優しい言葉はくれない

私の恋人はとてもリアリストだ。


ロマンのかけらもなく、そして、出会ったときから驚くほどに感情に波がない。

興味のないことにはとことん興味がない。
(アナ雪の映画にさえ、付き合ってくれない(笑))


大笑いすることもなければ、声を荒げることもない。
それくらい、彼の感情は常に一定だ。




私も、どちらかというと内に溜めこむタイプで、外に感情を出すことは滅多になくて。
それでも、誰かに愚痴を言ったり、弱音を吐いたりしたくなることはある。



あるとき、

仕事の終わりが見えず、爆発しそうになったとき、思わず彼にメッセージを送った。
私はたぶん「お疲れ様」とか「大変だね」とか「頑張って!」という言葉を期待していたのだと思う。


けれども彼から返ってきたのは、


「仕事をその日のうちにすべて終わらせる必要はないから
優先度決めて、帰り時間決めて、やれることだけをやる。
できなかったことは次の日やる。そしてガッツリ休む」


というド正論。

んなこと、分かってる。




HSPだから、苦手なこととか、できない事とか、間違ってしまうかもしれないと話したときも、


「できない、苦手で、こんな人間と言えば、それで終わりだし。人は成長できるものじゃない?」 




彼は私や、きっと他の多くが想像しているような、同情的な優しい言葉は言わない。


けれども、彼の言葉はいちいち腑に落ちる。
(いちいちがポイント)



「あ、そっか」と思わせてくれる。


HSPであるということに、人と同じように、同じ程度で物事を処理できないことがある私に。その事実に絶望しそうになる私を救ってくれる。


間違いなく彼の言葉は優しくない。
今まで付き合ってきたどの人よりも優しくも甘くもない。


けれども、「まだやれることはあるんじゃない?」と背中を押してくれる。



立ち止まらせてはくれないけれど、でも彼のおかげで私は立ち止まらないで済んでいる。
「そっか、もう少し何かできるかもしれない」と思わせてくれる。
もうちょっとだけ頑張ってみようと思わせてくれる。

優しい言葉はくれない



けれども、彼の言葉に触れる度、私はこの人が恋人で良かったと実感する。

好きそして、尊敬。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?