カシミヤおやじ

「岩手県北上市をカシミヤの聖地に」を目指すカシミヤおやじ。海外旅行の添乗員からニット屋…

カシミヤおやじ

「岩手県北上市をカシミヤの聖地に」を目指すカシミヤおやじ。海外旅行の添乗員からニット屋に転身。東京青山でニットアパレルを創業。カシミヤに魅せられニットの自社工場を造り、世界でも稀なニットのオーダー「UTO」を世界に展開。ロンドン・サビルロウの老舗ハンツマンで日本初の取扱いが決定。

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【天使のストール】天使のカシミヤ誕生物語

天使のカシミヤ誕生物語   『天使のストール』は、手に取ったほとんどの人が『やわらかい!』『気持ちいい!』といってくださる、我がUTO自慢のシリーズです。 カシミヤならでは、いや、カシミヤでもここまでの風合いの商品はそんなにあるもんじゃないと自負しています。  この天使、初めてトライしたのが1994年ごろ。カシミヤをライフワークにしていこうとカシミヤでしかできないものを、ということで何回も試作して作り上げたものです。  これを作っていただいたのが内田昭三さんという職人さんです

    • 【毛玉の話②】どうしたら毛玉(ピリング)が出来にくくなるの

      摩擦・連続着用に気をつけて   着用することはセーターにとっては摩擦することですから摩擦をなくすことは出来ませんが、なんといっても摩擦の度合いですので激しい作業での着用や何日もの連続着用は禁物です。1日着たら2日ぐらいは休ませてくださいね。特に男性は同じものを何日も続けて着る方もいらっしゃいます。要注意です。  上着で着用しているときは腕の動きなどの摩擦が主ですが、車などのウール張りのシートで背中が擦れて毛玉になったというケースもあります。案外気がつかないのがセーターに重ね着

      • 【毛玉の話①】毛玉の科学・なぜ毛玉が出来るんだろう

        毛玉の原因は、摩擦と絡まり   毛玉のことを業界ではピリングと言いますが、毛玉とは名前のごとく糸に撚り込まれていない部分の繊維同士が絡まって玉になっている状態です。  毛玉が出来るには主に2つの要因があります。『摩擦』と『絡まる』です。  セーターを着用するということは実際はセーターを摩擦していることです。  毛製品を長時間摩擦していると、撚り込まれている糸から表に出てきた繊維同士が絡まり始めやがて毛玉に成長します。この絡まりの元をピル核と呼んでいますが、このピル核の誕生とピ

        • 【カシミヤニットを長く着てほしい】カシミヤニットのお洗濯

          ご自分で手洗いの勧め   カシミヤはクリーニング代がかかるから敬遠するとおっしゃる人が案外多いですね。また、カシミヤは絶対にクリーニングと思い込んでいる人も多いようです。  軽くてふわふわのカシミヤニットは繊細で高価だし、失敗して縮んだりするのが心配だからクリーニングに出すのは解らないでもありません。 直接お会いした人には機会があるごとにご自分での手洗いをお勧めしています。手洗いと言っても洗濯機の手洗いモードで大丈夫です。  これから説明するように洗ってあげると絶対に縮むこと

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        【天使のストール】天使のカシミヤ誕生物語

          【カシミヤの『染め』の話④】カシミヤの深い色の秘密

          絶妙なブレンドにあり   カシミヤの微妙な色合いはカシミヤの繊維の細さにあると言う話をしましたが、もう一つ驚くことがあります。これを知った時はかなり驚きそして感動しました。  糸の状態で染めると染料の色がストレートに出ます。これを業界では『べた染め』と言っていますが、べた染めは単純な色になりがちです。  カシミヤ製品の各々の色は見た目では単色に思われますが、実際にその色を出すためには五~六色もの微妙に違う色のワタをブレンドしてあの色のわたを作り、紡績するのです。もちろん各々色

