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【自社工場ならではのカスタムオーダー】お願いしたすべての工場で断られ、工場を作るはめに。結局オンリーワン企業に

 前にもお話しましたが、製品の良し悪しやブランドの信頼は「原材料と、もの作り」で決まると信じています。卸売りで創業した時から将来は、製販一体という企画・製造・販売が目標でしたので、自分たちのブランドとして納得のいく物づくりは必須でした。
 新参者で規模の小さいアパレルのオーダーはロットも小さく工場さんに相手にしてもらえませんでした。創業当時、当社に要求された生産ロットは一型最低が100枚でした。大手にとっては何でもない枚数ですが、創業間もないアパレルにとっては苦しい枚数でした。しかしニッターさんにとってはそれ以下の生産は効率が悪すぎるのです。そんな状況の中で一枚一枚作ってほしという私の要望は業界では常識外れで、当然お願いしたすべての工場さんに断られました。
 生産になぜロットが必要なのか?それはニット製造業界がアパレルから、安価で大量・早期納品という生産を求められて、その上にシーズンごとに素材やデザインが変わるファッション業界の現状に合わせることが必要だからです。そのためにはこれまでの分業という合理的な生産方法が必要で、ひとつの素材やデザインを深く追及し作り上げる余裕も時間もなかったのです。
カスタムオーダーで一枚一枚作ってほしいという私の希望に対して、親しいニットの製造メーカーさんの社長さんに言われたのは、「それは作家さんの芸術作品を作れということと同で全然採算が合わないからうちだけではなく他でもきっと無理だよ」と言われてしまいました。
 それでも、「モノづくりを最優先に一枚ち枚ずつ良い商品を提供したい」という思いは諦めきれず、それを実現するには自分で工場を持つしかなく無謀にも自社工場を作る羽目になってしまいました。
 実現した今では、実質どこもやらないオンリーワン企業になっているといえます。


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