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Zoomでオンライン・ワークショップをするときのポイント

この記事は、普段リアルでワークショップをしている人が、Zoomを使ったオンライン・ワークショップをするときに必要なことをまとめたものです。これからZoomでオンライン・ワークショップをしようと考えている人はどうぞ参考にしてください。

1. まずはツールに慣れることから

Zoomによるオンライン・ワークショップをしようと思ったら、まずは自分自身がZoomの使い方に慣れることが必要です。特の以下のポイントをチェックしてみてください。

パソコンでZoomができるか

Zoomはスマートフォンでも利用することができますが、パソコンに比べると制限が非常に多いです。ワークショップの主催をするのであれば、パソコンでの利用を前提としたほうがいいでしょう。

パソコンでZoomをするためには、スピーカー・ウェブカメラ・マイク・ネット回線が必要です。スピーカーはほとんどのパソコンについているでしょう。また、ノートパソコンであればウェブカメラ・マイクも初めからついていることが多いです。

ついていない場合はマイク付きのウェブカメラの購入が必要です。ただし、現在ウェブカメラは在庫切れ&高騰しているため、手に入れづらいというのが現状です。スマホをウェブカメラとして利用する方法もあるらしい(僕は未確認)ので、それもひとつの手段です。

実際のテスト

パソコンにZoomをインストールしたら、実際にテストをしてみましょう。まずは機器のテストです。下記ページの「参加」をクリックすると、Zoomのテストを行うことができます。
http://zoom.us/test
※「テストミーティングに参加」とありますが、機器のテストが行われるだけで、誰かと繋がることはありません。

なお、マイクと回線に関しては実際に誰かと通話をしてみないと分からないことも多いです。友人を誘って、実際に何人かで通話をしてみましょう。そして音声やビデオがちゃんと届いているかを確認してみてください。ここで色々とZoomの機能を触ってみるのもいいでしょう。

プロ版への登録

Zoomの無料版は「3人以上でのミーティングは40分まで」と決められています。そのため、個人レッスンであれば問題ありませんが、複数人が参加するワークショップをする場合、ホスト(主催者)はプロ版への登録が必要になります。なお、ホストが有料版であれば、参加者は無料版でも構いません。

プロ版にはワークショップに使える様々な便利機能もあるため、ワークショップの主催をするのであれば迷わずプロ版に登録しましょう。無料版でワークショップをするというのは(本当にお試しの場合を除いて)ちょっと考えづらいです。

その他の機能の確認

Zoomにはワークショップに役立つ様々な機能があります。必ずしも使う必要はありませんが、慣れてきたら試してみてもいいでしょう。

・チャット:文字でのコミュニケーションができます。使い方によってはワークショップの可能性が広がる機能です。
・画面共有:スライドなどを全員に見せることができます。動画を共有することもできるので、一緒にYouTube動画を見る、といったことも可能です。
・スポットライト:特定の人を固定表示することができます。セミナー形式の場合に役立ちます。(ホストのみの機能)
・ブレイクアウトルーム:数人ずつの小部屋に参加者を振り分けることができます。ペアワークなどができます。(プロ版ホストのみの機能)

2. ワークショップのためのミーティング設定

さて、実際にワークショップをやるとなったら、ワークショップのためのミーティングを立てましょう。僕はワークショップ用のミーティングは次のように設定しています。

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主なポイント(迷うところ)は3点です。

パスワードは必ず設定

現在、Zoom爆弾が問題になっています。これは悪意を持った人がZoomのミーティングに乱入し、いたずらをしていくというものです。ZoomのミーティングIDは番号のため、総当たりでやればいつか当たります。しかし、パスワードをつければ入れなくなるため、被害を避けることができます。

ビデオはオンに

参加者のビデオオンを促すワークショップであれば、最初からオンにしておいたほうがスムーズです。オフにしておくと「どうやってオンにするんですか?」というやり取りから始まる可能性があります。

待機室は使わない

待機室とは、Zoomに入ってきた人を一旦待機させておく場所です。ホストが許可することで正式に入室できます。これもZoom爆弾を避けるには有効ですが、パスワード付きのミーティングを設定しているならわざわざ使わなくても大丈夫だと考えています。

また、ワークショップをしていると参加者の回線が落ちて再入室することがありますが、そのたびに待機室からの入室を許可するのはやや面倒です。(また、見逃していてしばらく入れない、という可能性もあります。)

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パスワード付きのURLを送る

ミーティングを設定したら、参加者にはパスワード付きのURLをメール等で送ります。これでZoom爆弾魔は総当りでは入れず(安全)、参加者はクリックだけで入れる(簡単)、という状態になります。

パスワード無しのURLを送り、別途パスワードを入れてもらうほうが安全度は若干高まりますが、「パスワードがあって入れない」というお問い合わせが来る可能性があります。また、メールが漏洩した場合はURLもパスワードも一緒に漏洩するので、結局のところあまり意味が無いと思います。

3. 事前連絡がとても大事です!

