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【詩】梅の宴

さわやかな香りは白梅
暦の変わらぬときから咲く
寒々とした空気
ぴんと張りつめた冷たい大気
白い息はまるで陽炎
初春だと喜んでも
足の冷たさは消えない
とても春の喜びは感じられない
はにかむような
ささやかな
初々しい白梅に遠い春をみる

ほんのり頬を染めたような
ピンク色の梅
赤とはいえないあいまいな色
白梅とは違う
春の喜びを思い起こさせる色
あたたかい風は吹かない
春風はまだ遠い
それでもぬくもりと喜びをみる
桃の花とは違う
ピンク色の香りは甘い
吹く風は甘くないけれど

白梅に遅れて咲く紅梅
あでやかな着物の色みたい
初々しい白梅とはうらはらに
紅く紅く燃え上がる
春風を呼ぶように
冬の北風をなだめるように
太陽の色に照らされて
紅く紅く染める
ささやかな白梅を追い越していく
春の輝きに飛び込むように
すっくりと燃え上がる



シロクマ文芸部のお遊び企画「梅の花」に参加です。



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