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地を覆うもの

耕作放棄地ワンダーランドの実家・松野町での出来事。

絶壁を覆う葛


実家に帰ったら、ご近所さんに
お宅のクズが道にまで落ちてきてて、あれをなんとかかんとか・・
と、さりげにお言葉をいただいたので、
草刈りの途中で、坂道をおりて、畑の反対側の絶壁をみにいったら
たしかに葛は4・5メートルは頭上にある畑の方から
何十本も枝を垂らしていて、地面にまで到達していて
車道にまで伸びて行こうとしてる先端は車にしゃがれていました。
絶壁はコンクリートで固められていて、
葛はまるで堤防から溢れ出た大波のように
コンクリートを覆っています。
(写真を撮っておけばよかった・・)

二週間前に手が届くところを刈ったはずなのだが
むしろ、それが勢いをつけてしまっていたのかもしれないな。

敷地内にもどって、絶壁のところへ立って
(下を見ると流石に怖い)
下へ垂れ下がっているのをひと枝ずつ手繰り寄せて
先端からくるくると巻き上げて地面においてくことに。
しばらくそうやって格闘していたけれど、
下を見下ろすと、まだまだきりがないし、
手繰り寄せるには手が届かず危険な場所もあって、
しばらく眺めながら
”おもえば、葛はこの無機質な真東向きのコンクリートの広域を
緑化してくれているのに、なんで刈り取らんといかんのかなー”
と、頭がそっちへシフト。

そやな。
葛と戦うなんてあほらし。

のこった枝は、
また下へ行って、下から手が届くほどだけ
ちょんと切っておいておわりにしました。
いくたびに迷惑にならないようにこまめに切っておこう。

またなんかお言葉をいただいたら、
「いや、だって、この温暖化ですよ。
葛は地球をまもっているのです。」

大真面目に言おうと思います。
きっと、この人は頭がおかしいのかという
顔をされるでしょうが、いいのいいの。

コンクリートと葛

実家からの帰り道、
あちこちで大暴走している葛を観察しながら帰ってきました。
うちと同じように
コンクリートで固めた壁面には
必ずと言っていいほど葛が垂れ下がっていました。
(こういうところは、国土交通省の管轄だそうで、
うちの絶壁も本来は絶壁から1メートルは国の管理下にあるはずのものらしいです。)

山の中や、放置された草むらには葛はなくって
暴れているのは、人の手が大きく入っているところ。
それにしても、道路沿いから見渡す限り、葛の波は世界を飲み込まんばかり。
日本の夏の風景ってこんなだったけ、ちがってたよな、と思います。

葛と共存する

下の写真は一昨年のうちの杉の林。

冬にそのつるをそっと手繰り寄せて、回収。
地面をはっているつるはながいものは軽く5メートルをこえた向こうにまでのびていて、ところどころから根をだして地面に張り付いていました。
それを、無理に引っ張ると切れてしまうから、
じわりと力を抜きながら、葛と一体になって引き寄せると
最初は動かなかったつるもするするとこちらへ引っ張られてきます。
それはもう地面で網のように交差しあっていて、それを解くようにしながら。
そうやって集めていくと大元の根がどこにあるかわかってきます。
その根本を確認して、切断。
実はそんなに株は多くはなかったのでした。

今も株は残っていて、つるを伸ばしてきますが、
気がついた時に刈り取っておくと、
ずっと大人しくしてくれています。
ようするに、去年伸びたツルをそのままにしておかないこと。
共存できないこともなさそう。

葛の藪だったところ、今年はこんな感じ。

今年
あの、大波のように絶壁を覆っている葛、
あそこは、今年の冬につるの整理をしようとおもっていたら
除草剤をかけられてしまって、地面も周りの草木も真っ黒になってしまっていたところ。
荒れた土地は、生き残った葛の一人勝ちになってしまったんだと思うのです。
あるいは土地を守るべく葛がひとりでがんばったか。

刈り込まずに、くるくると巻いておいたつる、どうなってるかな、
次に行った時が楽しみ。
そして、程よく葛と暮らしたい。






愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!