オンライン・ワークショップでは事前連絡がとても大事になります。参加者の中にはZoomを使ったことがない人もいるでしょう。その人たちには、事前にZoomの動作チェックをお願いしておきます。

これをしないと、参加者がZoomに入れなかったり、入ったはいいけれどどうしていいか分からない、という状態になります。そしてその対応に時間を取られることになります。(その間、他の参加者は待ちぼうけ……。)

また、Zoomを行う環境も重要です。僕は以前(まだコロナが流行する前に)ファミレスにいる人とZoomをしたことがありますが、雑音が入りまくって会話どころではありませんでした。

僕はワークショップ受付のメールを次のようにしています。(この文言を使いたい人はコピペしても大丈夫です。)

○○ワークショップにお申し込みいただいたみなさまへ

こんにちは、内海です。
○月○日(○)の○○ワークショップにお申し込みいただきありがとうございます。
お申し込みを承りました。

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■Zoomに慣れていない方へ(慣れている方は読み飛ばして大丈夫です)
事前の準備として、以下のことをお願いします。

1. Zoomアプリのインストール
Zoomアプリをインストールされていない方は、インストールをお願いします。PCでの参加を強く推奨しますが、スマートフォンでの参加も可能です。ただしスマートフォン参加の場合、一部見学になる可能性もあります。
https://zoom-support.nissho-ele.co.jp/hc/ja/articles/360022036391

2. カメラ・スピーカー・マイクのテスト
Zoomが初めての方は、事前にカメラ・スピーカー・マイクのテストもお願いします。下記ページの「参加」をクリックすると、Zoomのテストを行うことができます。
http://zoom.us/test
※「テストミーティングに参加」とありますが、機器のテストが行われるだけで、誰かと繋がることはありません。

3. 参加しやすい環境の準備
当日は参加しやすい環境の準備をお願いします。まわりの音が入らず、自分がある程度音を出しても大丈夫な環境が望ましいです(もちろん、子育て等で難しいこともありますので、できる範囲で大丈夫です)。

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それでは当日は楽しんでいきましょう。
どうぞよろしくお願いします!

4. 当日はテクニカルな確認から

さて、いよいよワークショップ当日になりました。Zoomでのワークショップは、僕はテクニカルな確認から始めています。内容はワークショプによって異なりますが、僕は次のようなことをしています。

表示名を変える

参加者が入ってきたら、その都度表示名を変えるようにお願いしています。これはパソコンの場合、自分を右クリック>「名前の変更」から可能です。スマホの場合、参加者をタップ>自分の名前をタップ>「名前の変更」から可能です。

表示名は、僕のワークショップでは「呼ばれたい名前@今いる地名」としています。これによってお互いの名前の確認ができます。また、地名を表示することによってコミュニケーションのきっかけになったり、オンラインならではの面白さを実感できたりします。

順番に話すよう心がけてもらう

技術的な特性上、Zoomでは複数の人が同時に話すと全然聞こえなくなります。そこで、ワークショップのはじめに、「順番に話すこと」をお願いしています。

なお、Zoomにはミュートの機能があるため、それを基本オンにしておき、話す時だけオフにすればこれを完璧に実行することができます。ただし、聞いている人が全員ミュートだと話している人が真空に話しているような気持ちになるのでまた別の難しさがあります。

現実的には、基本はオンであまり音を出さないようにしてもらって、外部の音が入る人はミュート、というのがやりやすいバランスだと感じています。(ここはまだベストプラクティスが見つかっていない。)

問題が起きたときの対処法を決めておく

技術的な問題はできるだけ事前に回避しておきますが、それでも問題は起こるものです。特に回線に関してはコントロールできないところがあります。

そのため、「技術的な問題が起きたときはどうするか」を事前に決めてお知らせしておくと、そのあと問題が起きても焦らずに対応できます。

ちなみに、僕のワークショップに関しては「あまり気にしない」という対策をとっています。それは天気のようにコントロールできないものなので、自分に問題が起きても「申し訳ない」と思う必要はないし、他の人に問題が起きていても「大丈夫かな」と心配しすぎる必要はない、というスタンスです。そして、問題が起きたら自分で復帰してもらうようお願いしています。

