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2つの障害を持つ子の親として [ゆっくり育児] その5

ジローはウィリアムズ症候群とウェスト症候群だ。
改めてそれぞれの症状を紹介したいと思う。

ウィリアムズ症候群

特徴 :
・成長や発達の遅れ
・視空間認知障害
・心血管疾患
・高カルシウム血症
・顔貌の特徴
・低身長
・認知過敏
・消化管疾患
・眼科疾患
・耳鼻科疾患
・歯科疾患

などまだまだある。

特に心血管疾患のため大動脈狭窄なので、血管が末端まで行き渡らないため手足が冷たくなるとか、顔が額が広く腫れぼったいまぶたや開いた口であったり、認知過敏なので、手をぱんぱん叩いたり足をドンドンしたりと、手足の感覚を楽しんだりとか、社交的でおしゃべり好き、音楽好き、人懐っこいだったりとか、耳鼻科疾患なので特定の音が苦手だったり音量を必要以上に感じたりとか、歯科疾患なので歯並びが悪いので噛んで飲み込むのに苦労するとか、とにかく色々である。

治療法 :
根本的治療は無し。
薬による緩和や理学療育、作業療育、言語指導など定期的に診察・訓練を通じて改善をする。

つまり健常者のようにはなれないけど、成長とともに療育を通じて訓練を行い、健常者に近い心身機能を身に付けるということ。どうも根気がいるようだ。

日常生活で気をつける事 :
特に心血管系合併症に気をつけて定期的に小児循環器専門医を受診して状況を観察する。歯科疾患のため咀嚼が上手くいかないのでペースト状の離乳食を与える。また発達の遅れがあるので、歩行や発語が遅いなどあっても焦らずゆっくりと育児を行う。

焦るな、よく観察しろ、ということか。育児は二人目なので要領を得ているつもりだが、それ以上にちゃんと目を離さず観察して、ちょっとの異変や変化も見落とさない必要がありそうだ。


ウェスト症候群

特徴 :
・頭をカクンとさせてお辞儀するような仕草
・生後3 - 11ヶ月で発症する

日本では点頭てんかんとも言う。発作が起きると頭をカクンとさせて目が白目になる。これを何回か行う。その間に肩を叩いたり名前を大声で呼んでも症状は収まらず発作が収まるのを待つしかない。

治療法 :
抗てんかん発作薬で2〜4割の患者の発作を抑制することが可能

ジローの場合は主治医のサバサバ女医に相談して薬の投与をしてもらった。

日常生活で気をつける事 :
発作が起きると手足の弛緩する可能性があるので立ってる場合は補助が必要

ジローの場合、発育が遅く主に座って遊んでいた。このためいきなり頭をカクンとし出して白目になり転倒しても怪我の心配はなかった。しかし頭をカクンとしすぎて頭を床にぶつけて痛みでよく泣いていた。ジローは乳児なので体が柔らかい。だが親としてはいつ起きるのか、その前触れは何なのか、つぶさに観察する必要があった。

2つの難病

改めてウィリアムズ症候群とウェスト症候群の特徴や気をつける事を記載した。

親としてどのように受け止めれば良いのだろう。
ウェスト症候群は1歳くらいになれば症状も収まるだろうが、ウィリアムズ症候群は治療法は無く一生付きまとう事になる。

ジローは普通の人生を送れるのだろうか?
普通の人と同じように笑ったり泣いたり悲しんだり悔しがったり、何かやるべき事人生の目標を見つけて人生を謳歌できるのか?
生きている実感を認識できるのか?
親である私や妻が亡くなった後も一人で生きていけるのであろうか?
(第一子のサキエにはジローに関係無く自分のやりたい事や人生を謳歌して貰いたいと思ってる)
私を親として認識してくれるのか?
私は障害者の親としてジローに出来ること全てが出来るのか?

色々悩んでしまう。。。

まさかこんな人生が自分に降りかかってくるとは。

「その人に乗り越えられない壁はやってこない」とは言うが本当に私はこの壁を乗り越えられるのであろうか?

ただ私はこう思う。
これが我が人生なのだ。

障害者ジローを持つ親として絶対悔いのない人生を送る。
死ぬ間際になって
「ああ、私はやりたい事をやった、そして障害者のジローを育てきったぞ!」
と心の底から思う人生を歩みたいと。

決意とか自分を奮い立たせるとか、そんな色々思考を巡らせて出てきた思いでは無く、心の奥底から思い立つ感情。

私はこのために生まれてきた。


そう思える感情が出てきているのだ。


正直、今までの人生でのほほんと生きていたので、これと言ってやりたい事もなく、無難に就職して、無難に生きてる。

でもジローの誕生により、自分が生まれてきた事が意味ある事に昇華できた瞬間。

ジロー、ありがとう。

私は分かったよ。自分の存在意義を。

障害者を持つ親だが、その分私を強くしてくれたのだ。

ジロー、ありがとう。

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