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【俳句エッセイ】秋のような季語~竹落葉~

 若葉、青葉、万緑。花も咲いていますが、初夏から夏に向けて緑がぐんぐん増えていきます。新緑は春から夏への橋渡しのようです。

 みずみずしくフレッシュな緑があふれる中で、竹林は、ひっそりと秋を迎えます。

 春先に頭を出したたけのこが、ぐんぐん成長していきますが、竹はたけのこに養分をとられてしまいます。濃い緑だった葉は、春先になると黄ばみはじめ、はらはらと葉っぱが落ちはじめます。

 これが竹落葉です。

 落葉は冬の季語ですが、竹落葉となることで夏の季語になるんですね。ちなみに、たけのこも夏の季語です。

 初夏が過ぎれば、竹がぐんぐん成長していくでしょう。若竹、青竹という夏の季語にピッタリな、竹の様子が見られるようになります。

 今は、たけのこが立派に成長していく様子を見守るように、葉が散っていきます。

 秋に色づいた葉が散っていくとき、来る冬の寒さを予感させますが、竹落葉は夏の輝きを想像します。

 春の味覚として楽しんだたけのこは、つやつやとした竹となり、夏には涼しい風を吹かす緑の葉がしげるようになるでしょう。

 竹林がある一帯は、ちょっとの間、さびしく感じるかもしれませんね。


 

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