情報システム利用者の「困った!」を解決〜教育のオンライン化に貢献する学生サポーターたち
nodesの光明
情報基盤センターサービスの裏側
情報システム利用者の「困った!」を解決
教育のオンライン化に貢献する学生サポーターたち
学生のサポート活動を見守ることも、教育の一環だと考えています
Q uteleconでの玉造先生のお立場は?
A 学生サポーターの皆さんは、次々にやりたいことを提案してくれます。それを思う存分できるように自主性を尊重しつつ大学側の責任者として支援しています。
Q サポート業務の運営上、心がけていることは?
A 教育の一環ととらえ、学生サポーターの皆さんが、正しいIT知識を身につけるだけでなく、社会に役立つ経験を積み、皆で協力して成果をあげていくなかで成長できるように心がけています。例えば、德永さんには、大学とZoom社の定例ミーティングに参加して意見交換をしてもらっています。
Q 学生さんの活動への感想は?
A コロナ禍でも、Slack(メッセージングアプリ)を活用してすばらしい成果を上げています。担当者の1人が、「こんな相談が来て困っている」と発信すると、瞬時にほかの担当者が反応し、ときには50件近いチャットをやりとりしてあっという間に解決するのです。「これがデジタルネイティブの問題解決方法なのか」と感心します。自主性に任せると、学生はしっかりと考えてくれますね。上野さんをはじめ、要所要所で大学の判断や許可、情報提供を求める連絡をくれるなど、みんな責任感をもって仕事に取り組んでいます。
中学校や高校でも生徒サポーターが活躍できるはずです
Q utelecon立ち上げ時に学生サポーターとして参加したのですね。それはなぜですか?
A uteleconができる前から、ECCSシステム相談員として支援活動をしていました。これは、キャンパス内にある共用のパソコン室で、利用者の相談に応じるコンシェルジュのような仕事で、学内のシステムに関するノウハウもウェブサイトで発信していました。自分が相談員になったのも、大学入学時にこのサイトで役に立つ情報を見たことがきっかけでした。コロナ禍で、私も含め多くの相談員がuteleconのサポーターになりました。
Q 職員になって感じていることは?
A 大学のシステムを整備する立場になってみて、「学生がシステムの運営に参加することが、大学の教育・研究の発展につながる」という学生サポーターの意義を改めて実感しました。中学校や高校にも、国のGIGAスクール構想などでICT教育が導入されているので、似た取り組みができるでしょう。学校で学ぶ主体である学生や生徒がサポーターとして運用に参加すれば、ICT教育の効果は桁違いに高くなると思います。
充実したサポートがあれば未知のシステムもすんなり活用できます
遊ぶように夢中になって活動するうちに、大学や企業を動かしていました
Q どんな問い合わせが多いですか?
上野:「なぜか、急にログインできなくなった」といった相談は多いですね。何かのきっかけで特殊な条件が揃ってしまい、ログインできなくなるのです。相談している方も自分の状況を説明できないので、こちらが質問を重ねて推測していきます。
德永:多くの相談に対応する中で、エラーメッセージから状況を推測できるようになってきたため、私たちは「エスパー」だと自称しています(笑)。チャットで話し合いながら、状況を確認し、解決方法を探します。
Q サポートで心がけていることは?
德永:春は、新入生からの問い合わせが増えます。上野さんがある新入生に対して回答を作成された際、問題の解決方法を説明する前に「ご進学おめでとうございます」という一言を添えていました。私が素敵だなと思う回答です。正しい方法を伝えるのはもちろんですが、こういう心配りも大切だと思っています。入学時に、いきなりシステムの設定でつまずいたら、きっと不安で暗い気持ちになってしまうでしょう。
上野:相手の理解度に合わせた伝え方も大切にしています。例えば、東大にはメールシステムが複数あるため、名称を間違って質問してくる方もいます。そういうときも、相手の意図を想像し、説明の難易度を相手に合わせてコミュニケーションします。
德永:オンライン講義をする先生から「学生の意見を集めて議論するためのツールを紹介してほしい」という問い合わせがあったときには、よりよいツールを選べるように、学生サポーターの経験や調査から、複数のツールの機能比較をして回答しました。
上野:回答するために、よくシステムの公式HPを参照します。ただ、日本語訳の情報は古い場合もありますから、英語の公式ページも参照します。それでも情報がない場合には、自分の手元で問い合わせの状況を再現して、いろいろ試し、解決法をお伝えする場合もあります。なんとかして解決の糸口を探すようにしています。
德永:私はZoom社に直接問い合わせることもよくあります。何度も問い合わせているうちに、玉造先生のはからいで、Zoom社との定例ミーティングにまで参加するようになりました。Zoomはおもに企業で使われてきたツールで、大学での使い方を想定していないところもあるため、大学に適したZoomの機能改善を提案したり、バグを報告したりしています。
Q 学生サポーターをしていてよかったことは何ですか?
上野・德永:私たちが対応したことで「とても助かりました」と言っていただき、システムを活用していただけることです。私たちの活動が大学の一助となっているなら、とてもうれしいです。
玉造潤史/専門は計算機アーキテクチャ、ネットワーク。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。修士(理学)。情報基盤センター助手、理学系研究科講師を経て現職。
竹内 朗/東京大学工学部卒業。在学中の2020年よりuteleconの学生サポーターとして活動。卒業後、2022年より現職。