しかし、ワークショップによってはもっとちゃんとした対処が必要になることもあるでしょう。その場合はアシスタントを入れておき、問題が起きた場合にはアシスタントに連絡する、といった方法が考えられるでしょう。

なお、回線の問題はファシリテーターに起こる可能性もゼロではありません。そのような時のためにも、オンライン・ワークショップではアシスタントを入れておくのがおすすめです。

5. オンライン・ワークショップの特性について

以上のことを行えば、とりあえずオンライン・ワークショップを行うことは可能なはずです。しかし、オンラインでのワークショップにはリアルなワークショップとは違う特性があります。以下、その点について発見したことをつらつらと書いておきます。(増えたら足していきます。)

疲れる(休憩が重要)

オンライン・ワークショップは画面に集中するため、目や頭がとにかく疲れやすいです。感覚としては、リアルなワークショップの2倍疲れるという実感があります。そのため、ワークショップの時間は短めに設定したほうがいいでしょう。1時間~2時間くらいが最適だと思います。3時間やるとかなり疲れます。

また、こまめに休憩を挟むことも必要です。僕は1時間に1回は休憩を入れるようにしています。

なお、休憩に関してはリアルなワークショップよりも休めるという感覚があります。なぜなら参加者のほとんどは自分の家にいるため、ベッドで横になることもできるからです。

いずれの面からも、オンライン・ワークショップは「休憩」の価値が高いと感じています。休憩時間込みでワークショップ時間を考えたほうがいいでしょう。

「順番」を設定する

Zoomにはリアルの場とは違い、物理的な順番がありません。表示順はありますが、これは人によって違うためアテになりません。(パソコンの場合、基本はビデオオン順ですが、自分は常に2番目に表示されるようです。)

したがって、たとえば自己紹介でも、リアルのワークショップでは座っている順番で行うといったことができますが、Zoomではそれができなくなります。そのため、順番を決めることが必要になります。

ファシリテーターが順番にふっていくこともできますが、僕は参加者に順番を決めてもらっています。具体的には、自己紹介だったら「自己紹介をしたら、次の人を指名してください」とすることで、順番を作っています(これは参加者が受け身になりすぎないためにも役立ちます)。

安心して参加できる感じがある

上のふたつはどちらかといえばオンラインのネガティブな面でしたが、ポジティブな面もあると感じています。そのひとつは「安心して参加できる」ということです。

リアルなワークショップでは、まず場所に慣れる時間が必要だったりします。しかしオンライン・ワークショップの多くは「自分の家」から参加しているため、その時間が必要ありません(そのぶんテクニカルな確認が必要)。

また、自分の家は多くの人にとって安心できる場所です。そのため、ワークショップに参加していてもどこか「ホーム」を感じることができます。

僕がやっているのはインプロ(即興演劇)で、ワークショップの中でもハードルが高いほうだと思います。しかし、オンラインであることで参加のハードルは低くなっているという感覚があります。

オンライン「だから」を発見すると楽しい

トータルで言えば、やはりリアルなワークショップのほうができることはずっと多いです。しかし、オンライン「だから」できることもあります。

例えば僕のワークショップでは、「参加者の家にある洋服を衣装として使う」ことができます。これは普通のワークショップでは難しいことです(わざわざたくさんの洋服を持ってきてもらうことは難しい)。しかし家であればそれが簡単にできます。

また、動画のオン・オフを舞台のデハケのように使うことで、新しい効果を得ることもできます。動画のオン・オフは舞台のデハケよりも一瞬でできるため、そのことがもたらす面白さがあります。

そして、このようにオンライン「だから」できることを見つけると、ワークショップはとても楽しくなります。

ワークショップの語源は「作業場」や「工房」を意味します。アーティストたちが集まり、創造的な実験をして(そしてたくさんの失敗もして)、何かを持ち帰る場所です。

現時点では、Zoomでワークショップをすること自体が実験的なことです。それを楽しむことができればワークショップはいい時間になるし、価値がある時間になると思っています。

ここまで色々と細かいことを書いてきましたが、最終的にはこの状況を「楽しむ」ということが一番大事なのかもしれません。どうかオンライン・ワークショップが「大変なもの」ではなく、「大変で楽しい」ものになりますように。

そのサポートになる記事はこれからも書いていきます。ご興味ある人はこのnoteやTwitterをフォローしておいてください。引き続きどうぞよろしくお願いします。


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