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【うつライフハック:メタ認知】自分の状況を客観視してみる

ぺこです。今回は、メタ認知、及びメタ認知をうまくできるようにするためのメタ認知トレーニング(Meta Cognitive Training:MCT)について書こうと思います。

08メタ認知

1.メタ認知とは

うつの状態がひどい時って、視野がすごく狭くなって、苦しい考え方しか見えなくなりませんか?狭くなっているのに気づかず、その苦しい考え方が絶対的に思えませんか?
マンガでは、そういった状況のことを表したつもりです。
目の前は、雨。濡れるし、寒いし、つらい…。
でも、目の前だけじゃなく、自分の場所を客観的に見てみると?
実は、雨が降っているのはごく一部で、隣は晴れています。
メタ認知は、この”自分を客観視する”ことです。

メタは「より高次な」という意味があります。メタ認知とは、自分の認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)を、より高い視点から客観的に捉えるということです。何かをしている自分を観察しているもう1人の自分を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

アメリカの心理学者:ジョン・H・フラベルが、1970年代に定義し広めた専門用語だそうです。専門家の言葉を借りると「自己の認知活動を客観的に捉え評価した上で制御することである。“認知を認知する”(cognition about cognition) 、あるいは“知っていることを知っている”(knowing about knowing) ことを意味する」そうです。
J Metcalfe, A P Shimamura, “Metacognition: knowing about knowing.”, Cambridge, MA: MIT Press. 1994

2.メタ認知トレーニング(Meta Cognitive Training:MCT)とは

メタ認知トレーニングは、2007 年にドイツ、ハンブルク大学の Moritz 教授が考案した心理的アプローチ方法の1つだそうです。
私たちって、少ない情報から早とちりして出した結論を事実だと信じ込んだり、記憶が違っていることに気づかず、間違った判断をしたりすることって結構ありますよね?
そうした癖に気づき、できるだけ偏りを減らして、客観的に物事を捉えることを目指すトレーニングです。

3.メタ認知トレーニングの具体的な方法【概要】

メタ認知トレーニングでは、以下6つのモジュール(と、元の文献で呼ばれているのでここでもそう呼びますが、メタ認知ができるようになる考え方のことだとお考え下さい) が提供されています。
帰属(Attribution)
:物事の原因の帰属を考える。『その出来事は本当にあなたのせいなの?』
結論への飛躍(Jumping to Conclusions)
:少ない情報で物事を決めつける。『本当にその人はあなたを嫌っているの?』
思い込み(Changing Beliefs)
:1つの考えに固執する。『思い込みで情報を取捨選択してない?』
④共感(Theory of Mind)
:相手の立場にたつ。自分が知っているのは相手の1面である。『その人の考えだと思っていることは、あなたの気持ちや考えに影響されてない?』
⑤記憶(Memory)
:人の記憶はあいまいである。『その記憶、どれくらい正確?』
⑥自己肯定感(Self-Esteem)
:自己肯定感の低さは抑うつ的な思考をもたらし、認知を歪ませる。『その認知、過度に歪められてない?』

こうした考え方を学ぶことを通じて、メタ認知トレーニングでは
・人は間違えるのが当然だという前提に気づくこと
・その間違いを修正した方が役に立つ場合が多いこと
・修正には多くの情報が必要なため、人に相談したり、よく観察するのが重要であること

を伝えてくれます。

今回の記事は、メタ認知トレーニングの概要のみをお伝えし、これからの記事で各モジュールについて書いていくつもりです。
全モジュールを深く理解しなくても、うつ的な思考に陥ったとき、自分の状況を客観視する意識を持つだけでも心が楽になるかなと思い、概要の記事を書かせてもらいました。

参考文献:
Universitätsklinikum Hamburg-Eppendorf, ”Metacognitive Training (MCT) for Psychosis”, https://clinical-neuropsychology.de/mct-psychosis-manual-japanese/ (最終閲覧日:2019/10/22)

※ここでは、本やリワーク等で学んだ知識を私なりに解釈して、私が伝わりやすいだろうな、と思う形でまとめています。学術的に完全に正しいかというと、認識のズレなどもあると思います。あくまで参考まで…

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