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うつ患者が社会の皆さんに問いたいこと

あなたが今過ごしている日常、10年続いたとしても平気ですか?
今の生活、抱えている問題、置かれている現状がもし10年続いたとしてもあなたは平気だと言い切れますか?

この言葉はプロゲーマーの梅原さんの著書に書いてあった言葉を参考に作ったものです。
梅原さんは10年続いたとしても大丈夫なように日常を送っているそうです。
この考え方は、メンタルヘルス的に見て、非常に重要な考え方です。

うつになってわかったこと

うつになって、社会復帰をする中で直面する問題が、「今までできていたことができなくなっている」ということです。
例えば、ミーティングでファシリテートをしながら議事録を取ることや、複数人数で楽しく会話をするなど、今まで当たり前にこなしていたことができなくなった時期があります。

でもそれは、体が心に正直になったとも考えられます。

今まで当たり前にしていたことが、実は自分にとって負荷のかかる作業だったのです。
うつから復帰するときには、様々なストレスに対して敏感になります。
その結果、今まで無意識のうちに感じていたストレスを感じ取れるようになっていたのです。

あなたが何気なく普段行っている行為や担っている役割は、本当に負荷なく行えている行為ですか?
今一度自分の中で問うてみてください。
今は当たり前にできていたとしても、仕事やプライベートで上手くいかず、極限状態のストレスに晒されたときでも当たり前にできるとは限りません。

うつは忍者のようにやってくる

「自分はうつになんかならない」、そう思っている方も多いと思います。
私もかつてはそうでした。しかし、結果的にうつになってしまいました。
「うつは心の風邪」とよく言われますが、その通りで、誰でもなる可能性のある病気です。

私の場合、妻がうつになってしまい、身体的な症状が複数出てきました。当時はうつ状態だとわからなかったので、神経内科や脳外科など様々な病院を転々としました。
仕事をする傍ら妻の通院に付き添い、彼女のケアをしながら家事をこなす。そんな生活が続いていました。

そんな中、徐々に夜眠れなくなったり、顔が痙攣し始めたりし、友人からの誘いも断るようになり、意欲も失っていってしまいました。
「疲れが溜まっているんだろう」と思っていたのですが、どんどんと「うつの世界」に足を踏み入れていたのです。

不眠が続き仕事に支障をきたすようになり、精神科に受診したときには「重度のうつ状態」になってしまっていました。
思い返せば劇的な変化があったのですが、当の本人はその変化が連続的に起こっているため中々気づくことができません。
高速道路で長いトンネルに入り、気がついたらトンネルを抜けて真っ暗な世界に行ってしまっていた、そんな感覚でした。

うつ病というとはっきりとした病気のように聞こえますが、実際に心身に起こる変化は連続的なもので、うつ状態とストレスが溜まっているだけの状態の境界はあまりにも曖昧で、気が付いたらうつになっていました。
まるで忍者のように、影を忍ばせながらやってくるのです。

もう一度社会の皆さんに問いたいこと

最後にもう一度問います。

あなたが今過ごしている日常、10年続いたとしても平気ですか?

今の日常が10年続くことを具体的に、リアルにイメージしてみてください。
そこで少しでも違和感を覚えたり、抵抗を感じた人は要注意です。
何かを変えるために自分の日常を見直したほうが良いかも知れません。

上述したとおり、うつは知らぬ間に忍び寄ってくる病気です。
気が付いたときには、手遅れになってしまいます。

自衛のために、予防のために、今一度自分の日常を見つめ直してみてください。
自分のような苦しみを他の人には味わってもらいたくないです。
うつ患者からの切実な願いでした。

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