞きこんだアルバムだ。それを聞いて自分も何か作ろうと思った。でも、その前はyoutubeでよくドラマーのライブ映像を見ていた。スティーブ・ガッドとか。その時の経験は今にも生きていると思う。ボーカルがいないなら、必ずドラムが一番重要になる。打ち込みでも、こだわれるところだからね。」

なるほど。ドラムの打ち込みに力を入れているのですね。他に音楽制作において特にこだわっていることはありますか?

「うーん。あんま無いね。でもBPMは慎重に決めるかな。一番ドラムのフレーズが生きるように設定するよ。眠かったりするとBPMって違って聞こえるから、中々ひとつに設定するのは難しい。」

他にもお伺いしたいのですが、アーティストとして活動する上で、ビジュアルにはこだわっていますか?ジャケットの写真はどのように選んでいますか。

「人が写ってるのがいいな。適当にグーグルフォトから選んでる。俺、スクショの鬼を自称してるからストックがいっぱいあるんだ。今回のジャケについては、あまり答えられないが、サークルの友達の知り合いの恋人だ。」

そうなんですね。先ほど、音楽以外の芸術にもともと興味があったと言っていましたが、何か音楽以外の活動はしているのですか?

「その今言ったサークルで、コミケに同人誌を出すっていうから、俺も小説を一筆したためたよ。純愛同好会って名前で、こないだできたばっかのサークルなんだけど、はたして何のサークルなのかは分からない。とりあえず、みんな好きなものについて話をしている。アニメとか音楽好きな人が多そう。半年くらい前かな、駒場の時からの知り合いのふとんくんっていう人と大学で喋ってたら、今度新しくサークルを作るって言われて、名前が面白そうだから入れてもらったんだ。同人誌、買ってね。」

最後になりますが、今後の活動の予定を教えて下さい。

「情景集の続きをやる。一応メロディーはもう全部できてるんだけどね。あとは、時間が許す限りで、他にもシングルをちょこちょこ出して行こうと思う。」

以上で本日のインタビューは終了となります。ありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。」



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