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【俳句エッセイ】おもしろい季語~竹の秋~

 竹の秋は春の季語です。

 秋とついているのに、春の季語だなんておもしろいですね。初めて見たときは混乱しました。

 初夏のころでしょうか。ぐんぐんとのびていく青竹は、秋と冬を過ごした後、緑から黄色へと色彩を変えます。その様子は、秋の紅葉を思わせますね。

 春先になると、前の年から蓄えた養分を筍へと送ります。春になると筍の季節。楽しみにしている方も多いでしょう。

 筍に養分を送った後、成長しきった竹は黄色に変化します。この様子が秋に見えるため、竹の秋という季語となったようです。

 私の近所の川沿いに立派な竹林があります。竹藪の中には、うぐいすがいるのでそろそろ春の声を聞かせてくれるでしょう。筍が生えている様子を見かけることもあります。

 竹林の地主さんでしょう。生えてきた筍をとったり、黄色く変色した竹を伐採したりする様子も見かけます。

 竹林だからといって、竹ばかりが生えているわけではありません。自生の梅の花も見かけますし、藤の花も見かけます。ふきのとうが生えている場所もあるようで、去年はその土地を所有されている方から譲ってもらいました。

 竹にとっては秋ではありますが、竹のそばでは春を喜ぶ筍が顔を出します。

 竹の秋。春の中に秋を見つける瞬間です。


 ちなみに竹の春は秋の季語です。

 夏の間に成長した竹は、紅葉のそばで青々と茂ります。秋から冬に向けて紅葉が散っていく中、竹は春を迎えているんです。秋の中に春を見つける瞬間ですね。

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