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「爆丸」ならぬ「キャプ丸」が、クラスで大流行した時の話

小学5年生の時、うちのクラスだけでなぜか大流行した自作ゲーム「キャプ丸 (きゃぷがん)」の感動がいまだに忘れられないので、文字に起こしてみます。


全ての始まりは、先生が工作用にと大量に持ってきたペットボトルのキャップでした。当時娯楽に飢えていた僕たち男子生徒はガキの発想で、それを遊びに使おうと画策しました。

まずは各自好きな柄のキャップを選びます。デコピンで飛ばすとバトルができそうです。ところがあまりに飛びすぎるので、消しバト (机の上で消しゴムを戦わせる遊び) 形式でやってみても芸がない。

するとクラスの人気者のイブキが、当時プチ流行していた「爆丸」のルールを取り入れることを提案してくれました。舞台となるのは机ではなく床。教室の床が、長方形の板を4つ並べて正方形にしたものが敷き詰められているタイプだったので、これを巧妙に活用してフィールドを作り出すという案です。

具体的なルールはこんな感じ。


①ゲームは1対1のタイマン形式で行う。お互いフィールドから正方形2個分離れたところにキャップを3個ずつ置き、先攻・後攻を決めてキャップを1つずつ交互にフィールドに乗せていく。

②正方形内の4つの長方形のうち1つに、キャップが2つ以上含まれる場合、これを「スタンド」と呼び1点獲得し、当該の2つのキャップを手元に戻す。
相手のキャップを自分のキャップで弾き飛ばし、かつ自分の放ったキャップがフィールドに残った場合、これを「クリティカルKO」と呼び1点獲得する。ただし相手のキャップを自分のキャップで弾き飛ばしたとしても、自分の放ったキャップがフィールド外に出てしまった場合はこれを「クリティカルヒット」と呼び、点数を得ることはできない。
いずれについてもキャップがフィールドに一部でも含まれている場合は、フィールド内に存在しているものとする。

③先に3点を獲得した方の勝ち。


と、まあこんな感じの割と単純なルールです。当時は爆丸を知らなかったので「クリティカルKOってなんや?」と思いながらやってましたが、今になって調べてみたらかなりきちんと爆丸のルールに準拠していて感服しました。

やってみるとこれが予想以上に面白い。ルールの源流がゲーム会社によって作り出された遊びのそれですから、中毒性があるのは必然だったのかもしれません。


しばらくこのルールで楽しくやっていたとき、秀才で名の通っていたオウガの発案した「オーガード・ゴーレム」によって、このキャプ丸はさらに進化を遂げることになります。彼の持ってきたものは、キャップ3つをテープでぐるぐる巻きにしただけの、ただの兵器。当初の「キャップは3つまで」というルールを完全に逸脱してはいましたが、何しろ自分たちで勝手に作ったルールだったので寛容に受け入れられました。

オーガード・ゴーレム (再現)
実際はいろはすのキャップだった気がする

そこからは各自、テープでキャップをくっつけて最強の武器を作るブームが起こりました。あまりに多いとゲームバランスが崩壊してしまうので最大で使えるキャップの数は何個まで、という追加のルールが設けられました。

さらにサッカー少年のヒトシが編み出した、複数のキャップを同時に打ち出す方法によって、当初の「キャップを1つずつ交互に打っていく」というルールすらも改変されることに。

キャップ3個同時打ち

これだけルールが変わると破茶滅茶になってしまうかと思われましたが、当の僕たちは新しい環境で勝っていくためのアイデアや戦略を必死に練っており、むしろ人気は右肩上がりになっていたように記憶しています。

ちなみに僕のプレイスタイルはテープにも複数打ちにも頼らず、自分の好きな3つのキャップでひたすら頑張り続けるという個性派でした。とはいえSUNTORYの一部のキャップは他のキャップよりも若干重いことや、硬水であるコントレックスのキャップは機動性が異常に高いことを自宅で調べるなど、研究熱心ではあったと思います。


こんなふうに各自アイデアを持ち寄り、発展を遂げてきたキャプ丸も、ついに先生からのお叱りを受けて全面的に禁止になってしまい、冬休みを挟んで3学期になると誰もやることはなくなりました。わずか数ヶ月の、激しくも短いブームでした。

今やったら、またそれなりに楽しめるのでしょうか。
いつか小学校の友人と再会したら、こっそり小学校に忍び込んで、あの時みたいに5年1組でキャプ丸、やりたいものです。


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