          【カシミヤの『染め』の話④】カシミヤの深い色の秘密

          【カシミヤの『染め』の話③】色で違う微妙な風合い

          微妙な肌触り   カシミヤ山羊の色は個体差があり、白、グレイ、ブラウンなどの色のカシミヤがいます。これらの毛を生成りのまま使うこともありますがほとんどは何らかの色に染めることになります。  羊毛のように色を抜けられれば都合がいいのですが、カシミヤの毛は繊細すぎて色を抜いて染色をすると傷んで風合いが落ちてしまいます。白やサックス、ピンクなどの薄い色に使えるのはホワイトカシミアの毛だけを使用します。  カシミヤはまた繊細ゆえに色によって微妙な風合いの違いが生じます。ほとんどの人

          【カシミヤの『染め』の話③】色で違う微妙な風合い

          【カシミヤの『染め』の話②】カシミヤ独特の繊細な色

          繊細な繊維の光の反射で生まれる色合い   「カシミヤは繊細で良い色ですね!」と、皆さんが言ってくださいます。  人は光の反射で色や影を判別しているそうです。物が平らだったり大きいと光は大きく反射して単純に見えますが、光の反射面が細かい程繊細な反射をします。カシミヤはウールの中で最も細い繊維ですので繊細な光の反射で独特の色合いが生れます。カシミヤの繊細で微妙な色合いはカシミヤ繊維の細さが大きく影響しているのです。

          【カシミヤの『染め』の話②】カシミヤ独特の繊細な色

          【カシミヤの『染め』の話①】トップ・先染め

          繊細なカシミヤの染めは特別でリスキー   カシミヤ以外の、綿(コットン)や一般にウールと言われる羊などの糸を作る順番は、糸に紡績をした後に染(糸染め)を行うのが普通ですが、カシミヤの場合は『わた』を染めた後に『紡績』します。これを『わた染め・先染め・トップ染め』などと言います。  カシミヤは特に繊細な素材なので、撚をかけて糸にしてから染めると染めの時間が長くなり繊細なカシミヤにダメージを与えてしまいます。カシミヤ独特のあの柔らかい風合いにならなくなってしまう恐れがあるので、『

          【カシミヤの『染め』の話①】トップ・先染め

          【世界のカシミヤの聖地】岩手県北上市から世界に発信

          震災の東北に、カシミヤの明るいニュース作りで貢献したい   2011年東日本大震災で大きな痛手を負った東北。表面は復興したかに見えるところもありますがまだまだ復興半ばだと感じます。  そんな東北で、『岩手の北上には、お洒落で明るい世界に通用するカシミヤの会社があるんだよ』と言ってもらえる職場を作ることこそ希望で、それが地方創生の本髄だと思います。  人それぞれ得意不得意が有ります。数字が得意な人、営業が好きな人、モノづくりが好きで得意な人、いろんな人がいます。UTOのニット

          【世界のカシミヤの聖地】岩手県北上市から世界に発信

          【カシミヤニットに賭ける夢、カシミヤに携わる素敵な時間】UTOの面白いサービス

          お家でフィッテイング   UTOでご好評いただいているのが「お家でフィッティング」です。直接のお客様はもちろん、ネットでも、ふるさと納税でも好評です。  カシミヤの一番の売りは「羽のように軽い」「とろけるように柔らかい」言葉や数字では表せない気持ち良さです。長年それを是非体感して頂きたいと思いめぐらしていました。  よくどこで売っていますか?との質問をお受けします。東京・南青山骨董通りの当社の一部にショールームでご覧いただけることをご案内しています。完全予約制ですが、東京近

          【カシミヤニットに賭ける夢、カシミヤに携わる素敵な時間】UTOの面白いサービス

          【UTOの社会貢献②】ふるさと納税の返礼品で北上市に貢献

          製造卸から製造直売への大きな一歩に   UTOカシミヤは岩手県北上市のふるさと納税の返礼品として好評を頂いています。  2014年の秋、北上市商工部の部長さんから「北上市もふるさと納税を始めたのでカシミヤの商品を返礼品として出していただけませんか?」と提案を頂きました。  ふるさと納税は密かに狙っていたので二つ返事で引き受けました。当時は出品が少なくて苦労していたそうで、あまりにもあっさり叶ったので「返礼品として先に商品を購入してくれると」を私が誤解したかもしれないという

          【UTOの社会貢献②】ふるさと納税の返礼品で北上市に貢献

          【UTOの社会貢献①】東日本大震災被災者支援の取り組み

          企業市民として、長い支援を   UTOは、2011年10月に山梨から岩手に工場を移転しました。当時東北地方は東日本大震災にみまわれた半年後の混乱状態で、比較的被害の少なかった北上市には沿岸部から600名近い方が避難して来られて厳しい生活を余儀なくされていました。  新参者の私たちも企業市民として何かできることはないかとみんなで考えました。ボランティアなどで現地に赴くのは難しいので少額であっても寄付でお役に立ちたいという結論になりました。その寄付もできるだけ長期間続けること

          【UTOの社会貢献①】東日本大震災被災者支援の取り組み

          【暖かさの秘密は空気】なぜあんなに軽く柔らかいのに暖かいの?

          なぜあんなに軽く柔らかいのに暖かいの?   カシミアの魅力はなんと言ってもあの暖かくふんわりとした柔らかさと軽さですね。  なぜカシミアはあんなにふんわりと柔らかく暖かいんでしょうか?  ちょっと堅い話で恐縮ですが、暖かさを保つには外の冷たい空気が我々の肌の熱を奪うのを防ぐことと、自分の体温を逃がさないことですが、その壁の役目をするのが、我々の着ている衣服なんです。 この衣服は外気からの熱を遮断したり肌が傷つくのを守るのは当然ですが、動きやすいとか、軽いとか、適度に熱を交換

          【暖かさの秘密は空気】なぜあんなに軽く柔らかいのに暖かいの?

          【セーターはカシミヤ山羊約2~3頭分】希少で貴重なカシミヤ

          希少で貴重なカシミヤ   ウールの宝石と呼ばれるカシミヤは、中央アジアの高地に生息する山羊の仲間です。冬は零下30度にもなる極寒の地ですが、夏は逆に40度を超す気温の変化が激しい処です。  そんな厳しい冬を乗り切るために毛の間に軽くて暖かい産毛が生えるのですが、春になるとこのうぶ毛が自然に落ちて夏毛に生え変わります。このうぶ毛を人間が頂いてセーターに利用させてもらっているのですが、あの柔らかいうぶ毛を収穫する為にカシミヤを殺すことはもちろんいじめることもありません。人間とカシ

          【セーターはカシミヤ山羊約2~3頭分】希少で貴重なカシミヤ

          【成長するカシミヤ】 自分で洗って育ててください もっとふんわりと体に馴染んでくる

          自分で洗って育ててください もっとふんわりと体に馴染んでくる   UTOの天使のストールは名前の通り、軽くて柔らかく気持ちの良い、当社自慢の商品です。創業間もない1993年頃、職人さんと何度も何度も試編みして作り上げた商品なので愛着もひとしおです。以来、私の冬のマフラーはもっぱらこの天使のストール一本やりです。  冬になるとこの天使のストールは手放せませんが、毎日同じものではまずいので何本かをローテーションで使っています。  シーズンの中で2~3回ぐらい洗濯することになり

          【成長するカシミヤ】 自分で洗って育ててください もっとふんわりと体に馴染んでくる

          【風前の灯火の製造現場】流通する衣料の3%を切ってしまったメイド・イン・ジャパン

          流通する衣料の3%を切ってしまったメイド・イン・ジャパン   ファッション業界は流通が長すぎると言われてきました。通常出来上がった製品は、工場→商社→アパレル→小売店と渡り、ショーや宣伝などの経費をかけられて、製造費より流通経費が大きいという本末転倒の現象もみられます。  長い間売上至上主義のように短サイクルで売り上げ高を競ってきたために低価格・薄利多売の風潮が強いのも特徴です。当然のように下請けのOEM工場に低価格を要求する。そのために工場側は多ロットを要求し、売れる以上に

          【風前の灯火の製造現場】流通する衣料の3%を切ってしまったメイド・イン・ジャパン